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セラミック顔料は無機顔料に包括されるが、高い耐熱性と釉薬に対する安定性を持つという点において[[塗料]]、[[インキ]]、[[絵具]]、[[プラスチック]]等に使用される他の無機顔料とは異なる一群を形成しており、セラミック顔料以外の無機顔料とは著しく異なっている。
 
従来のセラミック顔料は釉薬の着色という技術から生み出されていたが、近年では[[酸化物]]、複合酸化物、[[ケイ酸塩]]といった高温で安定な無職の化合物に[[遷移元素]]の[[イオン]]等を固溶させて発色させるという方法で開発されている。
代表的なセラミック顔料としてジルコングレー、[[プラセオジムイエロー|プラセオジム黄]]、[[クロムチタンイエロー|クロムチタン黄]]、[[クロムグリーン]]、[[ピーコック (顔料)|ピーコック]]、ビクトリアグリーン、[[紺青 (セラミック顔料)|紺青]]([[紺青|プルシアンブルー]]とは無関係)、[[バナジウムジルコニウム青]]、[[クロムスズピンク|クロム錫ピンク]]、[[陶試紅]]、[[サーモンピンク]]等がある。セラミック顔料は耐熱性・耐候性・耐薬品性に優れているため、一般の無機顔料が使用されている分野での利用が検討されているが、一般の無機顔料より粉末の状態での色調は鈍く着色力が小さいためその利用の拡大を妨げている。そのため[[黒|黒色]]・[[茶色|褐色]]・[[青|青色]]の[[スピネル]]系顔料や[[二酸化チタン]]を母格子とする褐色顔料では焼成温度を低くして粒を小さくすることにより一般の無機顔料の分野でも利用が拡大している。また、クロムチタン黄やクロム錫ピンク、プラセオジム黄は絵具にも使用されている。
 
代表的なセラミック顔料としてジルコングレー、[[プラセオジムイエロー|プラセオジム黄]]、[[クロムチタンイエロー|クロムチタン黄]]、[[クロムグリーン]]、[[ピーコック (顔料)|ピーコック]]、ビクトリアグリーン、[[紺青 (セラミック顔料)|紺青]]([[紺青|プルシアンブルー]]とは無関係)、[[バナジウムジルコニウム青]]、[[クロムスズピンク|クロム錫ピンク]]、[[陶試紅]]、[[サーモンピンク]]等がある。セラミック顔料は耐熱性・耐候性・耐薬品性に優れているため、一般の無機顔料が使用されている分野での利用が検討されているが、一般の無機顔料より粉末の状態での色調は鈍く着色力が小さいためその利用の拡大を妨げている。そのため[[黒|黒色]]・[[茶色|褐色]]・[[青|青色]]の[[スピネル]]系顔料や[[二酸化チタン]]を母格子とする褐色顔料では焼成温度を低くして粒を小さくすることにより一般の無機顔料の分野でも利用が拡大している。また、[[クロムチタンイエロー|クロムチタン黄]][[クロムスズピンク]][[プラセオジムイエロー|プラセオジム黄]]は絵具にも使用されている。
 
== セラミック顔料と一般の無機顔料の違い ==
* 組成:一般の無機顔料は[[酸化物]]、[[炭酸塩]]、[[硫酸塩]]、[[硫化物]]、[[アルミニウム粉末]]、[[炭素]]等多種多様だが、セラミック顔料は酸化物、複合酸化物、ケイ酸塩が用いられる。
* [[クロム]]について 一般の無機顔料では酸化[[オキサイド・オブ・クロミウ]]含水酸化クロム[[ヴィリジアン]]、コバルトターコイズを除き[[六価クロム|6価]]だが、セラミック顔料では殆どが3価で6価のものはない。
* [[鉛]]について 一般の無機顔料では[[白|白色]]顔料、[[黄色]]顔料、[[橙色]]顔料の重要成分だが、セラミック顔料では顔料そのものではなく釉薬の重要成分。
 
== セラミック顔料の色調と特徴 ==
=== 黒 ===
黒のセラミック顔料は[[スピネル]]系の固溶体によって占められ、これらは[[亜鉛]]釉に加えると発色が鈍くなる。このため、黒のセラミック顔料で成分として[[酸化亜鉛]]を含むものはない。
 
=== 灰色 ===
アンチモンスズグレーやジルコングレー等があるが、アンチモンスズグレーの原料となる[[酸化スズ]]が高価なため、ジルコングレーが[[灰色]]のセラミック顔料の主流となっている。
 
=== 茶褐色・橙色 ===
黒のセラミック顔料同様、スピネル系顔料が主要な位置を占めるが、黒の顔料と異なり[[石灰]]亜鉛釉で鮮明な呈色をする。そのため、茶褐色のスピネル系顔料
には成分として酸化亜鉛を含むものがある。スピネル系の顔料以外ではプラセオジム黄と[[サーモンピンク]]の混色で茶褐色や橙色の色調を出すことができる。
 
=== 黄色 ===
古くは[[鉛]]の多い釉にしか使用できなかったナポリ黄くらいしかなかったが、プラセオジム黄、バナジウムスズ黄、バナジウムジルコニウム黄等が開発されたことにより石灰釉や石灰亜鉛釉等でも使用できる黄色の顔料が増えた。また素地用の黄色顔料であるクロムチタン黄もまた黄色のセラミック顔料であるといえる。
 
=== 緑 ===
従来から使用された[[ピーコック (顔料)|ピーコック]]やビクトリアグリーンに加え、プラセオジムイエローと[[バナジウムジルコニウム青]]の混色により[[黄緑]]から[[青緑]]まで非常に広い範囲の[[緑]]をセラミックスで使用できるようになった。
 
=== 青 ===
[[紺青 (セラミック顔料)|紺青]]([[紺青|プルシアンブルー]]とは無関係)、[[バナジウムジルコニウム青]]、[[コバルト青|海碧]]等がある。
 
=== 紫 ===
クロムスズライラック、ライラック等がある。
 
=== ピンク ===
クロムスズピンク、[[陶試紅]]、[[サーモンピンク]]、クロムアルミナピンク等がある。
 
=== 赤 ===
一般の無機顔料であるカドミウムレッドをジルコンでコーティングしたファイアーレッドが使用されている。
 
== 参考文献 ==
* 『[[日本大百科全書]] 13』[[小学館]]、[[1987年]][[1月1日]] p.673-p.674
 
== 外部リンク ==
* [http://www.isekyu-jp.com/ceramic/syouhin/genryou/ganryou/gan01.htm 陶磁器用顔料の分類]
* [http://www.hst.titech.ac.jp/~meb/Ceramics/ganryou/ganryou.html セラミック顔料の製作]
 
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