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2005年の初版から、殆ど一人(ノート:嶺南#「嶺南」の個人ページ化について)の独特な地理区分、歴史感覚POVで記述されていた。NPOV検証可能性が認められるものだけ残した
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'''甲信地方'''(こうしんちほう)とは、日本の地方区分の一つで、[[本州]]中部の[[内陸]]側を指す。'''にある、[[中央高地山梨県]]'''も呼ばれ[[長野県]]の総称である。
 
「甲信」の名称は、[[東山道]]の[[甲斐国|'''甲'''斐国]]と[[信濃国|'''信'''濃国]]の頭文字を取ったものである。
[[山梨県]]と[[長野県]]の総称である。
 
[[五畿七道]]の'''[[東山道]]'''(とうざんどう)に因んだ名称で、'''[[東山地方]]'''と呼ぶ場合もあるが、この名称が使われることはほとんどない。なお、「甲信」の名称は、[[東山道]]の代表的な[[令制国]]である[[甲斐国|'''甲'''斐国]]と[[信濃国|'''信'''濃国]]の頭文字を取ったものである。
 
[[関東地方]]と併せて'''関東甲信地方'''、または[[東海地方]]と併せて'''東海甲信地方'''と呼称することも多い。
 
==範囲==
*<font color="green">狭義</font>の'''甲信地方'''([[山梨県]]+[[長野県]])
:[[箱根]]以西の内陸側のうち、[[岐阜県]]を[[東海地方]]に編入した際に、この範囲とされる。現行の県で区分した範囲。
*'''[[中山道]]'''('''[[東山道]]'''とも。山梨県+長野県+岐阜県)
:<font color="green">交通史</font>における甲信地方。[[五畿七道]]の'''東山道'''、江戸時代の'''中山道'''に沿った地方区分。五畿七道の東山道から、[[関東地方]]と[[近畿地方]]に当たる地域を除いた範囲。
*'''[[中央高地]]'''(山梨県+長野県[[中信地方|松本諏訪地方]]+[[南信地方|伊那地方]]+岐阜県[[東濃]]地方+[[飛騨国|飛騨地方]])
:<font color="green">交通網、経済史、気象</font>における甲信地方。経済史的には、[[北信地方|水内地方]]を除く「狭義の甲信地方」と、東濃地方や飛騨地方の繋がりが深く、いずれも同じ内陸側に位置しているために、同一の地方として扱われることもある。
:内陸側の交通網では、[[中央自動車道]]・[[中央本線]]・[[飯田線]]・[[高山本線]]などが、幹線として通っている。交通網では、この中央自動車道・中央本線を基軸にした内陸ルートを'''甲信'''として区分し、[[気象]]など[[自然地理学]]では'''中央高地'''と呼んで、同一に扱うことが多い。
:これに対して、[[上信越自動車道]]・[[国道18号]]の沿線は、'''[[上信越|上信]]'''として区分される。
 
== 自然地理 ==
[[糸魚川静岡構造線]](糸静線)が縦断し、[[諏訪湖]]から南に[[中央構造線]]が走る。糸静線沿いに[[上高地]]や[[安曇野]]、[[赤石山脈]](南アルプス)が位置する。
 
[[気候]]は典型的な[[内陸性気候]]を呈しており、[[夏]]でも涼しい。[[霧ヶ峰]]、[[諏訪湖]]畔、[[軽井沢]]などの[[避暑地]]が多く集まる。例外的に、[[北信地方|水内地方]](長野県北部)は[[日本海側気候]]を呈し、岐阜県南西部は[[濃尾平野]]の一角とあって[[太平洋側気候]]を呈している。
 
''(※ [[国道18号]]沿線は斜体で示す。)''
 
* [[山地]]:[[赤石山脈]](南アルプス)、[[飛騨山脈]](北アルプス)、[[木曽山脈]]
* [[盆地]]:[[甲府盆地]]、[[諏訪盆地]]、[[松本盆地]]、[[木曽谷]]、[[伊那盆地]]、[[高山盆地]]、''[[上田盆地]]、[[佐久盆地]]、[[長野盆地]]''
* [[高原]]:[[霧ヶ峰]]、''[[菅平高原]]''
* [[山]]:[[富士山]]、[[八ヶ岳]]、[[蓼科山]]、[[槍ヶ岳]]、[[穂高岳]]、[[焼岳]]、[[乗鞍岳]]、[[御嶽山]]、[[赤石岳]]、''[[白馬岳]]''、''[[浅間山]]''
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* [[川]]:[[笛吹川]]、[[富士川]]、[[天竜川]]、[[木曽川]]、''[[信濃川|千曲川]]''
* [[温泉]]:[[上諏訪温泉]]、''[[別所温泉]]''
 
==地域==
*'''[[中央自動車道]]・[[中央本線]]・[[飯田線]]'''の沿線(長野県中南信地方・山梨県)
:''[[太平洋]]側''である[[東海地方]]や[[南関東]]との結び付きが強い。
:山梨県は、距離的に比較的[[関東地方]]に近く、また国機関の管轄等でも関東地方と同一管轄となっているものが多いことから、[[関東地方]]として扱われることも多い。
:長野県の中央道・中央本線沿線は、糸静線より西側に位置しているためか、東京から名古屋までに跨がる太平洋側との交流が比較的盛んである。[[東海3県]]の私立大学が、[[松本市|松本]]で地方入試を実施することもある。特に[[伊那谷|伊那地方]]は、[[天竜川]]を介して[[遠州灘]]沿岸のとの交流がみられる。
 
*'''[[上信越自動車道]]・[[国道18号]]'''の沿線(長野県東北信地方)
:[[長野市|長野]]や[[軽井沢町|軽井沢]]を初めとする上信越道・[[国道18号]]の沿線は、''[[日本海]]側''である[[北陸地方]]の新潟県との結びつきが強いが北陸地方の他の県との交流はあまり強くない。中央道・中央本線沿線との結び付きは弱い(→[[上信越]])。「[[信越地方]]」として、扱われることも多い。
:元から[[関東地方]]([[高崎市|高崎]]、東京)や北陸地方の一部との交流圏であるが、上信越道や長野新幹線開通以後は、関東地方(高崎、東京)との交流関係もより親密になっている。
 
===主な区割り===
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*長野県・・・北信越大会
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===[[道州制]]と甲信地方===
上記の区割りのように、現行での府県の区割りでは、交通網の広がりと一致しないとも言える。このため、道州制を導入するに当たっては、現行の県を分割するなどして、以下のようなパターンが挙げられている(便宜上、表記を「道」で統一する)。
 
*'''[[山梨県]]と[[長野県]]を[[関東地方|関東]]に編入するパターン'''
:[[地方制度調査会]]([[諸井虔]]会長)を初めとする[[東京都|東京]]([[首都|中央]])の政財界や、[[中央省庁]]に多く見られる。地方制度調査会は、[[関東地方]]との経済的繋がりから、山梨県と長野県を関東('''[[北関東]]道'''や'''[[南関東]]道''')の外縁として編入する枠組みを出している。この場合新潟県も含めて'''関東[[甲信越地方|甲信越]]'''としたり、さらに静岡県を入れて関東甲信越静とすることが多い。
:山梨県は、北関東との交流関係は限定的だが、南関東(静岡県を含む)との関係が密接である。一方長野県では、北部で新潟県あるいは北関東との結び付きが強いほか、南部では南関東(山梨県及び静岡県を含む)との結び付きが強い。
 
長野県を北関東、山梨県を南関東に区分するパターンは、経済的・文化的に合理的ではあるが、[[太平洋]]側との関係が深い[[中央本線]]・[[飯田線]]沿線からの反発も予想される。
 
*'''[[山梨県]]と[[静岡県]]が合併するパターン'''
:共に[[富士山]]麓に位置する山梨県と静岡県が合併するパターン。'''[[南関東]]道'''に編入するか、''[[三遠信]]や[[東海3県]]''と合併するかの二つのパターンがある。
 
:[[平松守彦]]・前大分県知事が、この案を出している。平松案では、長野県全域を'''[[北信越地方|北陸信越道]]'''として、山梨県と岐阜県を'''東海道'''としている。
:しかし、甲信地方と東海地方は、[[糸魚川静岡構造線|糸静線]]([[親不知]]~[[諏訪湖]]~[[安倍川]])を境に地域圏が大きく変わっており、糸静線より東側は[[東京都|東京]]との、西側は[[名古屋市|名古屋]]との繋がりが大きいことも考慮すべきとされる。
 
山梨県と静岡県がともに[[南関東]]に属する枠組みにより、経済的・文化的繋がりを尊重しようとする動きもある。
 
*'''[[長野県]]を[[北陸地方|北陸]]に編入するパターン'''
:特に[[新潟県]]の自治体関係者に多く見られる。新潟県と長野県が合併して'''[[信越地方|信越道]]'''としたり、北陸地方と長野県が合併して'''[[北信越地方|北陸信越道]]'''とするパターンである。
:しかし、一般に「信越」と呼ばれる地域は主に[[国道18号]]沿線であり東西に広いため、現実的な経済的・文化的繋がりに整合しないともいわれる。
 
*'''長野県と岐阜県が[[愛知県]]と合併するパターン'''
:[[尾張国|尾張]]・[[西三河]]地方の財界や、[[三遠信]]の自治体関係者に見られる。甲信地方と東海地方の交流関係や、[[名古屋市|名古屋]]を中心にした交通網の広がりから、[[三重県]]・[[愛知県]]・[[静岡県]]・[[岐阜県]]・[[長野県]]の全域を「''中部五県''」や「'''中部道'''」と総称して一括するパターンである。
:但し、県を分割しないと、長野県の場合は、新潟県との交流が深い[[国道18号]]沿線からの、静岡県の場合は、南関東との交流が深い[[沼津市|沼津]]近辺からの反発が予想される。{{要出典}}
 
==歴史==
===[[律令制|律令時代]]===
[[律令制|律令]]時代には、[[畿内]]から東の内陸側は、'''[[東山道]]'''として区分された。当時の東山道は、現在の[[滋賀県]]([[近江国]])、[[岐阜県]]([[美濃国]]・[[飛騨国]])、[[長野県]]([[信濃国]]。一時期は[[諏方国]]も並立した)、[[山梨県]]([[甲斐国]])、[[群馬県]]([[上野国]])、[[栃木県]]([[下野国]])に相当する広大な地方であった。しかし、これらの国々は同じ内陸側ではあったが、「一つの地方」としての総まりには乏しかった。
 
===[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]===
戦国時代末期になると、[[甲府市|甲府]]([[甲斐国]])に[[武田信玄]]、[[諏訪市|上諏訪]]([[信濃国]])に[[諏訪頼満]]、[[岐阜市|岐阜]]([[美濃国]])に[[斎藤道三]]と[[織田信長]]が、[[飛騨国]]に[[三木直頼]]が、それぞれ本拠地を構えた。[[武田氏]]などによって、交通網が整備されるようになった。
 
中でも、織田信長が東山道の二国である[[美濃国]]と[[近江国]]を地盤として、[[東海道]]諸国に勢力を伸ばすと、これ以後の東山道の勢力は一変する。[[米原市|米原]]から岐阜にかけての東山道は、「''内陸側''」から「''[[東海道]]の要衝''」に色を変えた。その結果、東山道は美濃国を除いて、「''地方豪族の拠点''」の色が濃くなった。この「''東海道の要衝''」という色がピークに達した時が、[[1600年]]の[[関ヶ原の戦い]]であった。
 
一方で、岐阜以東の東山道には、東山道の一大武将であった[[武田氏]]などによって、交通網が整備されるようになった。
 
===[[江戸時代]]===
[[江戸幕府]]は、[[江戸]]と[[京都]]を結ぶ内陸側の幹線道路として、[[中山道]]と[[甲州街道]]を整備した。これ以来、東山道は'''中山道'''と呼ばれるようになる。これ以後、甲信地方は、「中山道」という「線」の総まりを持つようになった。
 
甲信地方には、[[天領]]として[[甲府藩]]や[[高山代官所]]が置かれ、[[藩]]としては[[松本藩]]や[[高遠藩]]や[[信濃飯田藩|飯田藩]]などが置かれた。但し、[[木曽郡]]と[[東濃]]地方は、[[尾張藩]]のエリアとなった。
 
[[尾張藩]]は[[林業]]を基盤産業として奨励したため、[[木曽谷]]や[[高山盆地]]は[[木材]]の産地となった。尾張藩の領地以外でも、[[伊那盆地]]も木材の産地となった。また、[[東濃]]地方で[[陶磁器]]が主力産業になったのも、この時代からである
 
===[[明治]]から第二次大戦まで===
明治時代に入ると[[鉄道]]が整備され、[[中央本線]]・[[信越本線]]・[[高山本線]]・[[太多線]]などが敷設された。特に、[[養蚕業]]が国家の主力産業として位置付けられたため、養蚕業の盛んな地方となり、内陸側(''甲信地方'')同士の地域間交流も親密になった。現在の[[信州大学]][[繊維]]学部は、旧制上田蚕糸専門学校(国立)が母体になっている。
 
===第二次大戦後===
[[高度経済成長]]期から高速道路の建設が始まると、[[中央自動車道]]も建設された。{{要出典範囲|以来、対[[東京特別区|東京]]や対[[名古屋市|名古屋]]の交流関係が増すと、東京や名古屋への流出が進むようになり|自動車道が出来たから流出したと示す出典}}{{要出典範囲|内陸側同士の地域間交流が課題となっている。}}
 
==経済==
涼しい気候を利用して、[[明治]]時代には[[養蚕業]]が多く立地し、[[高山盆地]]や[[伊那盆地]]の[[山村]]から女性工員が、[[諏訪湖]]界隈に多く集まった。そして、[[第二次世界大戦|第二次大戦]]後は[[時計]]などの[[精密機器]]工業が多く立地している。この経緯から、特に[[諏訪市|上諏訪]]・[[諏訪大社]]周辺は、「日本の[[スイス]]」とも呼ばれていた。
 
===第一次産業===
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*[[国道19号]]
*[[国道20号]]
*[[国道21号]]
*[[国道41号]]
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*[[国道52号]]
183 ⟶ 130行目:
*[[国道153号]]
*[[国道158号]]
*[[国道257号]]
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*[[中山道]] [[東山道]] [[甲州街道]]
*[[中央本線]] [[信越本線]]([[しなの鉄道線]])
*[[東山地方]](呼称についてはこちらのページへ。)
*[[フォッサマグナ]]
*日本海側:[[北陸地方]] [[信越地方]] [[上信越]] [[甲信越地方]]
*太平洋側:[[南関東]] [[東海地方]] [[東海3県]]
*[[中部地方]]