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民法の一般原則からいえば、転借人が賃料支払義務を負うのは賃借人(転貸人)に対してであって、もとの賃貸人に対してではない。例えば、BがA所有の甲不動産を賃借し、これをCに転貸している場合には、AB間とBC間に賃貸借契約関係はあるが、AC間には契約関係は存在しないから、CはBに対して賃料を支払う義務はあってもAに対して賃料を支払う義務はないということになるはずである。上記の民法の規定は、この原則に対する例外として理解することができる。
 
この例外は、あくまでも賃貸人の賃料確保のためであって、賃貸人に望外の利益を得させるためのものではないから、賃貸人が転借人に請求できる金額は、賃貸人が賃借人に対して有する賃債権と転借量うち低い方の金額が限度となる。例えば、上記の例で、AがBに対して賃料月額20万円で甲不動産を賃貸し、BがCに賃料月額30万円で賃貸している場合、AがCに請求できる金額は20万円である。BがCに賃料月額15万円で賃貸している場合、AがCに請求できる金額は15万円である。
 
なお、転借人が負担する転貸人と賃貸人に対する賃料支払義務は、[[連帯債権]]の関係にあるといわれることがある。また、転借人は賃料を賃借人(転貸人)に前払いしている場合であっても、賃貸人に対抗することができない([[b:民法第613条|613条]]1項後段)。