「定性分析」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Morivert (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
Morivert (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
23行目:
 
そして推定した成分の標品と同じ特異的な性質が見られるかを確認する。
 
== 対象とレベル ==
定性分析は、分析したい対象と同定したい物質分類のレベルに応じて、使われる技術や戦略が異なる。現在の化学の最も基本的考え方では、分子やイオンや結晶単位など一定単位の中の原子の種類と数と配置が同じ試料は同じ種類の物質と見なされる。ゆえに物質の同定とは、最も詳しいレベルでは上記のような一定単位の中の原子の種類と数と配置を特定することと同義である。しかし、必ずしもそこまで詳しいレベルでの分析を意味しない場合も多い。
 
=== 元素の特定 ===
試料中の元素の種類を特定することは定性分析のひとつである。特に副成分や微量成分としての金属成分分析は、化合物形態にかかわらず金属元素の種類を知ることを意味する場合が多い。むろん、環境中の有機水銀と無機水銀の分析のように、対象元素を含む化合物の種類をも特定したい場合も多い。[[環境化学|環境分析]]などの分野では、ある元素を含む化合物の種類のことをその元素の'''化学形態'''、'''存在形態'''、あるいは単に'''形態'''と呼ぶこともある。
 
=== 物質の特定 ===
現代の有機分析での物質の同定は、基本的な意味では[[異性体]]の区別も含めて分子の種類(構造)を特定することと同義である。だが、一群の異性体の集まり、さらに広く一群の物質種の集まりであることまでを決定することにとどめる場合も多い。例えば[[ダイオキシン]]分析、[[ポリ塩化ビフェニル|PCB]]分析は一群の異性体の集まりまでを特定する分析であることが多い。
 
鉱物学での[[鉱物]]や[[岩石]]の同定の伝統的方法は、標準となる標本と様々な物性を比較することにより同一鉱物種であると決定するものであった。この場合も物質種の同定はしたことになるが、その物質の化学構造が判明しているとは限らなかった。
 
=== 構造の特定 ===
構造が簡単な分子やイオンの同定は、各種クロマトグラフィーの溶出時間の標品との比較など少数の物性の測定だけからできることもある。だが複雑な分子になると、NMRなど多様な方法を駆使しないと構造が決まらない場合が増える。このように化学構造そのものを決定することで物質の種類を特定することを構造解析または構造決定という。さらに構造解析という言葉は、定性分析の範囲を越えて、詳細な化学構造の解析を行うことをも指していることがある。
 
 
==関連項目==