「レオポルドとローブ」の版間の差分

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この事件の公判はメディアの報道でごった返した。「世紀の犯罪」という陳腐な謳い文句が初めて使われたのはこの時である。ローブの家族が雇った67歳の名[[弁護士]]・[[クラレンス・ダロウ]]は、[[死刑]]判決だけは出させまいと何年も奮闘した。[[精神異常]]を理由に無罪を主張するかと誰もが思ったが、2人とも罪を認めた上での弁護だったので世論は驚いた。[[陪審]]裁判だったら間違いなく死刑判決が出てしまうことを見越したため、有罪を認めることによって陪審裁判になることを回避し、たった一人の判事の前で弁護したのはダロウ一流の戦略だった。
 
ダロウは12時間にも及ぶ弁論をおこなった。この時の弁論が彼の弁護士人生のクライマックスと評価されているのも尤もだった。
{{quote|この戦慄すべき犯罪は彼個人の体質に発したものです。彼の祖先に起源を持つものです。…ニーチェの思想を真面目に受け止めて実行したからと言って、それを咎めるべきでしょうか? …19歳の少年にとっては、大学で教わった哲学のために殺人を犯すのも無理からぬ話です}}
 
ダロウはこういった演説をするためにこの事件を引き受けたのかもしれなかった。なぜなら彼は断固たる死刑反対論者であり、このセンセーショナルな事件の弁護をすれば、彼の死刑反対論を繰り返し新聞に載せて広めることができたからである。そして、これほど兇悪な犯罪者ですら死刑にならないのだということを立証すれば、他の平凡な犯罪者を死刑にすることも難しくなるという計算もあったに違いない。結局ダロウの弁護は成功し、2人は死刑判決を免れた。こうして2人は、殺人罪に対して[[終身刑]]、誘拐罪に対して99年の懲役刑を受けたのである。