削除された内容 追加された内容
CarsracBot (会話 | 投稿記録)
m ロボットによる 追加: mg:侯
23行目:
侯は、[[東アジア]]における用例から転じて[[ヨーロッパ]]で[[貴族]]の称号として用いられるいくつかの語の訳語になっている。侯と訳されるヨーロッパ諸語は、大きく分けて[[ラテン語]]の[[プリンケプス]]([[英語]]では[[プリンス]])と同系統の称号に関連するものと、[[フランク王国]]の官職である[[辺境伯]]に由来する称号に関連するものの2種類がある。
 
プリンケプスの語はもともと「第一人者」を原義とし、[[ローマ皇帝]]の称号に由来する君主の称号で、[[中世]]以降のヨーロッパでは一定の領域を支配する有力な貴族のことを指した。このようなプリンケプス系統の称号をもつ支配者は日本語では[[公]]あるいは[[大公]]と訳すことが多いが、[[公爵]]が訳語として定着しているラテン語のdux(英語のduke)系統の称号との混同を避けるため、侯と訳す場合がある。また、[[フランス王国]]の[[領邦君主]]、[[神聖ローマ帝国]]の[[帝国諸侯]]などもラテン語でプリンケプスと称したので、このような意味でヨーロッパの有力貴族階層一般についても侯、諸侯という語が使われている。特に、ドイツ語の[[フュルスト]]やそれと同系統の称号は、侯と訳すことが慣例になっている。
 
[[辺境伯]]([[ドイツ語]]でMarkgraf)は、フランク王国において異民族と接する最前線の国境地帯である辺境区(Mark)においた特別な権限をもつ[[伯]](Graf)のことを指し、後に地方の実権を掌握して[[大公]](Herzog、ラテン語のdux)に次ぐ有力な領邦君主に成長した。このドイツ語のMarkgrafが語化したのが marquis(ラテン語 marchio, 英語では marquess)であり、のちにフランス、[[イギリス]]など[[西ヨーロッパ]]の諸国で、伯(comes)よりも強力で、公(dux)に準じる権威をもった有力領主の称号として用いられるようになった。これが公と伯の間の地位であることから古代中国の五等爵にあわせて侯と訳されるようになり、侯の称号が王から授けられる爵位の一種となったものを[[侯爵]]と日本語で呼ぶ。
また、[[フランス王国]]の[[領邦君主]]、[[神聖ローマ帝国]]の[[帝国諸侯]]などもラテン語でプリンケプスと称したので、このような意味でヨーロッパの有力貴族階層一般についても侯、諸侯という語が使われている。
 
なお、ドイツではスやイギリスMarquis侯爵(marquis, marquess)にあたる称号は「辺境伯」なのでイギリスやフランスの侯爵、それに相する爵位は本来存在しない。しかし、領邦君主たちから臣下に与えられる爵位の最高位として'''[[フュルスト]]'''(Fürst、ラテン語でprinceps)という位があり、伯爵(Graf)の上に位置することから、侯あるいは侯爵と訳すことが慣例になっている。
辺境伯([[ドイツ語]]でMarkgraf)は、フランク王国において異民族と接する最前線の国境地帯である辺境区(Mark)においた特別な権限をもつ[[伯]](Graf)のことを指し、後に地方の実権を掌握して[[大公]](Herzog、ラテン語のdux)に次ぐ有力な領邦君主に成長した。このドイツ語のMarkgrafがラテン語化したのがmarquis(英語ではmarquess)であり、のちにフランス、[[イギリス]]など[[西ヨーロッパ]]の諸国で、伯(comes)よりも強力で、公(dux)に準じる権威をもった有力領主の称号として用いられるようになった。これが公と伯の間の地位であることから古代中国の五等爵にあわせて侯と訳されるようになり、侯の称号が王から授けられる爵位の一種となったものを[[侯爵]]と日本語で呼ぶ。
 
なお、ドイツではラテン語のMarquisにあたる称号は「辺境伯」なのでイギリスやフランスの侯爵に相当する爵位は本来存在しない。しかし、領邦君主たちから臣下に与えられる爵位の最高位として侯(Fürst、ラテン語でprinceps)という位があり、伯爵(Graf)の上に位置することから侯爵と訳すことが慣例になっている。
 
== それ以外の地域における侯 ==