「属人法」の版間の差分

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著作権の準拠法は国籍とは無関係であることを注記
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もっとも、上記の事項には現在では必ずしも属人的な効力を有するとは考えられていないものもある。また、サヴィニーの法律関係本拠地説の発想からすれば、属人法に含まれるのはどういう法かという発想自体が木に竹を接ぐようなものであることは否定できない。そのため、問題となる法律関係について法律関係本拠地説に基づき準拠法を検討した結果、人がどこに行っても常に適用されるような準拠法が指定される場合を、包括的に属人法と呼んでいるのが実情である。したがって、属人法と呼ばれる法の範囲は、国により当然異なる。
 
日本の[[法の適用に関する通則法]]に照らすと、[[自然人]]の行為能力、<!-- [[成年後見制度|成年後見]]の審判の原因、--><!-- 法改正により準拠法というよりは管轄の問題になった。 -->[[婚姻]]、[[離婚]]、[[親子]]関係、[[相続]]などに関する準拠法は属人法とも言える。しかし、日本の国際私法もサヴィニーの見解の影響の下に立法されており、属人法という概念から演繹的にこれらの法律関係の準拠法を決定しているわけではないのみならず、これらの法律関係の中には段階的連結や選択的連結(これらの意義については[[連結点]]を参照)などを採用しているものもあり、属人法という概念で説明する意義は小さいと考えられる。
 
== 属人法と連結点 ==
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属人法と呼ばれる法律関係につき採用すべき[[連結点]]については、伝統的に'''本国法主義'''と'''住所地法主義'''の対立がある。
 
本国法主義とは、当事者の[[国籍]]を連結点とすべきとの考え方であり、18世紀末から19世紀にかけてヨーロッパに[[国民国家]]が成立したことにより国籍概念が確立したことに由来する。[[1804年]]に公布された[[フランス民法典|フランス民法]]が3条3項に「人の身分及び能力に関する法は外国に在るフランス人をも支配する」という規定を置き、本国法主義を採用したことが最初であると言われている。
 
住所地法主義とは、当事者の[[住所]]を連結点とすべきとの考え方であり、フランス民法が制定される前のヨーロッパにおける属人法の考え方は、常に住所地法主義であったとされている。
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[[難民]]については、[[1951年]]に採択され[[1954年]]に効力が発生した[[難民の地位に関する条約]](日本では1982年に発効)が属人法について定めており、これによると難民については住所地法、住所がない場合は居所地法が属人法になり、本国法主義は排除される(12条1項)。これは、本国から迫害されて逃げてきた難民について、国籍を連結点とすることは道義的に適当ではないという考慮に基づく。
 
[[Category{{DEFAULTSORT:国際私法|そくしんほう]]}}
==附:著作権について==
[[Category:国際私法]]
[[著作権]]の内容は[[著作権者]]の国籍により決まる、つまり著作権も属人法の範囲に含まれるという誤解がされることがある。このような誤解は、日本の著作権法6条1項が日本国民の著作物の保護について明記していることなどに由来すると推測される。しかし、この条文は保護の対象となる著作物について規定したものであって、著作権の内容につき国籍を[[連結点]]とする扱いを定めたものではない。著作権の準拠法は、著作権の利用行為があった場所を連結点として準拠法が指定されることに注意を要する(詳細は[[著作権の準拠法]]を参照)。
 
[[Category:国際私法|そくしんほう]]
 
[[de:Personalstatut]]