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'''視差'''
もっぱら
*視差により[[距離]]を測定する
*視差があることによる問題
という2つの観点から扱われる。
==視差で距離を測定==
視差を使えば、[[三角測量]]の原理で、対象点との距離を測定できる。
「視差で距離を測定する」と「三角測量で距離を測定する」は原理は同じだが、2点間の[[基線距離]]が対象までの距離より非常に小さく、両点から対象点までの距離の差が問題にならないときに、視差という言葉を使うことが多い。
対象点までの距離は、基線距離を視差(単位[[ラジアン]])で割れば得られる。
===近距離での視差===
人間は無意識のうちに、[[両眼視差]]や[[運動視差]]で距離を測定し、[[立体視]]を得ている。
[[測距儀]]は、両眼視差のしくみを応用した機械装置である。
===地心視差===
[[地心視差]]は、視点が[[地心]]([[地球]]の中心)から離れていることによる視差である。地球上の異なる2点から、あるいは、1点でも異なる時刻に2回観測すれば、距離が得られる。後者はスケールの大きい運動視差ともいえる。
地球上の1点からの地心視差は1[[日]]周期で変動し、これを日周視差という。日周視差は天体が[[地平線]]に見えるときに最大となり、これを地平視差という。
地心視差では、[[太陽系]]内の天体の距離を測定できる。
===年周視差===
[[年周視差]]は、地球が1[[年]]の間に[[公転]]運動することによる視差である。異なる季節に2回観測することで視差を得られる。
ただし実際には、年周視差はきわめて微小で測定が難しいため、1年から数年にわたって観測を続け、その視差運動が描く楕円の軌跡の[[長半径]]を求める。これは1[[天文単位]]を基線距離とする視差になる。(年周視差の誤差率は地球の[[軌道離心率]]よりずっと大きいので、地球軌道は円とみなす)
年周視差では、太陽系外の天体の距離を測定する。
===距離の指標としての視差===
基線距離について合意があれば、距離は視差だけで決まる([[反比例]]する)ので、あえて距離に換算せずとも、視差を表せば距離を表したことになる。
太陽系内の天体には地球の[[赤道半径]]、太陽系外の天体には地球の[[軌道長半径]](いずれも直径ではなく半径)を基線距離とする。
距離を視差で表すメリットとして、[[誤差]]がわかりやすいということがある。たとえば、1000ミリ秒、100ミリ秒という年周視差が誤差10ミリ秒で求まった場合、視差で表せば1000±10ミリ秒、100±10ミリ秒だが、距離で表せば1±0.01[[パーセク]]、10±1パーセクとなり、同じ精度で観測したはずなのに誤差が大きく異なる。さらに相対誤差が大きく、10±10ミリ秒や5±10ミリ秒などとなった場合には、距離の誤差はa±bの形ではうまく表せない。
視差を距離に換算しないにとどまらず、視差以外の方法で得られた距離も視差に換算することがある。たとえば、[[スペクトル型]]と[[HR図]]から[[絶対等級]]を求め、それと[[実視等級]]から距離を求める[[分光視差]]法での結果はしばしば視差で表されるが、視差を測定しているわけではない。
==視差による問題==
太陽系の天体を探す場合は、地心視差を補正した座標を探す必要がある。ただし、年周視差はきわめて微小なので、太陽系外の天体について年周視差を考慮する必要はほとんどない。
[[プラネタリウム]]では、[[投影機]]と客席との視差により、投影機から遠い席では、映像が歪む。
[[二眼レフカメラ|二眼カメラ]]では、[[ファインダー]]と[[対物レンズ]]との視差により、見えた像と写る像が異なる。
{{DEFAULTSORT:しさ}}
[[Category:光学]]
[[Category:位置天文学]]
[[Category:角度]]
[[Category:長さ]]
[[ast:Paralax]]
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