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筆跡鑑定では、別の二つ以上の[[文書]]に対して、文字の形態(縦長や横長、角型や丸型など)、書かれ方(はね・止めの仕方、くずし方、筆圧など)、筆癖(癖字や[[筆順]]の違い、点画の位置など)による個人差を比較するなどして、ある文章が本人によって書かれたものか、否かを照合する目的で使われる。人は文字を執筆する際に必ず[[社会]][[環境]]の中で文字を執筆するため、執筆するときの[[環境]]や背景にも注意する事が求められる。
人は訓練することにより、偽筆(ぎひつ)という自身の筆跡を隠したり、模書(もしょ)という他人に似せて文字を書くことが可能なため、形態一致を判定する[[コンピュータ]]などでは不十分であり、[[自動]]的に行うことはできない。このため、筆意(ひつい)という、[[文字]]を[[執筆]]する際の「[[意思]]」などを汲み取り、総合的に判断するために専門の「筆跡鑑定人」が行う。
 
筆跡鑑定のポイントには次の5つがある。
 
(1)筆跡個性……人には個性があるが、それは筆跡にも表れて「筆跡個性」と呼ばれる。
(2)筆跡個性の恒常性……筆跡個性は繰り返し同じようなパターンで表れる。
(3)筆跡個性の稀少性……筆跡個性には非常に珍しい稀少筆跡個性というものがあり、筆跡鑑定の重要な鍵になる。
(4)筆跡個性の無自覚性……筆跡個性はほとんど意識されずに微妙な形で表れ、それだけに模倣は困難である。
(5)個人内変動……筆跡個性がある反面、個人における変化には差異が大きいことが筆跡鑑定を難しくしている。
 
筆跡鑑定は、これらの要素を総合的に検証し考察して筆者を特定する。したがって、アマチュアが思うように「字の形が似ている」というような簡単なものではない。つまり筆跡鑑定とは、文字の形の異同を調べることではなく、「筆跡にあらわれた個性の異同」を調べることといえる。
 
しかし、の実際には、わが国では表面的な文字の形で判断する筆跡鑑定人が多く、そのレベルは高いとはいえない。それは、文字に表れた個性を理解するための「筆跡と性格」、あるいは「筆跡と心理」の研究が不足しているためと言われている。
 
[[人物]]の[[性格]]や[[心理]]を[[分析]]しようとする[[学問]]として[[筆跡学]]というものもあるが、未だ確立された学問は[[日本]]には存在せず、[[統一]]された[[理論]]や方法が今後望まれる。