「ピアノ協奏曲第1番 (ブラームス)」の版間の差分

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オーケストラについては、ブラームスの楽器の好み、とりわけ[[ホルン]]や[[ティンパニ]]への興味が早くも現われているが、どちらのパートも演奏が難しいために悪名高い(レパートリーの多い[[ヘルベルト・フォン・カラヤン|カラヤン]]でさえ録音を残していない)。
 
== 演奏時間 ==
当時の協奏曲としては非常に長く、50分にも及ぶ長大なものである。
第1楽章:20~25分
第2楽章:15~18分
第3楽章:11~14分
== 楽章構成 ==
以下の楽章より構成されている。
 
*'''第1楽章 Maestoso''' [[ニ短調]] 4分の6拍子
*:[[ソナタ形式|協奏的ソナタ形式]]。Allegroなどの速度標語を使わず、Maestoso(堂々と、威厳をもって)とのみ書かれており、極めて珍しい。第1主題は[[ティンパニ]]の[[ロール]]とニ短調のオーケストラの和音に乗って[[変ロ長調]]で始まる。経過句になってようやくニ短調となるが、このような出だしの調性をぼかす手法はブラームスの作品にたびたび登場する。[[変ロ短調]]の副主題を経て、[[夜想曲]]風にピアノ独奏が始まる。第2主題は[[ヘ長調]]でピアノ独奏が提示する。展開部では主に第1主題が取り上げられ、定石とは異なり[[イ短調]]で第1主題が再現され、主調に転ずる。副主題、第2主題再現を経て副主題の音価を短くした激しいコーダで締めくくられる。[[カデンツァ]]は置かれていない。
*'''第2楽章 Adagio''' [[ニ長調]] 4分の6拍子
*:3部形式。[[弦楽器]]と[[ファゴット]]による、下降音形の主部に対して、中間部はピアノによる強奏がコントラストをなす。曲の最後に短いカデンツァがある。なお、[[ラテン語]]で祈祷文の一節『[[ミサ曲#Benedictus|ベネディクトゥス]]』が引用されており、これはシューマンの死後の平安を祈ったものとも、夫を喪ったクララ・シューマンの悲しみを慰めようとしたものとも伝えられる。
*:ブラームスはクララへの手紙の中で、この楽章を新たに書き起こしたことについて「あなたの穏やかな肖像画を描きたいと思って書いた」と述べている。
*'''第3楽章 ロンドRondo: Allegro non troppo''' ニ短調 2分の2拍子
*:バロック風のピアノによるロンド主題を中心とした[[ロンド形式]]。ABACABの形をとる。2つの副主題はロンド主題が派生したものと考えられる。中間部では副主題による[[フーガ|フゲッタ]]が展開される。ロンド主題の三現後、2つのカデンツァがあり、最初のカデンツァでニ長調になり、ロンド主題がテンポを緩めて再現した後、第2カデンツァを経てPiu animatoとなり、華麗に曲を結ぶ。
 
== 注 ==
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