「化学平衡」の版間の差分

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== 平衡定数 ==
[[質量作用の法則]](化学平衡の法則)で説明できる系において、一般式
一般式
:<math> a_1\mathrm{A}^{1}+a_2\mathrm{A}^{2}+ ... +a_n\mathrm{A}^{n} \ \rightleftarrows\ b_1\mathrm{B}^{1}+b_2\mathrm{B}^{2}+ ... +b_n\mathrm{B}^{n} </math>
で表される[[可逆反応]]が平衡に達したとき、
 
正反応(<math> \rightarrow\ </math>)と逆反応(<math> \leftarrow\ </math>)の速度はそれぞれ [[質量作用の法則]](化学平衡の法則)により
:<math> v_1=k_1[\mathrm{A}^{1}]^{a1}[\mathrm{A}^{2}]^{a2}...[\mathrm{A}^{n}]^{an}</math> (正反応)
:<math> v_2=k_2[\mathrm{B}^{1}]^{b1}[\mathrm{B}^{2}]^{b2}...[\mathrm{B}^{n}]^{bn}</math> (逆反応)
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==== 平衡の移動の補足 その2 ====
H<sub>2</sub>は高温・高圧下で、通常の[[鋼]]の中にある[[炭素]]と反応し[[メタン]](CH<sub>4</sub>)として、取り除かれてしまうために、鋼の[[強度]]が低下し、([[水素脆性]]))、爆発してしまうことがある。[[カール・ボッシュ]]は、内側には炭素をほとんど含まない[[軟鉄]]でH<sub>2</sub>との反応を抑えて、外側には炭素を多く含んだ[[鋼鉄]]で強い圧力を支えるという、特殊なNH<sub>3</sub>合成用の特殊な[[二重鋼管]]を開発しこの問題を解決した。
 
== 例 ==
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で表される。
 
この[[プロセス]]を個々の[[分子]]レベルで見ると次のようになる。
 
酢酸分子は水分子と衝突すると[[酸と塩基#ルイスの定義|ルイス塩基]]である水に[[陽子|プロトン]]を渡し、酢酸イオンと[[オキソニウムイオン]]とを生成する(順方向反応)。
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:<math>\mathrm{CoCl}_2 2\mathrm{NH}_3(\mathrm{solid}) + 4\mathrm{NH}_3(\mathrm{gas})\rightleftarrows\mathrm{CoCl}_2 6\mathrm{NH}_3(\mathrm{solid})</math>
 
ここで温度とアンモニアの圧力を制御しながらコバルト塩の重量を測定することで、上式の変換率およびその時間変化を評価できる。Ternan らの詳細な検討によると<ref>Trudela, J.; Hosattea, S.; Ternan, M. "Solid–gas equilibrium in chemical heat pumps: the NH3–CoCl2 system" ''Applied Thermal Engineering'' '''1999''', ''19'', 495-511. DOI: [http://dx.doi.org/10.1016/S1359-4311(98)00066-0 10.1016/S1359-4311(98)00066-0]</ref>、一定(例: 104 kPa)の圧力の雰囲気下にコバルト塩を置き系の温度をゆっくり昇降させると、高温側では軽い CoCl<sub>2</sub>·&bull;2NH<sub>3</sub> が、低温側では重い CoCl<sub>2</sub>·6NH<sub>3</sub> が優位となる。このとき塩の重量と温度変化をプロットすると、昇温時と降温時でプロット曲線が重ならない[[ヒステリシス]]があらわれた。もしも平衡状態までに達する時間が十分に短ければ昇/降温時の 2本のプロット曲線は重なった形で観測されるだろうから、今回の系でヒステリシスが観測されたということは、アンモニアの脱着に遅い反応が付随すること、すなわち、[[結晶格子]]の拡大や収縮がともなっていることを示している。ヒステリシスは昇降のサイクルに数十時間かけるような条件でも起こったことなどから、上の式が平衡に達するために必要な時間は 100 ないし 1000 時間程度ではないかと見積もられた。この実験では、固-気平衡反応が平衡状態へ到達するまでの過程において、反応式の見かけによらず多くの要因が重なりときには非常に長い時間となることが示されている。
 
== 関連項目 ==