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'''河口域英語'''(かこういきえいご、'''Estuary English''')は、[[1980年]]前後から[[イギリス]]・[[ロンドン]]とその周辺=[[テムズ川]]の(広義の)[[河口]]周辺で使われるようになった[[英語]]で、[[イギリス英語]]の一種。
 
[[イギリス]]では、上流[[階級]]の英語として[[容認発音]] (Received Pronunciation, RP) が[[19世紀]]から広く使われる。一方、その首都ロンドンの[[労働者階級]]の間では、[[コックニー]] (Cockney) と呼ばれる言語が使われてきた。しかし、RP話者とコックニー話者のどちらにも違和感を覚える[[新中間層|新中間階層]]により、そのどちらとも違う新しい英語が作り出されてきた。それぞれ次のような特徴がある。
 
[[イギリス]]では、上流[[階級]]の英語として[[容認発音]] (Received(Received Pronunciation, RP) RP)が[[19世紀]]から広く使われる。一方、その首都ロンドンの[[労働者階級]]の間では[[コックニー]] (Cockney) (Cockney)と呼ばれる言語が使われてきた。しかし、RP話者とコックニー話者のどちらにも違和感を覚える[[新中間層|新中間階層]]により、そのどちらとも違う新しい英語が作り出されてきた。それぞれ次のような特徴がある。
* RPは上流階級らしさが顕著な言語であり、若干「お高くとまった」印象がある。
* コックニーはいわゆる[[下町]]らしさが漂った言語であり、少々「俗っぽい」印象がある。
 
これらの言語の話者とはまた違った層の人々が、“自分たちの言語”として作り上げてきたのが河口域英語だといえる。
 
以前はRPだけで放送を行っていた[[英国放送協会|BBC]]でも、現在では河口域英語を含む多様な英語の話者を採用しており、また社会の[[セレブ|名士]]となされる層の中にも、河口域英語の特徴を取り入れた表現を行う人も少なくない。例えば故[[ダイアナ (プリンセス・オブ・ウェールズ)|ダイアナ]]元[[皇太子妃]]や前[[イギリスの首相|首相]]の[[トニー・ブレア]]の英語は河口域英語の特徴が多少あり、[[ザラ・フィリップス]]([[プリンセス・ロイヤル (称号)|第一王女]]である[[アン (イギリス王女)|アン王女]]の長女)の発音は河口域英語の影響が強い。
 
コックニー発音との共通点:
 
;コックニー発音との共通点:
* [[二重母音]]・[[長母音]]の発音が異なっている。具体的には{{ipa|eɪ}}が{{IPA|aɪ}}と{{IPA|eɪ}}の両方の発音に{例(day{{IPA|daɪ}})} 、{{ipa|aɪ}}が{{IPA|ɒɪ}}と{{IPA|aɪ}}の両方に{例(like{{IPA|lɒɪk}})} 、{{ipa|aʊ}}が{{IPA|æː}}に{例(town{{IPA|tæːn}})}になる。
 
* [[母音]]に挟まれたり後ろに[[歯茎側面接近音]][l]が続く、[[強勢]]のない[[無声歯茎破裂音]]。
 
* 音節末のtをはっきり発音せず[[声門閉鎖音]]となる(water→{{IPA|[wɔːʔə]}} ウォーッア)、(eight{{IPA|eɪt }}→{{IPA|eɪʔ}} エイッ、と息を飲み込むような形)。
 
* 単語末の狭母音や半母音と次の単語の母音との間にrの挿入(America is→America-'''r'''is)。
 
* 強勢のない歯茎側面接近音[l]の円唇後舌母音・半母音化(little {{IPA|lɪʔʊ}}、able {{IPA|eɪbl}}→{{IPA|aɪbɪ}})。