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『'''戦火の勇気'''』('''Courage Under Fire''')はアメリカの映画で、1996年に製作・公開された。出演は[[デンゼル・ワシントン]]、[[メグ・ライアン]]、[[ルー・ダイアモンド・フィリップス]]、[[マット・デイモン]]他。[[ハリウッド]]が初めて湾岸戦争に正面から向き合った映画として注目されている。またそれまでラブコメの女王として君臨してきたメグ・ライアンが初の兵士めて軍人役に挑戦した、と言う事で公開当時話題になった。
 
この映画は1950年製作・公開の日本映画『[[羅生門 (映画)|羅生門]]』への[[オマージュ]]として製作され、一つの事件に対して目撃者の証言がそれぞれ異なっている。
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[[湾岸戦争]]中の[[砂漠の嵐]]作戦の最中、[[戦車]]部隊隊長のナサニエル・サーリング[[中佐]]([[デンゼル・ワシントン]]/作中では、愛称の『ナット』のみが使われている)は[[バスラ]]で敵の戦車と誤認して部下であり親友のボイヤー[[大尉]]の戦車に向かって射撃命令を下し、殺してしまった。
 
[[湾岸戦争]]終結後、軍は秘密裏にバスラでの友軍の誤射事件の調査を進めているのが判り、サーリング中佐は不安な思いで委員会の調査結果を待った。そしてサーリング中佐は[[ペンタゴン]]に戻り、軍のセレモニーや[[名誉勲章]]などを扱う部署での事務職を命じられるが、[[贖罪]]の機会も与えられないままその仕事をするのはサーリング中佐にとって苦痛以外の何物でもなく、以前にも増して[[アルコール]]に溺れるようになっていた。サーリング中佐の上司であり心の師でもあるハーシュバーグ将軍([[マイケル・モーリアティ]])は事件を軽視し深刻に捉えるなと言い、これからも支援すると約束した。だが『[[ワシントン・ポスト]]』紙の記者トニー・ガートナー([[スコット・グレン]])は何かを嗅ぎ付け、サーリング中佐に取材攻勢をかけてきた。名誉勲章などを扱う部署で勤務するサーリング中佐に命じられた次の仕事は、史上初の女性名誉勲章受章者になるかもしれないカレン・ウォールデン[[大尉]]([[メグ・ライアン]])の調査だった。彼女は医療ヘリに乗り、勇敢に戦って負傷兵を救助した兵士軍人として候補に挙がっているのだ。史上初の女性名誉勲章受章者と言う事で軍にとって最良の宣伝材料になると考えていたペンタゴンは彼女に授与する事に大乗り気だったが、調査を始めてすぐにサーリング中佐は不可解な点に気付かざるを得なかった。
 
まず、ウォールデン大尉に救助された部隊の官兵達の証言。ウォールデン大尉のヘリは[[イラク]]軍の戦車から[[機関銃]]で撃たれ、ヘリから予備の燃料ポッドを落として戦車を爆破した後岩場の向こうに墜落したと証言した。翌朝別の、ウォールデン大尉の上司が指揮を執る救助ヘリと戦闘ヘリが到着した時、岩場の向こうでウォールデン大尉の部隊は[[小銃]]の[[M-16]]を敵部隊に向けて撃っていたと証言した。だがその後、ウォールデン大尉の部隊で生き残った官兵達に小銃M-16について質問すると弾は無くなっていた、誰も撃っていないと証言がまちまちだった。
 
更に、生き残った兵士の部下4人のうち2人はウォールデン大尉は勇敢だったと証言したのだが、1人は全身を癌に冒され、ウォールデン大尉について尋ねると意識朦朧とする中でナパームの炎が…と呟くばかりだった。その上、軍隊内で[[ボクシング]]のトレーニングを受けて除隊後は[[プロボクサー]]になりたいと考えているモンフリーズ[[軍曹]]([[ルー・ダイアモンド・フィリップス]])は、救助の時ウォールデン大尉は恐怖に駆られ、味方に向けて銃を乱射したと証言した。
 
ガートナー記者のしつこい取材攻勢をかわし、調査を進めるサーリング中佐に軍上層部からの圧力がかけられ、そして唯一ウォールデン大尉を臆病者だったと証言したモンフリーズ軍曹までもがサーリングの目の前で自ら命を絶ってしまった。残る有力な証言者はウォールデン大尉と同じ衛生兵のイラリオ([[マット・デイモン]])だけだったが、彼もまた軍から無断で離れ、そして[[MP]](軍隊内の警察)は彼のロッカーから少量の[[ヘロイン]]を発見し、軍隊に戻らないまま彼は[[不名誉除隊]]処分にされており、行方不明であった。ホテルの部屋でイラリオの証言を録音したテープを聞いていたサーリングは証言の中で、イラリオの両親が所有している別荘の湖は美しい、と話している事に気が付き、一か八かの賭けでそこにいくと、湖の傍で一人佇むイラリオを見つけた。サーリング中佐からヘロイン使用の容疑で不名誉除隊にされ、そしてかつての仲間だったモンフリーズも死んだ事を聞かされたイラリオは、ついに重い口を開きウォールデン大尉の死の真相について語り始めた…。