「本位貨幣」の版間の差分

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[[画像:1yenM4.jpg|thumb|right|240px|日本の本位貨幣(原貨)<br>旧1円金貨・明治4年銘]]
'''本位貨幣'''(ほんいかへい)は、その国の[[貨幣]]制度が[[金]]、もしくは[[銀]]に裏づけされている場合([[金本位制]]・[[銀本位制]])に、その平価に相当する一定量の[[貴金属]]を含み、実質価値と標記額面との差の無い貨幣のことである。貨幣とは本来はこの本位貨幣を表すことばである。これに対して本位貨幣以外の非鋳貨は、貨幣の代用物として、「[[通貨]]」と読んで区別してきたが、銀行券の本位貨幣への兌換性が失われた今日では貨幣と通貨は重複した意味で用いられる場合が多い。また、[[硬貨]]という言葉は通常コインという意味で使われるが、経済学ではハードカレンシーの訳語として、国際決済通貨や、本位貨幣のことを表す場合がある
 
本位貨幣は、[[補助貨幣]]と異なり、使用枚数などの制限の無い無制限通用力を有しているので、「無制限法貨」と呼ばれる。また、本位貨幣は自由鋳造、自由融解が認められている(ただし<ref>自由鋳造これ自由融解と地金の鋳貨化・鋳貨の地金化の自由を指しているもので、硬貨の鋳造権が自由に与えられているわけという意味ではない。</ref>。実際には本位貨幣は流通に十分な量が確保できない場合もあり、この本位貨幣との兌換を前提とした銀行券([[兌換紙幣]])が発行される。

本位貨幣を1国の貨幣単位の基本として、補助貨幣・兌換紙幣・各種信用における貨幣の代用物から構成される貨幣秩序の体系を「本位貨幣制度」(monetary standard system)と称する。ただし、それぞれの国の経済状況などから本位貨幣制度も複雑であり、金貨・銀貨ともに本位貨幣とする[[金銀複本位制|複本位制]]や金貨の自由鋳造は認めるが銀貨には制限を加える跛行本位制、一定量の金地金そのものを本位貨幣とする金地金本位制、他国の本位通貨である金貨をそのまま本位貨幣として採用する金為替本位制など複数の仕組が存在している。
 
日本では[[新貨条例]]により[[1871年]]から発行された旧[[金貨]]の1、2、5、10、20円と、貨幣法により金平価を半減した新金貨の5、10、20円がある。いずれも[[1987年]][[5月31日]]限りで廃止となった。
 
[[イギリス]]では[[1816年]]に法的に世界で最初に[[金本位制]]が採用され、[[ソブリン金貨]]と呼ばれる本位金貨が鋳造され流通した。イギリスの金保有高はそれほど高くは無かったものの、当時の産業・金融はイギリスの一国優勢のもとにあり、多国間の金融決済機能がイギリスの首都[[ロンドン]]に集まっていたこと、広大な植民地から地金や各国通貨を集積する金融システムが確立していたために安定しており、[[20世紀]]初頭までに世界各国がイギリスとの取引を念頭に置いた金本位制を採用した。2度の世界大戦や世界恐慌による金本位制の一時中断を経て、第2次世界大戦後は[[IMF]]のもとで[[アメリカ合衆国|アメリカ]]を中心とした[[ブレズン・ウッド体制]]と呼ばれる仕組を打ち立てたが、[[1971年]]の[[ニクソンショック]]によって崩壊し、本位貨幣制度は崩壊して[[管理通貨制度]]・[[変動相場制]]へと移行した。なお、ソブリン金貨は現在も発行されているが、もはや本位金貨としての役目は終え、[[地金型金貨]]としての発行である。
==脚注==
<references />
 
==関連項目==
*[[金本位制]]
*[[銀本位制]]
*[[ソブリン金貨]]
 
 
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