「昇華 (化学)」の版間の差分

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[[ファイル:Phase-diag.svg|240px|thumb|right|一般的な物質の[[相図]]。[[三重点]]以下の[[温度]]または[[圧力]](赤線部分)で昇華が起こる。]]
'''昇華'''(しょうか、sublimation)は[[元素]]や[[化合物]]が[[液体]]を経ずに[[固体]]から[[気体]]、または気体から固体へと[[相転移]]する現象。[[温度]]と[[圧力]]の交点が[[三重点]]より下へ来た場合に起こる。
 
標準圧では、ほとんどの化合物と元素が温度変化により固体、液体、気体の[[三態]]間を相転移する性質を持つ。この状態においては、固体から気体へと相転移する場合、中間の状態である液体を経る必要がある。 しかし、一部の化合物と元素は一定の圧力下において、固体と気体間を直接に相転移する。相転移に影響する圧力は系全体の圧力ではなく、物質各々の[[蒸気圧]]である。
 
[[日本語]]においては、昇華という用語は主に固体から気体への変化を指すが、気体から固体への変化を指すこともある。また気体から固体への変化を特に[[凝固]]と呼ぶこともあるが、これは液体から固体への変化を指す用語として使われることが多い。英語では{{lang|en|sublimation}}が使われるが、気体から固体への変化を特に{{lang|en|depositon}}と呼ぶこともある。[[中国語]]では固体から気体への変化を{{lang|zh|升华}}(昇華)、気体から固体への変化を{{lang|zh|凝华}}(凝華)と呼んで区別している。
 
== 昇華と物質 ==
[[ファイル:Trockeneis.jpg|thumb|left|[[ドライアイス]]は、常温常圧下では昇華して直接気体の二酸化炭素になる。]]
<!--[[亜鉛]]や[[カドミウム]]などの元素は低圧条件下で昇華するため、高[[真空]]条件下ではこれらの化合物は昇華が起こる恐れがある。-->
 
[[二酸化炭素]]は常気圧で昇華する化合物のひとつである。室内のテーブルの上に固体 CO<sub>2</sub> (ドライアイス)を放置すれば、液体を経ずに気体へと変化するのが観測できるだろう。また、[[ヨウ素]]も常気圧、室温条件下で昇華する物質のひとつである(ただし、CO<sub>2</sub> とは異なり常気圧下で加熱することで液体ヨウ素を得ることが可能である。)
 
より低速ではあるが、[[雪]]や水[[氷]]も氷点以下では昇華する。[[フリーズドライ]]に利用されるこの現象は、例えば長期にわたって冷凍保存した食料が干からびてしまうこと(いわゆる'''冷凍焼け''')や、凍りつくような寒い日に濡れた布を野外に吊るして放置しておくと乾燥状態になることで確かめられる。また、[[ナフタレン]](防虫剤の一般成分)は徐々に昇華する。このため、防虫効果を長期間維持することができる。
 
固体から気体への昇華は[[吸熱反応]]であり、反応にはエネルギーを必要とする。
 
== 用途 ==
霜の付かない[[冷凍庫]]は冷却ファンと冷凍庫内部の空気循環の賜である。氷点下の温度と乾燥状態を保った空気を循環させることで昇華の過程を著しく加速する。こうして霜の蓄積を抑え、冷凍庫の壁と棚が凍りつくのを防いでいるが、一方で庫内にある必要な氷まで昇華してしまう欠点がある。
 
[[染料]]の昇華は、[[紙]]を含む種々の素地へカラー印刷する際にしばしば使用される。これを昇華型[[プリンタ]]という。昇華型プリンタは、プリンタ内の小型ヒーターにより固体染料が蒸発することで色素が素地上に残る仕組みである。この種のプリンタが優れた原色比コントロールを示す場合、比較的低解像度のプリンタであっても同様の分解能を持つ他のタイプのプリンタよりも良質の印刷物を得ることが可能である。一般的な白黒レーザープリンタは、普通紙に昇華染料を含む特別な「転送トナー」を用いて印刷している。このため、熱を与えることで印刷内容を紙から[[Tシャツ]]や[[帽子]]、[[マグカップ]]、[[金属]]、[[パズル]]、およびその他素地の表面等へと永久的に写すことが可能である。
 
[[錬金術]]では、昇華は一般的に[[蒸留]]過程(物質を加熱し蒸発させ、その後に蒸留器の上部や首の部分で再凝縮させることで分取する過程)で用いられる。これは錬金術における12の主要な過程のうちのひとつである。
 
[[ディープエッチング法]]を用いた急速凍結では、試料(例えば[[細胞]]組織など)を[[液体窒素]]で急速凍結させた後、真空ポンプに接続し、表面の氷を昇華させる。この方法は、含水物質表面の立体構造を維持したまま保存する際に効果的である。得られた乾燥試料を[[ロータリーシャドウイング電子顕微鏡法]]で処理することで、試料表面のレプリカを得ることが可能である。
 
また前述のように、昇華はフリーズドライの食品や医薬品などを作る際にも利用される。具体的には対象物、またはその溶液・懸濁液(ときにそれらの混合物)を凍結し、真空条件下で非常にゆっくりと加熱することで氷を昇華させ、乾燥させる。このプロセスで溶液を乾燥させると、非常に可溶性の高い粉末もしくは粒状となる。
 
== 関連項目 ==
*[[凝縮]]
*[[凝固]]
*[[融解]]
*[[蒸発]]
 
{{DEFAULTSORT:しようか}}
 
[[Category:固体]]
[[Category:気体]]
[[Category:相転移]]
 
[[ar:تسامي]]
[[bg:Сублимация]]
[[bs:Sublimacija (fizika)]]
[[ca:Sublimació]]
[[cs:Sublimace]]
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