「クローニッヒ・ペニーのモデル」の版間の差分

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29行目:
 
== バンドギャップの生じる理由 ==
ポテンシャルの無い自由電子モデルにおいては波動関数は&psi;<sub>k</sub>(x) = exp(ikx)の形を持つ。
b→0かつU<sub>0</sub>→&infin;の極限を取ったクローニッヒ・ペニーのモデルで求まるエネルギー固有値はk = n&pi;/a(エネルギーバンドの上端)ではポテンシャルが0の[[自由電子]]と等しい。
一方、周期aのポテンシャルを持つモデルにおいては、これに対応する波動関数はブロッホの定理より波動関数は
これはk = n&pi;/aにおいてu(x) ~ exp(i&pi;/2)、波動関数&psi;はx = naの位置で0となりポテンシャルの影響を受けないためである。
:<math>\psi_k(x) = \sum_m c_m e^{i(k-\frac{2 \pi m}{a})x}</math>
この状態からkがわずかに増加するとポテンシャルの影響が現れるようになり、その上ポテンシャルと波動関数の周期がほぼ等しいのでポテンシャルの影響が非常に大きくなる。
の形を持つ。各項の係数c<sub>m</sub>の絶対値(その2乗が波動関数への寄与と考えられる)はm = 0が最大である。
このようにポテンシャルの影響がk = n&pi;/aの位置で不連続に変化する結果、バンドギャップが生じることになる。
 
クローニッヒ・ペニーのデルタ関数型のポテンシャルでは係数c<sub>m</sub>は大雑把には(k-2&pi;m/a)<sup>2</sup>-k<sup>2</sup>の絶対値が小さいほど大きくなる。
もっとも大きい係数c<sub>0</sub>の項と二番目に大きい絶対値を持つ項c<sub>m</sub>2項を用いて波動関数を
:<math>\psi_k(x) = c_0 e^{ikx} + c_m e^{i(k-\frac{2 \pi m}{a})x}</math>
と近似できる。
 
k>0, U<sub>0</sub> > 0の条件を前提とすると、0 < k < &pi;/aにおいては、c<sub>0</sub>とc<sub>m</sub>(m=1)は反符号であり、c<sub>m</sub>の絶対値は0からkが増加するにつれて増加し、&pi;/aでc<sub>0</sub>と等しくなる。
&pi;/a < k < (5/3)&pi;/aにおいては、c<sub>0</sub>とc<sub>m</sub>(m=1)は同符号であり、c<sub>m</sub>(m=1)の絶対値は2(n+1)&pi;/aにおいてc<sub>0</sub>と等しく、kが増加するにつれて減少する。
k = (5/3)&pi;/aにおいて(k-2&pi;m/a)<sup>2</sup>-k<sup>2</sup>の絶対値がm=1とm=2で等しくなり、これよりkが大きくなるとm=2の項の寄与の方が大きくなる。
(5/3)&pi;/a < k < 2&pi;/aにおいてはc<sub>0</sub>とc<sub>m</sub>(m=2)は反符号であり、c<sub>m</sub>(m=2)の絶対値はkが増加するにつれて増加し、2&pi;/aでc<sub>0</sub>と等しくなる。
 
2&pi;/a < k < (13/5)&pi;/aにおいては c<sub>0</sub>とc<sub>m</sub>(m=2)は同符号であり、c<sub>m</sub>(m=2)の絶対値は2(n+1)&pi;/aにおいてc<sub>0</sub>と等しく、kが増加するにつれて減少する。
k = (13/5)&pi;/aにおいて(k-2&pi;m/a)<sup>2</sup>-k<sup>2</sup>の絶対値がm=2とm=3で等しくなり、これよりkが大きくなるとm=3の項の寄与の方が大きくなる。
(13/5)&pi;/a < k < 3&pi;/aにおいてはc<sub>0</sub>とc<sub>m</sub>(m=3)は反符号であり、c<sub>m</sub>(m=2)の絶対値はkが増加するにつれて増加し、3&pi;/aでc<sub>0</sub>と等しくなる。
3&pi;/a < k < (25/7)&pi;/aにおいてはc<sub>0</sub>とc<sub>m</sub>(m=3)は同符号であり、c<sub>m</sub>(m=1)の絶対値は2(n+1)&pi;/aにおいてc<sub>0</sub>と等しく、kが増加するにつれて減少する。
 
以上のように波動関数は変化していくが、k = n&pi;/aにおいては2つの波動関数が解となっている。
すなわちkを小さい側からk → n&pi;/aに近づけた場合の解
:<math>\psi_k(x) = c_0 e^{ikx} - c_0 e^{-ikx}</math>
とkを大きい側からk → n&pi;/aに近づけた場合の解
:<math>\psi_k(x) = c_0 e^{ikx} + c_0 e^{-ikx}</math>
がある。
差の形式の解においては波動関数はポテンシャルが値を持つx = naの位置で0となりポテンシャルの影響を受けず、自由電子モデルの場合と同じエネルギー固有値を持つ。
一方、和の形式の解においては、x = naの位置で波動関数は値を持つのでポテンシャルの影響を受けた分だけ高いエネルギー固有値を持つ。
のようポテンシャルの影響がよりk = n&pi;/aの位置でにおいてエネルギーが不連続に変化ジャンプする結果ことになり、バンドギャップが生じることになる。
 
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[[Category:固体物理学]]
 
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