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[[2006年]][[8月1日]]より試験的・限定的な発表が行われてきたが、2007年10月1日の一般向け速報の提供開始が決定されたことを受け、提供開始直前まで広報手段について調整が行われた。現在、速報に関する諸問題([[#問題点|問題点]]参照)を考慮して、テレビでの速報を皮切りに、一般向け速報が順次拡大する予定である。また、個人においても法人などにおいても、導入の可否はそれぞれの判断に任せられており、義務化の予定はない。
 
=== 開発の歴史 ===
* [[1990年代]]後半 [[兵庫県南部地震]]などを契機に高感度地震観測網([http://www.hinet.bosai.go.jp/ Hi-net])の整備が決定。高感度の地震計が日本各地に設置され始める。この観測網から得られたデータにより研究が進み、[[通信]]技術が大きく発達したことでこれらを応用した速報的な地震情報の提供が検討され始める。
* [[2003年]]4月 文部科学省、気象庁、防災科学技術研究所にて、リアルタイム地震情報の伝達が実用的に行えるようにすることを目的としたリーディングプロジェクト「[http://www.bosai.go.jp/kenkyu/sokuji/index.htm 高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト]」を開始。このプロジェクトでは平成19年度までに「リアルタイム地震情報(防災科学技術研究所)」と「ナウキャスト地震情報(気象庁)」を実用化に向けて統合し、地震情報を高速・高度化、迅速で正確な伝達手法の開発を目指すもの
* [[2004年]]2月 気象庁の「ナウキャスト地震情報」と[[防災科学技術研究所]]の「リアルタイム地震情報」を統合、「緊急地震速報」へと改編。
* 2004年[[2月25日]] 行政機関、交通、報道、通信などで希望する機関に対し緊急地震速報の試験運用を開始。対象は、九州東岸から関東までの地域。
* [[2005年]][[3月30日]] 試験運用の対象地域を東北から北海道までの太平洋岸に拡大。
* 2005年[[6月8日]] 試験運用のデータ提供元に防災科学技術研究所の地震計が加わり、対象地域は日本のほぼ全域に拡大。
* [[2006年]][[8月1日]] 希望する企業などに対して、先行的な提供を開始。
* 2007年10月1日 この日の9:00([[日本標準時|JST]]) から一般向けの広範囲な提供を開始。テレビ放送や一部の公共施設などでも速報を開始した。
* 2007年[[12月1日]] 緊急地震速報について、気象庁に予報および[[気象警報|警報]]としての発表を義務付け、気象庁以外の者が独自の緊急地震速報を発表する場合は許可が必要とし、警報としての発表は気象庁の独占としたうえで関係機関への確実な伝達を行うものとする改正[[気象業務法]]が施行。
:* 同日深夜2時21分・奇しくも提供開始の6時間半ほど前に、[[神奈川県]][[箱根町]]で震度5強の地震が発生したが、一般向けの提供がまだ始まっていない時間だったため、テレビ等では速報が流れなかった。また、先行利用者に対しては速報が流れたが、地震波の到達から数十秒が経過した後だった。
* 2007年12月1日 緊急地震速報について、気象庁に予報および[[気象警報|警報]]としての発表を義務付け、気象庁以外の者が独自の緊急地震速報を発表する場合は許可が必要とし、警報としての発表は気象庁の独占としたうえで関係機関への確実な伝達を行うものとする改正[[気象業務法]]が施行。
* 2008年4月28日 午前2時32分ごろ、[[沖縄県]][[宮古島]]近海を震源とする地震があった。予測最大震度が5弱だったため(実際の最大震度は4。しかし[[震度#計測震度、加速度|計測震度]]は4.4で、震度5弱に相当する揺れであった)、全国初のTV・ラジオ等の「一般向け緊急地震速報」が発表された<ref>[http://www.jma.go.jp/jma/press/0804/28a/200804280500.html 本日、緊急地震速報(警報)を初めて発表しました](気象庁 2008年4月28日)</ref>。だが、海底が震源だったため、震度計のない海上では地震を感知できず、実際に速報が発表されたのは[[宮古島市]]が揺れだしてから5秒後だった。気象庁はこの遅れを「誤差の範囲内」としている。ただし「高度利用者向け緊急地震速報」では、宮古島役場を評価地点とした場合に大きな揺れの約2~3秒前に報知する事が可能であった。
* 2008年5月8日 午前1時45分ごろ、[[茨城県沖]]を震源とする地震があった。地震波を感知した9.3秒後に、推定最大震度3<!--ウェザーニューズ社「The Last 10-Second」にて確認-->とする高度利用者向け緊急地震速報の第1報が発出されたが<ref>[http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/joho/20080508014533/content/content_out.html 緊急地震速報の内容](気象庁 2008年5月8日)</ref>、その後の解析で地震の規模が上方修正され、地震波の感知から58.3秒後の第9報で震度5弱以上に修正され、一般向け緊急地震速報に切り替えられた。切り替えの時点で地震の主要動は首都圏から東北までの広い範囲に到達しており、一般向け緊急地震速報については大きな揺れに間に合わない結果となった。今回の緊急地震速報では、誤差は出なかった。
 
=== 法的な位置付け ===
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地震では[[初期微動]]での[[地震波#P波|P波]]と呼ばれる小さな揺れ([[縦波]])と主要動での[[地震波#S波|S波]]と呼ばれる大きな揺れ([[横波]])が同時に発生する。P波とS波とは[[伝搬]]速度が異なり、P波は毎秒約7km、S波は毎秒約4kmの速さで伝わる。この伝搬速度差を利用して、震源に近い地点におけるP波の観測に基づき、後から来るS波の伝播を[[時系列]]的に予測し、震源からある程度以上(P波とS波の時間差が充分に開くほど)離れた地点に対しては、その到達前に予測を発表することができる。
 
緊急地震速報は秒単位を争う情報であるため、その処理や伝達における[[遅延]]を極力少なくして主要動が到達するまでの時間を少しでも長くとる必要があり、配信システムや[[ネットワーク]]などに高速化のための工夫がされている。
 
地震動(初期微動や主要動など)の情報は、気象庁の約200と防災科学技術研究所の約800の合わせて全国約1,000箇所に設置されている地震計を利用している。それぞれの地震計から、地震波形データをリアルタイムで気象庁に集計し、これを解析・処理して同庁から発表される緊急地震速報は、[[気象業務支援センター]]を経由して利用者へ配信される。また、これら直接の利用者から末端のユーザーへの二次配信が行われることもある。
 
配信された情報は専用の端末機器を通して処理を行い分かりやすい情報となって[[映像]][[音声]]として表示されるが、様々な形態がある。専用の端末機器では、あらかじめ設置する場所の位置情報や地盤の状態などを設定するなどし、速報時には警報音を鳴らしたり、音声により地震の発生や震度などを伝え、[[文字]][[画像]][[ランプ]]等により地震の発生や震度、揺れるまでの時間などを伝える。大型の[[施設]]などでは、警報音と音声により施設内に一斉に案内放送などを行うことが多いある
 
== 速報時の対応 ==
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緊急地震速報を受け画像・文字や音声などでその情報を知ったとき、どのような対応をとれば安全性が高まるかという指針が関連機関による検討会で出されている。それによる対応の例を以下に挙げる。
 
'''周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する'''」ことを最大の基本としている。
 
家庭、職場、学校などの屋内では、地震の発生直後と同じように机の下に隠れ、[[頭]]を防護し、転倒物や飛散物から離れ、火を使用している場合は火を消し(10秒以上の猶予が無かったり、人がいる場所と火元が遠かった場合には、火を消さずに退避することが望ましい)、窓や戸を開けて[[避難経路]]を確保することなどが求められる。
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受信した緊急地震速報は各住戸に設置されているインターホン親機からカラーモニターでの表示や警報音声で居住者に通知される。[[インターホン]]設備は緊急地震速報に対応した専用の機種が必要となるが、来客対応用に常に待機状態を維持している[[インターホン]]親機から警報できることがメリットであり、新築マンションを中心に採用が急増している。
 
==== 過去に発令された速報 ====
== 一般向け緊急地震速報のこれまでの運用発令状況 ==を記す。
* 2008年
*注:*2007年10月1日 同日深夜2時02:21分・奇しくも提供開始の6時間半ほど前に、[[神奈川県]][[箱根町]]でM4.9、震度5強の地震が発生あった。奇たが、くも一般向け緊急地震速報提供がまだまっていないの6時間だっ半ほど前に発生したため、テレビ等では速報流れなかった。また、先行利用者に対しては速報(予測震度4)が流れたが、地震波の到達から数十秒が経過した後だった。
** 4月28日 午前2時32分ごろ 震源地:沖縄県宮古島近海(全国初の緊急地震速報 実際の震度は4 速報発表は発生から約10秒後)
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** 5月8日 午前1時45分ごろ 震源地:茨城県沖(2度目の緊急地震速報 栃木県茂木町・茨城県水戸市で震度5弱を観測 速報発表は発生から約58秒後)
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!|発生日時刻
||震源
||規模
||最大震度(予測最大震度)
||備考
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* !|2008年4月28日 午前2時02:32分ごろ、[[||沖縄県]][[宮古島]]近海を震源とする地震があった。予測最大震度が||5弱だったため(実際の最大震度は4。しかし[[震度#計測震度、加速度.2||計測震度]]は4.4で、4(震度5弱に相当する揺れであった、全国初の||TV・ラジオ等の「一般向け緊急地震をはじめとして、初めて速報」が発表された<ref>[http://www.jma.go.jp/jma/press/0804/28a/200804280500.html 本日、緊急地震速報(警報)を初めて発表しました](気象庁 2008年4月28日)</ref>。だが厳密には[[震度#計測震度、加速度|計測震度]]は4.4で予測されていた震度5弱に近いものだった。海底が震源だったため、震度計のない海では地震を感知できず、実際に速報発表されたの地震波を検知してから約10秒後、[[宮古島市]]が揺れだしてから5秒後だった。気象庁はこの遅れを「誤差の範囲内」としている。ただし「高度利用者向け緊急地震速報」では、例えば宮古島役場を評価地点とした場合おいて大きな揺れの約2~3秒前に報知する事が可能であった。
|-
* !|2008年5月8日 午前1時01:45分ごろ、[[||茨城県沖]]を||6.7||源とする地度5弱(があった。度5弱)||地震波を感知した9.3秒後に、推定最大震度3<!--ウェザーニューズ社「The Last 10-Second」にて確認-->とする高度利用者向け緊急地震速報の第1報が発出されたが<ref>[http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/joho/20080508014533/content/content_out.html 緊急地震速報の内容](気象庁 2008年5月8日)</ref>、その後の解析で地震の規模が上方修正され、地震波の感知から58.3秒後の第9報で震度5弱以上に修正され、一般向け緊急地震速報に切り替えられた。切り替えの時点で地震の主要動は首都圏から東北までの広い範囲に到達しており、一般向け緊急地震速報については大きな揺れに間に合わない結果となった。今回の緊急地震速報では、誤差は出なかった。
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== 問題点 ==