「朝鮮語のローマ字表記法」の版間の差分

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;朝鮮語学会1940年式
朝鮮人による最初の体系的なローマ字表記法は、朝鮮語学会(現・[[ハングル学会]])が1940年(昭和15年)に作成した「朝鮮語音羅馬字表記法」である。これは同年制定の「外来語表記法統一案」の付録として定められたものであり、M-R式と同じく母音において「ŏ」のような補助記号が用いられている。原則的に発音を写す[[転写 (言語学)|転写]]法であるため、音韻変化を起こす場合は変化後の音を表記するのだが(例えば濃音化:{{lang|ko|신다}} sin<uspan style="text-decoration:underline;">dd</uspan>a {{IPA|ɕin<uspan style="text-decoration:underline;">tʼ</uspan>a}} 「履く」)、一部は変化前の音で表記する(例えば鼻音化:{{lang|ko|밭만}} ba<uspan style="text-decoration:underline;">d</uspan>man {{IPA|pa<uspan style="text-decoration:underline;">n</uspan>man}} 「畑だけ」)。
 
=== 韓国によるローマ字表記法 ===
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;文教部1948年式
正式名称は「{{lang|ko|한글을 로오마 자로 적는 법}}(ハングルのローマ字表記法)」。韓国の建国後、1948年に文教部が定めた「{{lang|ko|들온말 적는 법}}(外来語表記法)」の付録としてローマ字表記法が定められた。「{{lang|ko|ㅋ}}」を「kh」とつづるなど、[[激音]]の表記に「h」を用いている。[[音節]]末子音の表記について、あるものは発音に依拠してつづり(例:{{lang|ko|있다}} i<uspan style="text-decoration:underline;">t</uspan>ta {{IPA|i<uspan style="text-decoration:underline;">t</uspan>tʼa}} 「ある」)、あるものはハングルのつづりに依拠してつづる(例:{{lang|ko|앞만}} a<uspan style="text-decoration:underline;">ph</uspan>man {{IPA|a<uspan style="text-decoration:underline;">m</uspan>man}} 「前だけ」)。
 
;文教部1959年式
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;2. 異音の処理'''
M-R式では平音を有声音字と無声音字の2種類に使い分ける。これは、朝鮮語の平音が語中の有声音間で有声音化するのをローマ字表記に反映させたものであるが、朝鮮語の平音において有声音/無声音は同一[[音素]]の[[異音]]であり、朝鮮語話者は同一の音と認識している。従って、例えば「{{lang|ko|사<uspan style="text-decoration:underline;">과</uspan>}}(リンゴ)」を「sa<uspan style="text-decoration:underline;">g</uspan>wa」、「{{lang|ko|<uspan style="text-decoration:underline;">과</uspan>일}}(果物)」を「<uspan style="text-decoration:underline;">k</uspan>wail」表記するM-R式は、朝鮮語話者にとっては非常に混乱しやすい部分である。このような問題は、日本語の[[ローマ字|ヘボン式ローマ字]]において、「ン」を「m,n」に使い分けるのと同じ問題をはらんでいる。
 
文化観光部2000年式では、初声(音節頭)の平音は常に有声音字で表記する。1つの音素を同一につづるのは理には叶っているが、語頭で無声音化する場合にも有声音字で表記するので、朝鮮語を母語としない話者にとっては違和感を受けることがある。例えば、「{{lang|ko|김포}}」(金浦)は実際には {{IPA|<uspan style="text-decoration:underline;">k</uspan>impʰo}} と発音されるが、文化観光部2000年式によるローマ字表記は「<uspan style="text-decoration:underline;">G</uspan>impo」である。
 
;3. 音韻変化の処理'''
朝鮮語は音韻変化が多様であるが、転写の際にそれら音韻変化をどのように反映させるか否かによっても、表記には少なからぬ差が生じる。イェール式・福井玲式といった翻字法を除くその他の表記法では多かれ少なかれ音韻変化を表記に反映させているが、反映のさせ方は必ずしも一様ではない。例えば、平音の濃音化について、M-R式では変化を反映させて無声音字を用いるのに対して(例:{{lang|ko|압구정}} Ap<uspan style="text-decoration:underline;">k</uspan>ujŏng。通常、語中の平音「{{lang|ko|ㄱ}}」は「g」と表記)、文化観光部2000年式では変化を反映させない(例:{{lang|ko|압구정}} Ap<uspan style="text-decoration:underline;">g</uspan>ujeong。仮に濃音で表記するならば「Ap<uspan style="text-decoration:underline;">kk</uspan>ujeong」)。
 
;4. 補助記号の使用'''