「カンブリア爆発」の版間の差分

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先カンブリア時代の化石からは、その時代に様々な大形生物がいたこと、しかし、[[エディアカラ生物群]]に見るように、それらが必ずしも先祖的多細胞動物には見えないことが判明した。それらを現在の生物とはまったく異なる系統のものと考える説すらあり、仮にそれらを現在の動物につながるものと見なしたにせよ、カンブリア紀の多様性とは似つかないものである。
 
また、カンブリア紀の化石については、[[バージェス動物群]]の見直しや新たな化石群の研究から、その多様性の高さがより明らかとなり、それまではもっと後になって出現したと考えられていた[[脊索動物]]など(魚類を含む)の化石までが発見された。今では、[[動物]]については、苔虫動物門を除くすべての動物門がカンブリア紀に出現した可能性があり、しかも現在の所、これらの先祖をさかのぼることが出来ていない。
 
==カンブリア爆発の原因==
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その後の[[分子遺伝学]]の進歩から遺伝子の爆発的多様化はカンブリア爆発のおよそ3億年前に起こっていることが分かり、カンブリア初期に短期間に大進化が起こったわけではないとの考え方が主流となった。すなわちカンブリア爆発は「化石記録の」爆発的多様化であり、必ずしも進化的な爆発を意味しない。
 
[[リチャード・ドーキンス]]はカンブリア紀あるいはそれ以前に特殊な([[総合説]]では説明できないような)進化現象が起き、生物の体制が出そろったというグールド以来の視点、爆発という概念自体に批判的である。彼に依れば、例えば現代の[[脊椎動物]][[無脊椎動物]]が根本的に異なっているのは、両者が長い地質学的時間の間に異なる方向に進化してきたからであり、少なくとも現在の証拠からは[[種分化]]した当初から全く異なる体制を持っていたと考える理由はないと主張する。
 
[[1998年]]に[[進化生物学|進化生物学者]]で[[古生物学者]]の[[アンドリュー・パーカー]]はカンブリア爆発の原因として、有眼生物の誕生による[[自然選択説|淘汰圧]]の高まりをあげた「光スイッチ説」を提唱した。生物の歴史上、はじめて[[目|眼]]を持った生物([[三葉虫]])が生まれ、積極的に他者を捕食することによって眼をもってない生物に対して有利となった。その捕食に対抗するため多くの生物が眼と、硬組織を獲得していったという説である。そのために化石記録は短期間で爆発的に多様化したように見える。パーカーはカンブリア爆発を「多くの門が同時期に一斉に硬組織を獲得した現象」と推定している。