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1行目: '''メビウス関函数'''（メビウスかんすう）は、[[数論]]や[[組合せ論]]における重要な[[~~関数 (数学)\|関~~函数]]である。メビウスの輪で有名な[[ドイツ]]の数学者[[アウグスト・フェルディナント・メビウス]] (August Ferdinand Möbius) が[[1831年]]に紹介したことから、この名が付けられた。 == 定義 == 0 を含めない[[自然数]]において、メビウス関函数 μ(''n'') は全ての自然数 ''n'' に対して定義され、''n'' を[[素因数分解]]した結果によって -1、0、1 のいずれかの値をとる。メビウス関函数は次のように定義される（ただし 1 は 0 個の素因数を持つと考える）： * μ(''n'') = 0 （''n'' が平方因子を持つ（平方数で割り切れる）とき） 18行目: == 性質 == メビウス関函数は乗法的な関函数である。すなわち、[[互いに素]]な ''m'', ''n'' に対して、 :μ(''mn'') = μ(''m'')μ(''n'') となる。また、''m'', ''n'' が互いに素でなければ、 40行目: が確かめられる。最後から二つ目の等号は[[二項定理]]による。より一般に、 ''f'' を乗法的な[[数論的関函数]]とすると、 : (*) <math>\sum_{d\|n}\mu(d)f(d) = \prod_{p\|n}(1 - f(p))</math> 47行目: === メビウスの反転公式 === 関函数 ''f''(''n''), ''g''(''n'') について、次の 2 つの命題は同値である。 # <math>g(n) = \sum_{d\mid n}f(d).</math> 55行目: == 例と応用 == ''n'' の約数の総和を表す関函数 σ(''n'') はその定義より :<math>\sigma(n) = \sum_{d\mid n} d</math> となるが、これに反転公式を適用すると 61行目: となる。次の例は非常に重要な関函数 Λ(''n'') を定義している（この関函数はフォン・マンゴルトの関函数と呼ばれる）。 :<math>\log n = \sum_{d \mid n} \Lambda (d)</math> この式は、素因数の一意分解定理と同値であるが、反転すると 72行目: が得られる。先の基本公式 () に適用すれば、[[ゼータ関函数]]による母関函数表示を得る。 :<math>\sum_{n=1}^\infty \frac{\mu(n)}{n^s} = \frac{1}{\zeta(s)}</math> 78行目: 既に知っている素数で割れる自然数を数表から篩い落とすことで新たな素数を順次決定していく操作は'''[[エラトステネスの篩]]'''として知られている。ゆえに、知っている素数で割れない自然数全体の集合を指定する方法が与えられることと、このエラトステネスの篩にかけることとは等価である。集合を指定する方法の一つは、その[[指示関函数]]を与えることである。いま、''p''<sub>1</sub> から ''p''<sub>''k''</sub> が素数として決定されたものとし、そのような素数全部の積を ''P'' とする。また、自然数 ''n'' と ''P'' との[[最大公約数]]を (''n'', ''P'') と表せば、''n'' が決定済みの素数で割れることと、(''n'', ''P'') > 1 となることとは同値である。このとき、十分大きな自然数 ''N'' を考え、''N'' 以下の自然数 ''n'' のうち、決定済みの素数 ''p''<sub>1</sub>, ..., ''p''<sub>''k''</sub> で割れない自然数全体の集合を ''E'' とおくと、基本公式によって ''E'' の指示関函数 χ<sub>''E''</sub> は :<math>\chi_E(n) = \sum_{d\mid(n,P)}\mu(d)</math> で与えられることがわかるから、これをエラトステネスの篩のメビウス関函数を用いた表現と考えることができる（手続きとしては、χ<sub>''E''</sub>(''n'') を計算することは知っている素数で順番に割っていくことに他ならないから、単に表現の仕方を変えただけである）。特に、χ<sub>''E''</sub>(''n'') = 1 を満たす最小の ''n'' を ''p''<sub>''k''+1</sub> とすればこれは新しい素数であり、再び同様の手続きにしたがって次々に素数を決定することができる。 == μ(''n'') == 109行目: == 関連項目 == [[数論的関函数]] [[ゼータ関函数]] [[エラトステネスの篩]] [[指示関函数\|特性関函数]] == 外部リンク == *[http://mathworld.wolfram.com/MoebiusFunction.html Möbius Function -- From MathWorld（メビウス関函数）]（英語） [[Category:数論\|めひうすかんすう]] [[Category:整数論的関函数\|めひうす]] [[Category:組合せ論\|めひうすかんすう]] [[Category:数学に関する記事\|めひうすかんすう]]

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