「不当利得」の版間の差分

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不法原因「給付」があったというためには給付は履行の余地を残さない終局的なものでなければならない。たとえば愛人関係の存続を目的にした[[登記]]済[[不動産]]の贈与においては、[[引渡し]]を済ませたというだけでは足りず、登記名義までをも受贈者に移転しなければならない(最判昭和46年10月28日民集25巻8号1069頁)。これは(1)履行の中途での後戻りを認めることにより不法な行為を抑止するとともに、(2)受益者が逆に給付の完成を期すため国に助力を求めることを防止するためである。なお、未登記建物については引渡しにより終局的な給付が認められるので引渡しで足りる(最大判昭和45年10月21日民集24巻11号1560頁)。
 
708条が否定する返還請求権の性質について、条文の位置から不当利得返還請求権であるとも考えられるが、判例は、「同条(民法708条)は、みずから反社会的な行為をした者に対しては、その行為の結果の復旧を訴求することを許さない趣旨を規定したものと認められるから、給付者は、不当利得に基づく返還請求をすることが許されないばかりでなく、目的物の所有権が自己にあることを理由として、給付した物の返還を請求することも許されない」とし、所有権に基づく返還請求も否定されるとしている(最大判昭和45年10月21日民集24巻11号1560頁)。
 
また、給付した物の所有権の帰属に関して、「贈与者において給付した物の返還を請求できなくなったときは、その反射的効果として、目的物の所有権は贈与者の手を離れて受贈者に帰属する」とし、それが「最も事柄の実質に適合し、かつ、法律関係を明確ならしめる所以と考えられる」とする(最大判昭和45年10月21日民集24巻11号1560頁)。
 
== 転用物訴権と騙取金弁済 ==