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元来は、[[偶蹄目]]([[ウシ]]、[[ヒツジ]]、[[ヤギ]])の[[哺乳]]期間中の第4胃袋([[ギアラ]]とも呼ばれる)に存在する。この中でも、仔牛由来のものは'''カーフレンネット'''と呼ばれ、珍重されている。現在、通常は[[カビ]]からとれるものや、遺伝子組換によって微生物から得られたものを多く利用する。
 
ウシ、ヤギなどの第4胃袋の消化液の抽出物が、'''標準レンネット'''と呼ばれる。若い仔牛の消化液には、キモシン88~94%と[[ペプシン]]6~12%が含まれているといわれ、乳離れするとキモシン分泌量が急激に減少する。草を食べ始めるころになると、キモシンとペプシンの含有量が逆転し、ほぼペプシンのみとなる。この推移は他の偶蹄目でもみられ、やはり草を食む頃になるとペプシンが多くなってくる。このペプシンは[[プロテアーゼ|タンパク質分解酵素]]であるため、成長した家畜の消化液を使っても[[凝集]]は起こらず、チーズを作ることは出来ない。
 
=== 歴史 ===
ヨーロッパでは長い間、チーズ作りの材料に偶蹄目由来のレンネット(ペプシンレンネット)が用いられてきた。消化液は[[反芻|反芻運動]](嘔吐)では集められないため、[[家畜]]を[[屠殺]]して胃を取り出して消化液を集める必要がある。このため、安定供給が受けられず、大量の家畜が必要となるため[[酪農|酪農家]]の負担も大きかった。ついに、1960年代に原料の元となる家畜不足を原因として、代替物が多く用いられはじめることとなった。この際、[[ケカビ]] '''M.プシルス(Mucor Pusillus)''' が生成するレンネットが注目されることとなった。微生物レンネットと呼ばれるこれは全世界で用いられているが、伝統の維持などの観点からペプシンレンネットだけしか認めていない場合もある。
 
=== レンネットによる乳凝固の原理 ===
レンネットを加える前段階で、まず乳を乳酸[[乳酸発酵]]させる。無殺菌の乳では環境微生物中の[[乳酸菌]]により乳酸発酵が起こるが、殺菌乳では多くの場合、人為的に乳酸菌を加える。乳酸発酵した乳は[[酸性]]になり、[[カルシウム]]イオンが増えて来る。
 
乳中で[[カゼイン]]などの[[蛋白質]](カゼイン[[ミセル]]という直径20~600μの分子を形成している)は-の電気を帯びており、反発し合って凝集することは無い。特にκカゼインはカルシウムイオンに対して安定で、このためカゼインミセルはこのままでは沈殿しない。
 
ここでレンネットを加えると、プロテアーゼであるレンニンがκカゼインに作用してその結合を切断する。結果、κカゼインは浮遊力を失って不安定になり、カゼインミセルから分離する。そして-の電気が弱まったカゼインミセル同士がカルシウムイオンを介してくっき、脂肪球と共に沈殿凝固する。これが乳の凝固の原理である。
 
== 関連項目 ==