「単型 (分類学)」の版間の差分

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'''単型'''(たんけい、英 monotypic)は、単形、モノタイプともいい、生物の分類体系で、ある項目の1階級下の項目が単一であることを指すことばである。言い換えると、そのグループにはその仲間以外に類縁のあるものが存在しないことである。これは様々な分類の階級に当てはめて使われる。

== 具体例 ==
たとえば[[キク科]]の[[エゾギク]]属(''Callistephus'')はエゾギク''Callistephus chinensis''一種だけの単型の属である。[[カンナ科]]は50種以上あるがカンナ属''Canna''の1属しかない単型の科である。[[裸子植物]]の[[ソテツ綱]][[イチョウ]]目は、科・属・種と3階級下まで単一であり、シダ植物のヒカゲノカズラ綱は、目・科・属がそれぞれ一つである。[[APG植物分類体系]]では、新しい科が多く創設されたこともあり、1種だけの科が数十ある。
 
動物では、[[平板動物]]門が[[センモウヒラムシ]]ただ1種から成り、綱・目・科・属・種まで単一である。他に、[[内肛動物]]、[[有爪動物]]、[[毛顎動物]]などが綱ないし目の段階まで単形である。
 
このように、どの分類階級でこの言葉を使ってもよいが、高いレベルのものほどそこに含まれる唯一の群がそれ以外の生物とかけ離れていて、言わばひとりぼっち状態であることを意味する。
 
== その意味 ==
単型であることは、近縁な分類群が存在しないことを意味する。生物は[[進化]]の過程で[[種分化]]を繰り返すことで多様性を獲得してきたと考えられる。したがって、ある程度の近縁な群が存在することは当然のことと考えられる。それが存在しないのは、例えばその群の多くの分類群が絶滅した場合である。[[ヒカゲノカズラ植物門]]などはおそらくこれにあたる。この群には[[ヒカゲノカズラ]]類、[[イワヒバ]]類、[[ミズニラ]]類と[[マツバラン]]類が含まれるが、前3者は科、あるいは属のレベルまで単型である。この類は[[古生代]]に繁栄したもので、当時は多くの種を有したが大部分が絶滅し、現在見られるのはその生き残りと考えられている。イチョウや[[シーラカンス]]などもそれぞれにその類唯一の生き残りである。これらはよく[[生きた化石]]といわれる。