「ボーイング777」の版間の差分

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{{航空機写真}}
{{ Infobox 航空機
| 名称=ボーイング777
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== 概要 ==
=== 開発の経緯 ===
[[Image:United.b777-200.n772ua.arp.jpg|thumb|right/|250px|ユナイテッド航空の同型 -200ER]]
[[1980年代]]、ボーイングは既に世界最大の旅客機メーカーとして君臨していたが、一方で猛追する[[エアバス]]の脅威にもさらされていた。とりわけリタイヤが進んでいた3発ワイドボディ機[[ロッキードL-1011 トライスター]]や[[マクドネル・ダグラス]]の[[DC-10 (航空機)|DC-10]]の[[後継機]]争いでは、同じくマクドネル・ダグラスの[[MD-11]]やエアバスの[[エアバスA330|A330]]、[[エアバスA340|A340]]に対抗しうる[[旅客機]]を持っていなかった。中でもA340は[[ボーイング747-400]]よりは小さいものの、航続性能ではほぼ互角、しかもA340の方がはるかに燃費が良かった。そこでボーイング社は[[ボーイング767|ボーイング767-300]]とボーイング747-400の間の座席数の差を埋める機体を作るべく[[1986年]]暮れにそのクラスの機体の需要に関して市場調査を開始した。世界中の多くの[[航空会社]]に調査を行い、特にその中でも[[ローンチカスタマー]]の[[ユナイテッド航空]]や[[デルタ航空]]、[[アメリカン航空]]、[[日本航空インターナショナル|日本航空]](現[[日本航空インターナショナル]]、以後「日本航空」と略す)、[[全日本空輸]]、[[キャセイパシフィック航空]]、[[カンタス航空]]、[[ブリティッシュ・エアウェイズ]]には機体の設計についても意見を求めた('''[[#ワーキング・トゥゲザー|ワーキング・トゥゲザー]]''')。そして、[[1989年]][[12月8日]]にボーイング社の取締役会の承認を経て正式に新型機「'''767-X'''」として航空会社に提案されることが決まった。
[[Image:Boeing 777 Cockpit.jpg|thumb|right|250px|777-200型機のコックピット]]
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=== 特徴 ===
[[Image:FGSPD.jpg|right|thumb|250px|[[エールフランス]] 777-200ER型機]]
777の翼幅、胴体長は747-400をも凌ぐ程で、双発機としては世界最大である。エンジンも巨大かつ強力で、その直径は[[ボーイング737]]の胴体に匹敵する程である。[[着陸装置]]と装着されるタイヤも旅客機としては非常に大きなものである。2本の主脚はそれぞれタイヤを6個備えており、このことからも777の巨大さが伺える。ボーイングの民間旅客機部門では初の「6輪ギア」となった。メインデッキ下の貨物室が大きく、旅客だけでなく貨物でも収益が得られる飛行機である。
 
777はボーイング社の旅客機としては初めて操縦系統に[[フライ・バイ・ワイヤ]]を採用した。しかし、同じフライ・バイ・ワイヤの[[エアバス]]製の機体と違い[[操縦桿]]を残すなど、従来の機材を使ってきた航空会社でも違和感なく移行できるコックピットになっている。また、コックピットの表示装置は従来の[[ブラウン管]]から[[液晶ディスプレイ|液晶]]に変更されている。
[[Image:SIA777.JPG|thumb|right/|250px|シンガポール航空 777-200ER型機]]
 
777は、全体をコンピュータ上で設計された最初の商用航空機として知られている。777の設計は[[CATIA]]を用い、世界各地の開発拠点で並行して進められ、「バーチャル777」ともいえる仮想の機体を使って様々な試験が行われた。また777の制御ソフトウェアは、ほぼ全てが[[Ada]]で記述されている。
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主な航空会社の要望を以下に挙げる。
[[Image:Ana-773erーnarita.jpg|thumb|250px|right|全日空の同型-300ER]]
 
; ユナイテッド航空
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: また、ボーイング社は777の機体の大きさから、空港での取り回しを良くするために主翼を折りたためる機能を標準装備にしようと考えていた。しかし、全日本空輸は主翼を折りたたむ機能は機体重量を増加させ、構造も複雑になり整備もしにくくなるとして、この機能を標準ではなくオプションにすることを強く求め、ボーイング社はその求めを受け入れた。これまでこの主翼折りたたみオプションを採用した航空会社は存在しないので、全日本空輸の判断は正しかったといえる。
: 他にも、整備用ハッチをキャビン床に取り付けること、[[ラジアルタイヤ]]を標準仕様にすることも求めた。
 
[[Image:B777-200LR DSC04300.JPG|thumb|250px|right|777-200LR型機。近くにいる人間と比較すると機体の大きさがよく分かる]]
: なお、全日本空輸は欧州路線用に[[エアバスA340]]を5機発注していたが、ワーキングトゥゲザーに招聘されて意見が取り入れられ発注が確定した為これをキャンセルした経緯がある。以降今日まで日本の航空会社がエアバス社の大型機を採用したことは一度もない。
 
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: 他にも、ノーズギヤのパーキングブレーキ表示灯、[[高度計]]の[[QNH]]と[[QNE]]の切り替え機能装備について求め、採用された。
 
 
[[Image:FGSPU.jpg|right|thumb|250px|[[エールフランス]] 777-200ER型機]]
 
[[Image:B777-200LR DSC04302.JPG|thumb|250px|777-200LR Worldliner。他の-200型機や-200ER型機と比較して明らかに巨大なエンジンを搭載しているのが外見上の特徴である。]]
 
== 派生型 ==
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=== 777-200(772A) ===
[[Image:Ba b777-200 g-viid planform arp.jpg|right|thumb|250px|[[ブリティッシュ・エアウェイズ]] 777-200型機]]
 
ボーイング777シリーズの最初のモデル。最大航続距離は5,210海里(9,649km)。1994年6月12日に初飛行。
 
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=== 777-200ER(772B) ===
[[Image:FGSPDFGSPU.jpg|right|thumb|250px|[[エールフランス]] 777-200ER型機]]
777-200の航続距離を延長させたもの(ER:'''E'''xtended '''R'''ange)。開発当初は-200IGW (IGW:Increased Gross Weight) と呼ばれていた。最大航続距離は7,730海里(14,316km)。1996年10月7日に初飛行。
 
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=== 777-200LR(772C) ===
[[Image:B777-200LR DSC04302.JPG|thumb|250px|777-200LR Worldliner。他の-200型機や-200ER型機と比較して明らかに巨大なエンジンを搭載しているのが外見上の特徴である。]]
[[Image:Air India Plane.jpg|thumb|250px|エアインディア 777-200LR型機]]
777-200ERの航続距離をさらに延長させたもの(LR:'''L'''onger '''R'''ange)。世界最長の航続距離を持ち、世界中のほとんどの空港間を結ぶことが出来るその能力から、ボーイング社はこの派生型を「'''Worldliner'''」と名付けている。最大航続距離は9,420海里(17,446km)。2005年11月10日、香港~ロンドン間11,663海里(21,600km)を連続飛行し、民間機の航続距離世界記録を更新した。現在、[[パキスタン国際航空]]、[[エア・インディア]]、[[エア・カナダ]]、[[デルタ航空]]等で運用されている。
 
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=== 777-300(773A) ===
[[Image:FGSQM.PNG|thumb|right|250px|[[エールフランス]] 777-300ER型機 客室ドアが左右側面に5枚ずつある。胴体の尾翼部分下面にテールスキッドが見える。]]
[[画像:Pakistan International - Boeing 777-340ER.jpg|thumb|right|250px|[[パキスタン国際航空]] 777-300ER型機]]
[[画像:Airnz.b777-200er.zk-oka.arp.jpg|thumb|right/|250px|[[エアニュージーランド]] 777-200ER型機]]
胴体を延長した A 需要向けの機材。747-100型機及び-200型機の代替として設計された。双発機で世界最大最長を誇る機体である(73.9m、ちなみに双発機でなければ最長は[[エアバスA340|エアバスA340-600]]<ref>[[ボーイング]]社が[[ボーイング747-8|747-8]]の開発を発表しているが、正式にロールアウトすればこちらが世界最長となる。</ref>)。その長い胴体長ゆえに、胴体後方下部に[[テールスキッド]]を装備し、GMCS(グランド・マニューバー・カメラ・システム)という新機能が搭載され、主脚が誘導路からはみ出さないようコックピットから監視できるようになっている。最大航続距離は5,955海里(11,029km)。
 
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=== 777-300ER(773B) ===
[[Image:FGSQM.PNG|thumb|right|250px|[[エールフランス]] 777-300ER型機 客室ドアが左右側面に5枚ずつある。胴体の尾翼部分下面にテールスキッドが見える。]]
777-300型機の航続距離延長型であり、[[ボーイング747-400|747-400]]型機の後継需要向け機種として設計された。[[エアバスA380|エアバスA380-800型機]]及び747-400型機に続く3番目に大きな商業旅客機である。最大航続距離は7,880海里(14,594km)。初飛行は[[2003年]]2月24日である。