「適応度」の版間の差分

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数学的な定義では「ある形質をもたらす対立遺伝子(進化ゲーム理論のばあいは戦略)が集団中に広まる速度」と言うことができる。たとえば二組のカップルがおり、一方が遺伝子Xの影響で生涯に6匹の子をもうけたとする。もう一方は対立遺伝子Yの影響によって生涯に4匹の子をもうけたとする。この群れの平均産子数は(4+6)/2=5であり、Xの適応度は6/5=1.2となる。Yの適応度は4/5=0.8となる。この値を相対適応度と呼び、集団遺伝学、生態学などで通常用いられるのは相対適応度である。集団全体の相対適応度は常に1である。そのため相対適応度が1であればその遺伝子は広まりも減りもしないが、1より小さければ集団内で次第に数を減らし、1より大きければ次第に数を増す。値が大きければ大きいほど急速に広まる。この例ではXが増してゆく。
 
適応度をある個体の子孫だけでなくその親族、あるいは同じ対立遺伝子を持つ可能性のある他個体にまで広げたものを[[包括適応度]]と言う。社会性行動の進化を扱うさいには包括適応度を用いなければならない。
 
適応度の概念を提唱し、数学的なモデルとして構築したのは集団遺伝学者[[ロナルド・フィッシャー]]、[[J・B・S・ホールデン]]、[[シュワール・ライト]]らであった。W.D.ハミルトンはこれを拡張して包括適応度を提唱した。さらに後年、G.プライスの共分散則を取り入れて、包括適応度を親族以外にも適用できる概念へと拡張した。