「誘電分極」の版間の差分

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'''誘電分極'''(ゆうでんぶんきょく、<em lang=en>dielectric polarization</em>)とは、[[帯電]]した物体を[[絶縁体]]([[誘電体]])に接近させることで、帯電した物体に近い側に、帯電した物体とは逆の電荷が現れる現象。'''電気分極''' (<em lang=en>electric polarization</em>) とも言われる。 [[電場]]によって微視的な[[電気双極子]]が整列することで引き起こされる。正負の電荷の組が無数に並んでいる状態であるため、内部にも[[電位]]差が生じている。良く似た現象に[[静電誘導]]があり、こちらは[[導体]]の場合に起きる現象である。
 
[[自由電子]]のない不導体では電荷が移動出来ないため、その表面に電荷が生じるなど有り得ない現象のようにも思えるが、実際には分子自体が電荷の偏りをもっていて(極性分子)これが整列したり、あるいは[[分子内]]の中の[[電子]]がプラス側に偏るため、引き起こされる。
 
この例が、CRTディスプレイ([[ブラウン管]])表面に埃が引きよせられる現象である。これも不導体である埃が上記の現象を起こし、ディスプレイに引き寄せられる。
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[[誘電体]]内部では[[電子]]は自由に動くことができない。このような[[誘電体]]に外から[[電界]]を与えると、[[誘電体]]中の原子(あるいは分子)はプラスの電荷に偏った部分と、マイナスの電荷に偏った部分に分かれる。これを'''電子分極'''と呼ぶ。
 
NaClのようなイオン結晶の場合、外から[[電界]]を与えるとNa+とCl-が相対的に変位して[[電気双極子|双極子]]が発生する。これを'''イオン分極'''('''原子分極''')と呼ぶ。
 
'''配向分極'''は誘電体を構成する分子が極性を持っている場合に考えられる。
[[電界]]がかかっていない場合分子はランダムな方向を向いているため全体としては[[電気双極子]]を持たないが、[[電界]]を与えると分子が配向するために[[電気双極子|双極子]]が生じる。配向分極では一般に双極子モーメントが電子分極やイオン分極よりも大きい。さらに[[電界]]を充分に長時間かけていると電荷単体が[[誘電体]]の中を移動して双極子を生じる。これを'''空間電荷分極'''と呼ぶ。
 
 
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である。'''D''' は[[電束密度]]、'''E''' は[[電場|電場の強さ]]、&epsilon;<sub>0</sub>は真空の[[誘電率]]である。
 
第二項は[[誘電体]]などが無い[[真空]]であったと仮定した際の[[電束密度]]である。
即ち、誘電分極 '''P''' は[[誘電体]]の存在によって生じる[[電束密度]]の真空からのずれを表している。