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KAGEROU (会話 | 投稿記録)
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==あらすじ==
日露戦争のころ、当時はやや歳をとった30歳の洋画家である主人公が、山中の温泉宿に宿泊する。やがて宿の「若い奥様」の那美と知り合う。那美出戻りの彼女婚家を追い出された、彼に「茫然たる事多時」と思わせる反面、「今まで見た女のうちでもっともうつくしい所作をする女」でもあった。そんな「非人情」な彼女から、主人公は那美から自分の画を描いてほしいと頼まれる。しかし、彼は、「足りないところがある」と描かなかった。ある日、彼は那美と一緒に彼女の従兄弟(いとこ)で再度満州の戦線へと徴集された久一を見送りに駅まで行く。その時、偶然に野武士のような容貌をした、満州行きの「御金を(彼女に)貰いに来た」別れた夫と那美は発車する汽車の窓ごしに瞬間見つめあう。そのとき彼女の顔に浮かんだ「憐れ」を彼はみてとり、感じて、彼の中「それだ、それだ、それが出れば画女の絵なりますよ」と「那美さんモチーフ肩を叩きな完成した彼女ら小声ささやく云う」という筋を背景に、芸術論を主人公の長い独白とおして織り交ぜ、「久一」や「野武士(別れた夫)」の描写をとおして、戦死者が激増する現実、戦争のもたらすメリット、その様な戦争を生み出す西欧文化、それに対して夏にまで鳴く山村の鶯、田舎の人々との他愛のない会話などをとおして、東洋の芸術や文学について論じ、漱石の感じる西欧化の波間の中の日本人がつづられている。また、漱石がこだわった「探偵」や「胃病」の話が脈絡無くキーワードとしてでる。
 
==芸術論==