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'''ソブリン金貨''' ('''Sovereign''') とは、[[イギリス]]発行の1[[UKポンド|ポンド]]に相当する[[金貨]]の名称である。'''ソベリン金貨'''ともいう。
[[Image:Sovereign George III 1817 641656.jpg|240px|thumb|1817年銘 最初のソブリン金貨<br> 表面:月桂冠を戴くジョージ3世<br> 裏面:セントジョージと竜の図案]][[Image:Sovereign Victoria 1842 662015.jpg|240px|thumb|1842年銘 ソブリン金貨<br> 表面:ヴィクトリア女王ヤングヘッド<br> 裏面:紋章の描かれた楯の図案]][[Image:1915-half-sov-reverse.JPG|240px|thumb|1915年銘 半ソブリン金貨の裏面<br> (セントジョージと竜)]]
==仕様==
'''ソブリン金貨''' ('''Sovereign''') とは、[[イギリス]]発行の1[[UKポンド|ポンド]][[金貨]]の名称である。'''ソベリン金貨'''ともいう。
直径22[[ミリメートル|mm]]、重量7.98805[[グラム|g]](123.27447[[グレイン]])、金純度91.67[[パーセント|%]]の標準金。通用最低重量は123.074グレイン以上。この金貨の価値は、製造当の金の公定価格である、標準金1オンス=3ポンド17シリング10ペンス半に相当する。
==歴史==
Sovereignという金貨は、[[1489年]][[ヘンリー7世 (イングランド王)|ヘンリー7世]]の時代に発行された量目240グレインの金貨が20[[シリング]]と等価とされたのが最初である。この金貨はそれまで流通していた天使を描いたエンゼル金貨に対して、玉座に坐る国王が描かれたため、ソブリン(君主)と名づけられた。
 
その後、[[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]の時代に発行されたソブリン金貨は、22シリング6ペンスとなり、20シリングと等価とされた金貨は200グレインに量目が減らされた。[[エリザベス1世 (イングランド女王)|エリザベス1世女王]]の時代になるとソブリン金貨は更に大型となり30シリングとされ、これとは別に20シリングの1ポンド金貨が鋳造された。この昔のソブリン金貨は、1604年を最後に鋳造が打ち切られ、以後は20シリングの金貨はユナイトと称し、玉座の君主のデザインではなく、国王の横顔に変わった。共和制、王政復古を経て1663年には[[ギニー|ギニー金貨]]が発行され、以後19世紀初頭まで、金貨はギニー金貨のみとなった。
直径22[[ミリメートル|mm]]、重量7.98805[[グラム|g]](123.27447[[グレイン]])、金純度91.67[[パーセント|%]]の標準金。通用最低重量は123.074グレイン以上。この金貨の価値は、製造当時の金の公定価格である、標準金1オンス=3ポンド17シリング10ペンス半に相当する。
 
そして、イギリスが[[金本位制]]を採用した[[1816年]]貨幣法(55 GeorgeIII.c.68)で新しい[[本位金貨]]が制定され、これをソブリンと名づけ[[1817年]]から鋳造された、唯一の無制限法貨以後、[[1917鋳造開始は1817]]ま国内流通用の貨あったが、実際に紙幣として発行の兌換が開始されたのは1822年であった。
一時期、楯に描かれた紋章の図案のコインも鋳造されていたが、[[ゲオルギウス|セントジョージ]]が竜を退治している図案がこのソブリン金貨の代表的な図案である。なお、当時のイギリス硬貨にはこの金貨を含め、ほとんどの硬貨に額面表示は無く、その大きさと重量で額面を表していた。
 
この金貨は唯一の無制限法貨として、[[1917年]]まで国内流通用の[[本位貨幣]]として発行された。
鋳造当時の表面肖像は[[ジョージ3世 (イギリス王)|ジョージ3世]]であったが、以後[[ジョージ4世 (イギリス王)|ジョージ4世]]、[[ウィリアム4世 (イギリス王)|ウィリアム4世]]、[[ヴィクトリア (イギリス女王)|ヴィクトリア女王]]、[[エドワード7世 (イギリス王)|エドワード7世]]、[[ジョージ5世 (イギリス王)|ジョージ5世]]、[[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]、それに現女王[[エリザベス2世 (イギリス女王)|エリザベス2世]]の肖像のものが、鋳造されている。<br>
また、イギリス本国でだけでなく、広く英植民地でも流通したため、[[ロンドン]]以外にも、[[メルボルン]]、[[パース (西オーストラリア州)|パース]]、[[シドニー]]、[[プレトリア]]、[[オタワ]]などで鋳造された。これらの硬貨には鋳造所を示す[[ミントマーク]]が刻まれ、判別を容易にしている。
 
==種類==
長期間にわたって大量に鋳造され現存するので、この金貨もフランスの[[ナポレオン金貨]]のように、[[地金型金貨]]に準じた扱いで取引されているが、ヴィクトリア女王のヤングヘッドタイプ以前のものについては、年号により非常に希少なものも存在し、高値で取引されている。ジョージ3世の1819年銘、ジョージ4世の1828年銘、ヴィクトリア女王の1841年銘、1875年銘メルボルン鋳造、エドワード7世の1908年銘オタワ鋳造、ジョージ5世の1917年銘が特に貴重なタイプとなっている。但し、ジョージ4世とジョージ5世のコインについては、この希少年号のコインは非常に多くの贋物が存在し、高プレミアムの取引には専門的な真贋の鑑定眼が必要となる。
ここでは、新しいソブリン金貨について述べる。
[[Image:1915-half-sov-reverse.JPG|240px|thumb|1915年銘 半ソブリン金貨の裏面<br> (セントジョージと竜)]]
一時期新しいソブリン金貨は楯に描かれた紋章表は国王図案のコインも鋳造されてい横顔であったが、裏には[[ゲオルギウス|セントジョージ]]が竜を退治している図案が描かれ、以後この図案がソブリン金貨の代表的な図案となった。この他の図案として、楯に描かれた紋章の図案のコインも鋳造されていた時期がった。なお、当時のイギリス硬貨にはこの金貨を含め、ほとんどの硬貨に額面表示は無く、その大きさと重量で額面を表していた。
 
イギリスの硬貨の表の肖像は伝統的に君主が交代すれば向きも変わり、[[ジョージ3世 (イギリス王)|ジョージ3世]]の肖像は向かって右向きであった。{{Clear}}
 
 
*[[ジョージ3世 (イギリス王)|ジョージ3世]]の肖像
[[Image:Sovereign George III 1817 641656.jpg|240px|thumb|1817年銘 最初のソブリン金貨<br> 表面:月桂冠を戴くジョージ3世<br> 裏面:セントジョージと竜の図案]]
:1817~1820年 表:月桂冠を戴く肖像 裏:セントジョージと竜
*[[ジョージ4世 (イギリス王)|ジョージ4世]]の肖像
:1820~1825年 表:月桂冠を戴く肖像 裏:セントジョージと竜
:1825~1830年 表:月桂冠無しの肖像 裏:王冠を戴く盾に描かれた紋章
*[[ウィリアム4世 (イギリス王)|ウィリアム4世]]の肖像
:1831~1837年 表:月桂冠無しの肖像 裏:王冠を戴く盾に描かれた紋章
*[[ヴィクトリア (イギリス女王)|ヴィクトリア女王]]の肖像
[[Image:Sovereign Victoria 1842 662015.jpg|240px|thumb|1842年銘 ソブリン金貨<br> 表面:ヴィクトリア女王ヤングヘッド<br> 裏面:紋章の描かれた楯の図案]]
:1838~1874年 表:ヤングヘッド 裏:王冠を戴く盾に描かれた紋章
:1871~1885年 表:ヤングヘッド 裏:セントジョージと竜
このヤングヘッドタイプの金貨は数多くの刻印を持って鋳造され、1863~74年の間に鋳造されたものには夫々の刻印番号が付加されていた。
:1887~1892年 表:ジュビリーヘッド 裏:セントジョージと竜
:1893~1901年 表:オールドヘッド 裏:セントジョージと竜
*[[エドワード7世 (イギリス王)|エドワード7世]]の肖像
:1902~1910年 表:月桂冠無しの肖像 裏:セントジョージと竜
*[[ジョージ5世 (イギリス王)|ジョージ5世]]の肖像
:1911~1925年 表:月桂冠無しの肖像 裏:セントジョージと竜
*[[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]の肖像
:1937年 プルーフ貨のみ 表:月桂冠無しの肖像 裏:セントジョージと竜
*[[エリザベス2世 (イギリス女王)|エリザベス2世]]の肖像
:1957~1968年 表:月桂冠を戴く肖像 裏:セントジョージと竜
:1974~1984年 表:ティアラを戴く肖像 裏:セントジョージと竜
:1985~1988年 表:王冠を戴く肖像 裏:セントジョージと竜
:1989年 プルーフ貨のみ 昔のソブリン金貨の図案を復刻(玉座の女王)
 
===ミントマーク===
また、イギリス本国でだけでなく、広く英植民地でも流通したため、[[ロンドン]]王立造幣局以外にも、[[メルボルン]]、[[パース (西オーストラリア州)|パース]]、[[シドニー]]、[[プレトリア]]、[[オタワ]]など次の場所で鋳造された。これらの硬貨には鋳造所を示す[[ミントマーク]]が刻まれ、判別を容易にしている。
 
・M:[[メルボルン]]
・P:[[パース (西オーストラリア州)|パース]]
・S:[[シドニー]]
・C:[[オタワ]]
・SA:[[プレトリア]]
・I:[[ボンベイ]]
 
==希少価値==
ソブリン金貨は長期間にわたって大量に鋳造され現存するので、この金貨もフランスの[[ナポレオン金貨]]のように、[[地金型金貨]]に準じた扱いで取引されているが、ヴィクトリア女王のヤングヘッドタイプ以前のものについては、年号により非常に希少なものも存在し、高値で取引されている。ジョージ3世の1819年銘、ジョージ4世の1828年銘、ヴィクトリア女王の1841年銘、1875年銘メルボルン鋳造、エドワード7世の1908年銘オタワ鋳造、ジョージ5世の1917年銘が特に貴重なタイプとなっている。但し、ジョージ4世とジョージ5世のコインについては、この希少年号のコインは非常に多くの贋物が存在し、高プレミアムの取引には専門的な真贋の鑑定眼が必要となる。
 
==備考==
同様の金貨に、半ソブリン(10シリング)、2ポンド、5ポンドの各金貨があるが、2ポンドや5ポンド金貨は2ソブリンなどというような表現はしない。
 
なおまた、[[1974年]]から以降は、完全な[[地金型金貨]]として現在まで発行されが続いており、現在も額面は記されいないが1ポンドの法定貨幣であるが、。(実際には金地金価格と連動した価格で取引されてい
 
 
この金貨をソブリン(君主)と呼ぶのは、[[1489年]]に発行されたの20[[シリング]]=1ポンド金貨に、当時の国王[[ヘンリー7世 (イングランド王)|ヘンリー7世]]の肖像が刻まれていた事に因む。
 
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