「シャトランジ」の版間の差分

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Chinamie (会話 | 投稿記録)
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まず、駒についてから。駒の数は6種類16個でチェスと構成はだいたい同じである。初期は染料が入手しやすかったために赤と黒に色分けされ黒側が先手であった。後の時代には赤と白、次いで赤と緑となり、最後に白と黒になる。しかしこの色分けは様々な系譜があり一様には進展しない。そして駒の種類は以下の通りである。
 
# ''' シャー''':「王」、全ての方向に一歩ずつ動く。「シャー」とは[[ペルシャ語]]で「王」。チェスのキング。
# '''フィルツァーン'''(フィルツ):「将」、斜め四方に一歩動く。チェスのクイーン
# '''フィル''':「象」、斜め四方に二歩ずつ進み、間にある駒を飛び越える。左右上下斜め八方に二歩ずつ進むと主張するアル・アドリーというマスターもいる。チェスのビショップ
# '''ファラス''':「馬」、八方に桂馬飛びする。チェスのナイト
# '''ルーク'''(ルクク):「塔」、上下左右に他の駒に進路を妨げられるまで動く。チェスのルーク
# '''バイダーク''':「兵」、前に一歩ずつ進むが、チェスのように初手で二歩進むことはできない。そして敵陣の最終列(八段目)にはいると大臣に成る。成大臣の数は無制限。チェスのポーン。ちなみにチェスのポーンはクイーン以外にも成ることができる。
# ('''ジャマル''':「駱駝」)、時々この駒が象の外か、塔の外に入る。動きは斜め四方に動けるだけ動くクイーンのような動きで、駒をとびこすことができる。
 
駒のかたちは偶像禁止のイスラームの教えのために抽象的である。ルークは頭がM字形、ファラスが馬頭形の他は円筒状の駒を大きさで区別している。
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また[[キャッスリング]]、[[アンパッサン]]といったルールはなく代わりに「'''シャー・ムンバド'''」(裸の王)または「'''ムフラード'''」(孤立した王)と呼ばれるルールがありこれは「王」のほかに駒がない状態である。そして先手(黒)は王を左に大臣を右におき、後手(白)は王を右に大臣を左に置く。チェスの逆である。また王手のことは「'''シャーマット'''」(شاه مات)と呼ぶ。アラビア語で「王は死んだ。」でありこれがなまってチェックメイトとなった、と言われている。
 
== その他のルールとまとめ、チェスとの相違 ==
* 盤は市松模様ではない。
* ビショップ の代わりにフィルを置く。[[対角線]]上に2マス動く。
* クイーンの代わりにフィルツァーンを置く。対角線上に1マス動く。
* 先手はシャーを左にフィルツァーンを右に。後手はフィルツァーンを左にシャーを右に置く。
* バイダークは最初に2マス動かない。
* アンパッサン(通過)がない。
* キャスリング(入城)がない。
* バイダークは敵陣の最終列でフィルツァーンに成る。
* 相手が指し詰りになれば勝利である。
* 相手のシャーが「シャー・ムンバド」で自分のシャーが次の指し手で「シャー・ムンバド」にならなければ勝利。
* 両者とも「シャー・ムンバド」ならば引き分け。
 
== 中世アラブのシャトランジ界 ==
このシャトランジは大衆に人気がありその中から出たグランドマスター達が台頭した。その名を挙げるとハフス、アル・アドリー、アル・ラーズィ、アル・スーリー、アル・ラクラーク、医師のアブール・アッバー、アス・サクラズィー、アル・ラブラーク、アブ・イサーク・イブラーヒムなどがいた。その他のマスターや愛好者にいたっては枚挙には暇がない。
 
またアラブ世界では棋力によって五段階の階級が定められ最高の級は「'''アリーヤ'''」といい三人が定員でアル・アドリー、アル・ラーズィ、アル・スーリーといった名手がその地位についた。二番目の級は「'''ムタカーリバート'''」といい「アリーヤ」に十局中二~四局勝った者である。ちなみに十局中七局以上勝てれば「アリーヤ」になる資格が生じる。それ以下は順に「アリーヤ」から大臣またはフィルの駒落ちで三番目の級、ファラスの駒落ちで四番目の級、ルークの駒落ちで五番目の級となる。名称は不明である。
 
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