「マンセル表色系」の版間の差分

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{{色}}
'''マンセル・カラー・システム'''(Munsell color system)は、[[色]]を数値的に表すための体系([[表色系]])の一種で、色彩を色の3属性([[色相]]、[[明度]]、[[彩度]])に基づいて表現する。アメリカの画家、美術教育者であるアルバート・マンセル([[:en:Albert Henry Munsell|Albert H. Munsell]])(1858-1918)によって、色という概念を系統的に扱うため創り出された。'''マンセルシステム'''、'''マンセル[[表色系]]'''あるいは'''マンセル色体系'''などとも言う。
[[画像:MunsellColorCircle.png|thumb|300px|マンセルの色相環]]
'''マンセル・カラー・システム'''(Munsell color system)は、[[色]]を[[定量的]]に表す体系である[[表色系]]のひとつで、色彩を[[色の三属性]]([[色相]]、[[明度]]、[[彩度]])によって表現する。マンセル表色系は日本では、[[日本工業規格|JIS]] Z 8721(三属性による色の表示方法)として規格化されている。'''マンセル表色系'''、'''マンセル色体系'''、'''マンセル システム'''とも言う。
 
アメリカの画家、美術教育者であるアルバート・マンセル([[:en:Albert Henry Munsell|Albert H. Munsell]])(1858-1918)によって、作り出された。色の名前の付け方が曖昧で誤解を招きやすいことから、10進数を使って合理的に表現したいと考えたマンセルは、[[1898年]]に研究を始め、[[1905年]]にその成果を『A Color Notation」(』(色彩色)記法)という本著した。これを[[1943年]]にアメリカ光学会(OSA)が視感評価実験によって修正したものが、現在のマンセル表色系の基礎となっている。そのため、'''修正マンセル表色系'''という場合もある。なお、マンセルの新しい版の書籍である「Munsell Book of Colors」は現在でも使われている。
 
表色系は各種あるが、マンセルの表色系は[[美術]]、デザイン分野でよく使われる。
 
== 色の3属性 ==
マンセル表色系における色の三属性について個別に述べる。
{{色}}
表色系でいう色の3属性について個別に記す。
 
*=== 色相 (Hue) ===
[[色相]]は'''[[赤]]'''、'''[[黄]]'''、'''[[緑]]'''、'''[[青]]'''といった色の様相の相違である。特定の[[波長]]が際立っていることによる変化であり、際立った波長の範囲によって、[[定性的]]に記述できる。ただし、常に同じ波長が同じ色に見える訳ではない。この総体を順序立てて円環にして並べたものを'''色相環'''(hue circle)と言う。
: [[画像:MunsellColorCircle.png|thumb|300px|マンセルの色相環]]
{|cellpadding="6" cellspacing="3"
: 色相はいわば色の種類を表すものである。マンセルはこれを基本となる5色、すなわち
|色相の連続的な変化
:* 赤 (R)
|width="20px" bgcolor=#ef0000|
:* 黄 (Y)
|width="20px" bgcolor=#e88000|
:* 緑 (G)
|width="20px" bgcolor=#f0e000|
:* 青 (B)
|width="20px" bgcolor=#80e800|
:* 紫 (P)
|width="20px" bgcolor=#0fc010|
: と中間の5色、すなわち
|width="20px" bgcolor=#04a085|
:* 黄赤 (YR)
|width="20px" bgcolor=#0059cc|
:* 黄緑 (GY)
|width="20px" bgcolor=#2000e0|
:* 青緑 (BG)
|width="20px" bgcolor=#8000c8|
:* 青紫 (PB)
|width="20px" bgcolor=#e000af|
:* 赤紫 (RP)
|}
: の合計10色に分割した。さらにそれらの色相を10で分割した計100色相で表現した。これを順番に円形に並べたものを'''色相環'''という。
 
マンセルは色を5つ(R、Y、G、B、P)に分け、更にと中間にYR、GY、BG、PB、RP)の5つを設けた。さらにそれらの色相を10で分割した計100色相で表わした。
: 色相環では各色の基本10色を5で、10分割した色を10として色名の頭文字に付加して表現する。黄色であれば5Y、青緑であれば10BGとなる。100分割した色の場合、それぞれ1~4、6~9を付ける。
* R (赤)
* YR (黄赤)
* Y (黄)
* GY (黄緑)
* G (緑)
* BG (青緑)
* B (青)
* PB (紫青)
* P (紫)
* RP (赤紫)
 
色相環では各色の基本10色を5で、10分割した色を10として色名の頭文字に付加して表現する。黄色であれば5Y、青緑であれば10BGとなる。100分割した色の場合、それぞれ1~4、6~9を付ける。
* 明度 (Value)
: これは色の明るさを示すものである。白や黒など色を持たないものを'''無彩色'''といい、これを基準に明度は決められる。すなわち無彩色の中で最も明るい白を明度の10とし最も暗い黒を明度0とし、その中間の明るさ、いわゆる灰色に2~9の数字を割り当てる。理想的には白は光の全反射、黒は全吸収するものが物理的定義であるが、現実の色票(色見本)などではそれは不可能なので、白は9.5、黒は1の値を用いる。
 
*=== 度 (ChromaValue) ===
明度は色の明るさを意味する。
: 色の鮮やかさを示す。彩度は色のない無彩色を0として色の鮮やかさの度合いにより数字を大きくしていく。ただし彩度は上記の色相と明度によって最大値が異なり、また10でもない。最も大きい5Rでは14、低い5BGでは10となる。(当初は8であったが修正された。)
{|cellpadding="6" cellspacing="3"
: 無彩色に対し色を持つ(彩度が0より大きい)ものは'''有彩色'''という。
|明度の連続的な変化
|width="20px" bgcolor=#000000|
|width="20px" bgcolor=#191919|
|width="20px" bgcolor=#323232|
|width="20px" bgcolor=#4B4B4B|
|width="20px" bgcolor=#646464|
|width="20px" bgcolor=#7D7D7D|
|width="20px" bgcolor=#969696|
|width="20px" bgcolor=#AFAFAF|
|width="20px" bgcolor=#C8C8C8|
|width="20px" bgcolor=#E1E1E1|
|width="20px" bgcolor=#fafafa|
|}
極度に色味の弱い色である、黒、灰、白など色を基準に明度は決められた。すなわち無彩色の中で最も明るい白を明度の10とし最も暗い黒を明度0とし、その中間の明るさ、いわゆる灰色に2~9の数字を割り当てる。理想的には白は光の全反射、黒は全吸収するものが物理的定義であるが、現実の色票(色見本)などでは不可能なので、白は9.5、黒は1の値を用いる。色を持たないものを'''無彩色'''といい、無彩色に対して、色味を持つものは'''有彩色'''という。
 
=== 彩度 (Chroma) ===
3個の属性を合わせた表記方は、
彩度は色の鮮やかさを意味する。
{|cellpadding="6" cellspacing="3"
|彩度の連続的な変化
|width="20px" bgcolor=#800000|
|width="20px" bgcolor=#800d0d|
|width="20px" bgcolor=#851b1b|
|width="20px" bgcolor=#862828|
|width="20px" bgcolor=#803434|
|width="20px" bgcolor=#804040|
|width="20px" bgcolor=#804d4d|
|width="20px" bgcolor=#805959|
|width="20px" bgcolor=#806666|
|width="20px" bgcolor=#807373|
|width="20px" bgcolor=#808080|
|}
{|cellpadding="6" cellspacing="3"
|         
|width="20px" bgcolor=#008000|
|width="20px" bgcolor=#0d800d|
|width="20px" bgcolor=#1b851b|
|width="20px" bgcolor=#288628|
|width="20px" bgcolor=#348034|
|width="20px" bgcolor=#408040|
|width="20px" bgcolor=#4d804d|
|width="20px" bgcolor=#598059|
|width="20px" bgcolor=#668066|
|width="20px" bgcolor=#738073|
|width="20px" bgcolor=#808080|
|}
{|cellpadding="6" cellspacing="3"
|         
|width="20px" bgcolor=#000080|
|width="20px" bgcolor=#0d0d80|
|width="20px" bgcolor=#1b1b85|
|width="20px" bgcolor=#282886|
|width="20px" bgcolor=#343480|
|width="20px" bgcolor=#404080|
|width="20px" bgcolor=#4d4d80|
|width="20px" bgcolor=#595980|
|width="20px" bgcolor=#666680|
|width="20px" bgcolor=#737380|
|width="20px" bgcolor=#808080|
|}
彩度は色のない無彩色を0として色の鮮やかさの度合いにより数字を大きくしていく。ただし彩度は上記の色相と明度によって最大値が異なり、また10でもない。最も大きい5Rでは14、低い5BGでは10となる。(当初は8であったが修正された。)
 
== 表示の方法 ==
: 有彩色: 色相 明度/彩度
色の三属性をあわせた表記法は、「'''色相 明度/彩度'''」である。ただし、無彩色は「'''N 明度'''」などとも記(しる)す。
: 無彩色: N数値
 
である。例として色相5B、明度5、彩度10であれば、
: 5B 5/10
と表記し「ごびーごのじゅう」と読む。
45 ⟶ 113行目:
: N4.5
などと表記する。
[[塗料アクリルガッシュ]]など一部の[[絵具]]などに色はマンセル近似としてこれが表記されている場合がある。
 
この3属性を含めて図示したものを'''マンセルの色立体'''という。前述の色相環の中心に軸を想定しその上下方向が明度を示し軸の底が黒、頂上が白である。また軸からの距離が彩度を示し軸から離れるに従い彩度が上がる。色相、明度により彩度の範囲は異なるため色立体はきれいな円筒形にはならずいびつな球体になる。たとえば赤の代表色である5Rの明度は5の時、彩度14になるのに対し、黄色の代表色5Yの明度8で彩度14で明るい方にずれて歪んでいるにな言える。
 
なおマンセル表色系は日本では、[[日本工業規格|JIS]] Z 8721(3属性による色の表示方法)として規格化されている。
 
== 関連項目 ==
* [[カラーチャート顕色系]]
* 他の表色系・[[色空間]]
** [[RGB]]
** [[CMYK]]
** [[色空間#YCbCr / YPbPr|YCbCr / YPbPr]]
** [[色空間#オストワルト表色系|オストワルト表色系]]
** [[PCCS]] 日本色研配色体系
* [[顔料]]
* [[絵具]]
* [[カラーコーディネーター]]
* [[色調カラーチャート]]
 
== 外部リンク ==