「ロマンス (音楽)」の版間の差分

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ロマンスという語は、[[スペイン語]]の「ロマンセ('''romance''')」ないしは「ロマンサ('''romanza''')」に遡り、もともと[[説話]]や[[口承文学]]を指すものだった。[[18世紀]]にイタリア語経由で音楽用語に取り入れられ、抒情的な楽曲に題名として添えられるようになった。内容的・性格的には、[[バロック音楽]]の[[エール (クラシック音楽)|エール]]の延長上にありながら、主情的で甘美な内容を最大の特色とする点において、[[19世紀]]のさまざまな[[性格的小品|キャラクター・ピース]]の嚆矢になったと言ってよい。とりわけ'''[[無言歌]]'''はフランス語で“'''Romance[s] sans paroles'''”と呼ばれるように、ロマンスを母胎として産み出されている。
 
最も有名な「ロマンス」は、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]の[[ヴァイオリン]]と[[管弦楽]]のための《[[ロマンス第2番_(ベートーヴェン)|ロマンス第2番ヘ長調]]》作品50や、[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]の《[[アイネ・クライネ・ナハトムジーク]]》の第2楽章などが挙げられる。シューマン夫妻は[[ピアノ]]独奏や[[室内楽]]のためのロマンスを好んで作曲し、とりわけ[[ロベルト・シューマン|ローベルト]]による[[オーボエ]]とピアノのためのロマンス集や、[[クララ・シューマン|クララ]]による[[ヴァイオリン]]とピアノのためのロマンス集は、佳作として再評価されるようになった。
 
ベートーヴェンに続く例に[[アントニン・ドヴォルザーク|ドヴォルザーク]]の《ロマンス ヘ短調》作品11がある。モーツァルトは《[[ピアノ協奏曲第20番 (モーツァルト)|ニ短調のピアノ協奏曲]]》の緩徐楽章を「ロマンツェ」と呼んでおり、[[フレデリック・ショパン|ショパン]]の2つの[[協奏曲]]の中間楽章もモーツァルトの前例に倣って、ロマンスと呼ぶにふさわしい音楽をくり広げている。[[エドヴァルド・グリーグ|グリーグ]]の《[[ピアノ協奏曲 (グリーグ)|ピアノ協奏曲]]》や[[セルゲイ・ラフマニノフ|ラフマニノフ]]の《[[ピアノ協奏曲第2番 (ラフマニノフ)|ピアノ協奏曲第2番]]》の中間楽章も、実質的にロマンスと見なして差し支えない。