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[[File:Kodanji Ichikawa IV as Nezumi-kozō Jirokichi.jpg|thumb|250px|四代目市川小團次の鼠小僧<br />(三代目豊国 画)]]
'''鼠小紋東君新形'''(ねずみこもんはるのしんがた)は[[歌舞伎]]の演目名。[[1857年]] ([[安政]]4年)[[1月]]江戸[[市村座]]初演 作者[[河竹新七]](のち[[河竹黙阿弥]])五幕。通称'''鼠小僧'''。
 
'''鼠小紋東君新形'''(ねずみこもん はるの しんがた)は[[歌舞伎]]の演目[[1857年]] ([[安政]]4)[[1]]十一日(1857年2月5日)江戸[[市村座]]初演 作者[[河竹黙阿弥|二代目河竹新七]]のち[[河竹黙阿弥]]作。全五幕。通称'''鼠小僧'''』(ねずみこぞう)
 
== あらすじ ==
与吉は捨て子として、悪人与吉は盗人・月の輪お熊に育てられ、大名や豪商から金子を盗み貧者に分け与える[[義賊]]・鼠小僧となった。今は稲葉幸蔵と名も改め易者平左膳に身を装して鎌倉滑川に潜んでいる。
 
;稲毛屋敷辻番所の場
 
ある晩幸蔵は悪人に金を盗まれ悲嘆にくれる刀屋新助と愛人おもとの難儀を救うため稲毛の屋敷から百両盗むが、。しかし辻番与惣兵衛に見とがめられ、しかも彼が父であることがわかる。今や盗人になった幸蔵は名乗ることもできず涙ながらにその場を立ち去る。(稲毛屋敷辻番所の場)
 
;滑川稲葉内の場
数日後の雪の夜、幸蔵はおもとの弟三吉と稲毛の若党から以前恵んだ金子の極印が原因で、おもと新助が拘引され、父までも盗難の責を問われて入牢したことを知り衝撃を受ける。そこへ別れた女房が盲目となって尋ねるが幸蔵は心ならずも他人のふりをして追い返す。また新助の金を盗んだのが幸蔵母のお熊と分かり、お熊は申し訳なさにわざと幸蔵の手にかかる。
(滑川稲葉内の場)
 
数日後の雪の夜、幸蔵はおもとの弟三吉から衝撃的な知らせを受ける。稲毛の若党から以前恵んだ金子の極印から足原因でついて、おもと新助がっ拘えらえられ、我が・与惣兵衛までも盗難の責を問われて入牢したを知り衝撃を受けいうのである。たまたまそこへ別れた女房が盲目となっててくるが幸蔵は心ならずも他人のふりをして追い返す。またさらにそもそも新助から金を盗んで窮地に追い込んだのが幸蔵母のお熊だったこ分かり、お熊は申し訳なさに自責の念からわざと幸蔵の手にかかって果てる。
すべてを覚悟した幸蔵は潔く自首するも、非情な役人石垣伴作の態度に腹を立てて脱獄。情け深い役人早瀬弥十郎の助けで逃れる。(鎌倉問注所の場)
 
;鎌倉問注所の場
== 概略 ==
天保期に実在した盗賊、[[鼠小僧次郎吉]]に取材した[[松林伯円]]作の[[講談]]の劇化で、江戸情緒豊かな世話狂言である。
 
すべてを覚悟した幸蔵は潔く自首する、非情な役人石垣伴作の態度に腹を立て脱獄。情け深い役人早瀬弥十郎の助けで逃れる。(鎌倉問注所の場)
辻番所での幸蔵と与惣兵衛との親子の名乗りと、稲葉内の幸蔵と三吉とのやり取りが好評で、もっぱらこの二幕が上演される。とくに三吉を演じた当時14歳の十三代目市村羽左衛門(五代目[[尾上菊五郎 (5代目)|尾上菊五郎]])の名子役ぶりは、幸蔵役の四代目市川小團次をもうならせるほどの出来であった。羽左衛門は深川で蜆売りの一挙一動を熱心に観察し舞台に活用したのであった。果せるかなこれが名優菊五郎誕生のきっかけともなった。後年、菊五郎は幸蔵役を演じたとき、実子尾上幸蔵(のちの[[尾上菊五郎 (6代目)|六代目菊五郎]])に三吉役を当てている。
 
== 概略解説 ==
近年では七代目[[尾上菊五郎 (7代目)|尾上菊五郎]]が幸蔵を演じているが、このときは十七代目[[市村羽左衛門 (17代目)|市村羽左衛門]]演じる与惣兵衛が、世話狂言の精髄を凝縮した演技で好評であった。
『鼠小紋東君新形』は、[[天保]]年間に実在した義賊・[[鼠小僧次郎吉]]を題材とした[[松林伯円]]作の[[講談]]の歌舞伎化で、江戸情緒豊かな世話狂言。辻番所で交わされる幸蔵・与惣兵衛の親子の名乗りと、稲葉内の幸蔵と三吉とのやり取りが人気で、今日ではもっぱらこの二幕が上演されている。
 
劇中、主人公は「鼠小僧」もじりのった「稲葉幸蔵」の名で通しているが、三幕目の「鎌倉仲之町大黒屋の場」で初めて鼠小僧次郎吉で登場する。花魁の難儀を救うが捕縛され、それが幸蔵の夢であったという趣向になっている。また、台詞[[科白]]なかに「鼠」にちなむ言葉がキーワードのように散りばめられており、作者の機知うかがわる。
 
辻番所での幸蔵と与惣兵衛との親子の名乗りと、稲葉内の幸蔵と三吉とのやり取りが好評で、もっぱらこの二幕が上される。とく三吉を演じた当時[[数え]]14歳の十三代目市村羽左衛門(五代目[[尾上菊五郎 (5代目)|尾上菊五郎十三代目市村羽左衛門]])の名子役ぶりが勤めた三吉は、幸蔵役のを勤める[[市川小團次 (4代目)|四代目市川小團次]]をもうならせるほどの出来であった。羽左衛門は開幕前に毎日[[深川]][[]]売りの一挙一動を熱心に観察してそれを舞台に活ていたのであった。果せかなこれが後に明治の名優としてその名を馳せる[[尾上菊五郎誕生 (5代目)|五代目尾上菊五郎]]の出世のきっかけともなった。<!--後年、菊五郎は幸蔵演じ勤めたとき、実子尾上幸(のちの[[尾上菊五郎 (6代目)|六代目菊五郎]])に三吉当て勤めさせている。-->
この作品をベースに「鼠小僧」は[[尾上松之助]]や[[大河内傳次郎]]主演で映画化された。とくに[[1932年]] ([[昭和]]7年)の「[[御誂次郎吉格子]]」([[伊藤大輔 (映画監督)|伊藤大輔]]監督)は名作として評判が高い。戦後では[[富士真奈美]]がテレビ時代劇「[[おんな鼠小僧]]」を演じている。
 
近年では七代目[[尾上菊五郎 (7代目)|七代目尾上菊五郎]]が幸蔵を演じ勤めているが、このときは十七代目[[市村羽左衛門 (17代目)|十七代目市村羽左衛門]]演じる与惣兵衛が絶品で、世話狂言髄を凝縮した演技で好評であような老け役だった。<!--
この作品をベースに「鼠小僧」は[[尾上松之助]]や[[大河内傳次郎]]主演で映画化された。とくに[[1932年]] ([[昭和]]7年)の「[[御誂次郎吉格子]]」([[伊藤大輔 (映画監督)|伊藤大輔]]監督)は名作として評判が高い。戦後では[[富士小川美]]がテレビ時代劇「[[おんな鼠小僧]]」を演じている。
-->
== 初演配役 ==
{| class="wikitable"
*易者平沢左膳実は稲葉幸蔵・鼠小僧次郎吉・・・・四代目[[市川小團次]]
!役名
*辻番与惣兵衛・・・・・・・[[浅尾与六]]
!役者
*お熊・早瀬弥十郎・・・・[[阪東亀蔵]]
|-
*お高・松葉屋傾城松山実は幸蔵女房お松・・・四代目[[尾上菊五郎]]
*|易者平左膳<small>ハ</small>稲葉幸蔵<br />鼠小僧次郎吉・・・・四代目[[市川小團次]]
*新助・与之助・船頭のっきりの長吉・松葉屋息子文三・・・初代[[河原崎権十郎]](九代目[[市川團十郎]])
|[[市川小團次 (4代目)|四代目 市川小團次]]
*蜆売り三吉・・・十三代目市村羽左衛門(のち五代目[[尾上菊五郎]])
|-
*おもと・・・・中村歌女之丞
|辻番与惣兵衛
*主膳娘おみつ・・・・中村梅花
|二代目 淺尾與六
*平岡権内・乳母おふと・欲山検校・・・[[阪東村右衛門]]
|-
|月輪熊のお熊<br />早瀬弥十郎
|[[坂東彦三郎 (4代目)|初代 坂東亀蔵]]
|-
*|お高<br />松葉屋傾城松山<small>ハ</small>幸蔵女房お松・・・四代目[[尾上菊五郎]] <br>
|[[尾上菊五郎 (4代目)|四代目 尾上菊五郎]]
|-
|新助<br />与之助<br />松葉屋息子文三<br />船頭のっきりの長吉
|[[市川團十郎 (9代目)|初代 河原崎権十郎]]
|-
|蜆売り三吉
|[[尾上菊五郎 (4代目)|十三代目 市村羽左衛門]]
|-
|おもと
*おもと・・・・|初代 中村歌女之丞<!--
|-
*|主膳娘おみつ・・・・中村梅花
|初代 中村梅花
|-
*|平岡権内<br />乳母おふと<br />欲山検校・・・[[阪東村右衛門]]
|阪東村右衛門-->
|}
 
==関連項目==
{{Japan-culture-stub}}
*[[白浪物]]
{{Theat-stub}}
{{DEFAULTSORT:ねすみこもんはるのしんかた}}