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(3価と5価のカルボカチオンが存在するのでそれについて加筆)
'''カルボカチオン'''は[[炭素]]原子上に正[[電荷]]を持つ[[カチオン]]のことである。
'''カルボカチオン'''は飽和状態の[[炭素]]から[[電子]]をひとつ取り除くことで生じる[[カチオン]]のこと。正に帯電しているため、負に帯電しているイオンなどと反応しやすいという特性がある。通常は[[炭化水素]]から生じるため、帯電している炭素に[[アルキル基]]が結合している。このアルキル基の数にあわせて第一級カルボカチオン、第二級カルボカチオン、第三級カルボカチオンがある。[[共鳴構造]]の多い第三級が最も安定で、逆に共鳴構造の少ない第一級カルボカチオンは不安定である。従って、第一級カルボカチオンは第二級や第三級のカルボカチオンになりやすい。
電気的に中性な有機化合物の炭素原子から[[ヒドリド]]イオンが脱離した形の3価の炭素のカチオンと、電気的に中性な有機化合物の炭素原子に[[プロトン]]が付加した形の5価のカチオンがある。
 
IUPAC命名法では、そのカルボカチオンにヒドリドイオンを付加した炭化水素の語尾を-yliumに変更して命名するか、そのカルボカチオンからプロトンを除去した炭化水素の語尾を-iumに変更して命名する。
すなわちCH<sub>3</sub><sup>+</sup>はCH<sub>4</sub>メタン(methane)の語尾を-yliumに変更してメチリウム(methylium)、CH<sub>2</sub>メチレン(methylene)の語尾を-iumに変更してメチレニウム(methylenium)と命名する。
CH<sub>5</sub><sup>+</sup>はメタンの語尾を-iumに変更してメタニウム(methanium)と命名する。
このIUPAC命名法に従うと従来3価のカルボカチオンに対してしばしば使用されてきた'''カルボニウムイオン'''(carbonium ion)は5価のカチオンと混同する可能性がある。
そのため、3価のカルボカチオンについては2価の炭素化合物であるカルベン(carbene)にプロトンが付加した形であることを強調して'''カルベニウムイオン'''(carbenium ion)という語が特に使われることもある。
 
==3価のカルボカチオン==
3価のカルボカチオンはアルケンのC=C二重結合にプロトンが付加するなどして生成する。
[[反応中間体]]として考えられているのは通常はこの3価のカルボカチオンである。
正に帯電しているため強い求電子性を持ち、負に帯電しているイオン、[[求核剤]]などと反応しやすいという特性がある。
 
帯電している炭素に結合している[[アルキル基]]の数に応じて第一級カルボカチオン、第二級カルボカチオン、第三級カルボカチオンと呼ばれる。
正電荷を持つ炭素原子に隣接する炭素原子上のC-H結合およびC-C結合との[[超共役]]によって安定化される。
そのような結合の数がもっとも多い第三級が最も安定で生成しやすく、逆に第一級カルボカチオンは不安定で生成しにくい。
また第一級カルボカチオンは生成したとしても、水素原子やアルキル基の1,2-転位([[ワーグナー・メーヤワイン転位]])を起こしてより安定な第二級や第三級のカルボカチオンになりやすい。
二重結合や芳香環に隣接した炭素上に正電荷を持つ[[アリル]]型、[[ベンジル]]型のカルボカチオンは、[[共役]]により正電荷が非局在化するためにより安定化されている。
 
==5価のカルボカチオン==
5価のカルボカチオンは[[超強酸]]中に[[アルカン]]を加えることで生成する。
また[[質量分析法]]においてメタンを使用した化学イオン化法(CI法)を使用する際にこのような化学種の生成が想定されている。
その分子の形や性質について興味が持たれている化学種である。
 
カルボカチオンの分子内にカチオン中心と共役していないC=C二重結合が存在する場合、この二重結合とカチオン中心が3中心2電子結合した化学種が生成することがある。
このようなカルボカチオンは'''非古典的カルボカチオン'''と呼ばれている。
非古典的カルボカチオンは5価のカルボカチオンとも、3価のカルボカチオンの[[共鳴混成体]]とも考えることができる。
このような化学種は2-ノルボルニル p-ブロモベンゼンスルホナートの酢酸中での加溶媒分解の中間体として提唱された。
このような化学種が本当に存在しているかどうかは1960年代から1970年代にかけて大きな論争を巻き起こした。
非古典的カルボカチオンの存在を主張するソウル・ウィンスタイン(Saul Winstein)に対し、[[ハーバート・ブラウン]](Herbert C. Brown)は3価のカルボカチオンの平衡混合物であるという説を主張した。
現在では平衡反応が起こらないような低温や固体中で[[NMR]]を測定しても1種のカチオンしか見られないことや[[計算化学]]からの結果から非古典的カルボカチオンの構造が妥当であると考えられている。
 
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