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Y評点、登録分析機関
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==概要==
*経営事項審査とは、[[建設業法]](昭和24年5月24日法律第100号)第4章の2に定める「建設業者の経営に関する事項の審査等」のことである。同法第27条の23では第1項で「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。」と規定され、第2項では経営事項審査は、「経営状況」及び「経営規模等」(経営規模、技術的能力、その他の客観的事項)について'''数値による評価'''をすることにより行う」と規定している。また、第3項では「経常事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。」と規定しており、制度改正には必ず[['''中央建設業審議会]]'''(中建審)が開催される。
 
「経営状況」の分析は[[国土交通大臣]]の登録を受けた者(登録経営状況分析機関)が行う。一方、「経営規模等」の評価は[[国土交通大臣]]又は[[都道府県知事]]が行う。
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*工事種類別年間平均[[完成工事高]]評点 (<math>X_1</math>)
*:申請した工事種類ごとに算出。2年平均又は(激変緩和措置により3年平均を選択する。ある一定の完成工事高(以下「完工高」いう。)の範囲ごとにほぼ比例して加点。線形式で計算し、平均完工高に応じて、小数点以下切り捨て処理の結果、1点刻みで算出されるも可)
*[[自己資本]]額及び平均利益額 (<math>X_2</math>)
*:自己資本額は、基準決算における純資産合計の絶対額で審査される(激変緩和措置により2期平均を選択することも可)の絶対額で審査される。平均利益額は、利払前税引前償却前利益の2年平均の額で審査される。利払前税引前償却前利益とは(EBITDA:[[EBITDA]](イービットディーエー)のことで、経審では営業利益の額に減価償却実施額を加えたものと定義しており、審査対象事業2度における額と前審査対象事業年度における額の平均額をもって審査される。
自己資本額も平均利益額も大きい方がよい。ただし、絶対額であるので大企業と中小企業に圧倒的な差が出る。中小企業同士では差がほとんど付かない項目ともいえる。
*建設業種類別技術職員数及び工事種類別年間平均元請完成工事高評点 (<math>Z</math>)
*:技術職員数評点は、申請した建設業の種類ごとに審査基準日現在の人数で算出する。評価対象技術者と点数は、1級技術者([[建築士|一級建築士]]、[[建築施工管理技士|1級建築施工管理技士]]、[[土木施工管理技士|1級土木施工管理技士]]等)で監理技術者資格者証の交付を受けており、直前5年以内に監理技術者講習会を受講している者(1級監理受講者)が6点、1級技術者であって1級監理受講者以外の者が5点、基幹技能者であって1級技術者以外の者が3点、2級技術者であって1級技術者及び基幹技能者以外の者が2点、その他の技術者が1点である。ただし、一人の職員につき技術職員として申請できる建設業の種類の数は2までである。このため、一人12点が最高点となる。
*:工事の種類別年間平均元請完成工事高評点は、申請した工事種類ごとに算出。2年平均(激変緩和措置により3年平均を選択することも可)。ある一定の元請完工高の範囲ごとにほぼ比例して加点。激変緩和措置については、X1において選択したものと同じパターンが自動的に適用される。
*経営状況評点 (<math>Y</math>)
*:決算書の財務内容を数値化する。
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'''経営状況点数(A)=(-0.4650*Y1)-(0.0508*Y2)+(0.0264*Y3)+(0.0277*Y4)+(0.0011*Y5)+(0.0089*Y6)+(0.0818*Y7)+(0.0172*Y8)+0.1906'''
 
Aは[[判別分析]]により構築されており、上記の算式は「y=ax+b」を基本とする[[線形判別関数]]である。判別分析とは、ここでは倒産・非倒産を判別することである。具体的にはAが0未満で倒産、0以上で非倒産と判別している。このAを他の指標(X1、X2、Z、W)と評点の桁や平均の水準を合わせるために、Yに変換するものが次の式である。
 
'''経営状況評点(Y)=167.3*A+583'''(Yが0点未満の場合は0点とみなす)
 
この結果、Yの最高点は1595点、最低点は0点となる。
 
この変換式から分かることは、「583」とあるように、Yにおける'''倒産判別点'''が583点であるということである(Aに0を代入すると583を返す)。つまり、Yでは、'''583以上が非倒産'''、'''582点以下が倒産'''と判別していることになる。
 
この変換式は、「Y=(A-0.7023)/1.1955*200+700」を変形し端数処理を行ったものである。これは[[学力偏差値]]の算出式とよく似ている。[[学力偏差値]]は「(得点-平均点)/標準偏差*10+50」で求められ、常に標準偏差を10点、平均を50点に標準化している。同じように、変換式では標準偏差を200点、平均を700点に標準化している。この700を'''制度設計時平均'''といい、他の指標(X1、X2、Z、W)と水準を合わせている。建設業界では一般に「Yの平均は700点」といわれているが、それはこの制度設計時平均のことを指している。学力偏差値が結果論であるのに対し、Yは制度設計されたものであるため、10数万社に及ぶ申請者の実際のYの平均点が毎年ぴったり700点になるわけではない。
 
このように、Yには倒産判別能力が高いので、金融機関等の他分野においてY評点を企業評価の参考にしていることが多い。ただ、倒産判別を主目的にするならば、制度設計時平均の700点ではなく、倒産判別点の583点を基準にすることが望ましいし、申請業者の側も700点と583点の意味を押さえておくことが望ましい。
 
ただし、Yには設計上の限界があることに留意する必要がある。理由は、[[判別分析]]や[[偏差値]]などの[[統計]]処理は、[[母集団]]が[[正規分布]]していることが大前提だからである。[[建設業]]に限らず[[日本]]の[[企業]]の99%以上は[[中小企業]]であり、様々な[[指標]]のほとんどは[[正規分布]]していない。この経営状況分析を含む経営事項審査全体が、この前提を欠いたまま制度設計されていることから、[[大企業]]と[[中小企業]]を同じ尺度で評価する限界は、常に指摘されているところである。
 
*その他の審査項目(社会性等)評点 (<math>W</math>)
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=== 登録経営状況分析機関 ===
経営状況評点分析 (<math>Y</math>)の審査機関は、財団法人建設業情報管理センター(CIIC)、1988にわたって7月以降、国の唯一の指定経営状況分析機関として、その業務を独占し行ったが、[[天下り公益法人制度改革]]批判の一環で2004年3月に指定制度から登録制度に変更とどもあり、以後民間開放されている。<ref>「公益法人にかかる改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律」により民間開放され、2004年3月より登録制となった。3期にわたる決算書を比較し、[[粉飾決算|粉飾]]等疑義項目は審査行政庁に通報することとなっている。(2008年1月1日現在)</ref>
 
●登録経営状況分析機関一覧(2009年3月31日現在)
#[http://www.ciic.or.jp/ 財団法人建設業情報管理センター]
#[http://www.m-d-r.jp/ 株式会社マネージメント・データ・リサーチ]
#欠番
#[http://www.wise-pds.jp/ ワイズ公共データシステム株式会社]
#[http://www.tkcnf.com/bunseki/pc/ 有限株式会社九州経営情報分析センター]
#欠番
#[http://www.hmic.co.jp/ 有限会社北海道経営情報センター]
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===公表===
公共工事入札参加希望者選定手続の透明性の一層の向上による公正さの確保、企業情報の開示や相互監視による虚偽申請の抑止力の活用といった観点から、1998年7月1日に申請された新しい審査基準による経営事項審査の結果から公表することになり、[[財団法人建設業情報管理センター]](CIIC)CIICでは、同年9月1日から本部に閲覧所を開設し、大臣許可業者の経審結果を皮切りに順次、知事許可業者についても閲覧及びコピーサービスを実施していた。2009年3月31日に本部閲覧所での経審結果の閲覧及びコピーサービスは終了した。引き続きものの、CIICのWebサイトでは引き続き経審結果が公表されている。公表する内容は、申請した建設業者本人に通知された内容と同様、総合評定値及び完成工事高等の審査項目ごとの数値・評点とし、経営事項審査の結果通知書の写しとなっている。また、他の複数の登録経営状況分析機関のWebサイトでも、各申請者に対する結果通知書の写しを公表している。
また、複数の登録経営状況分析機関のWebサイトでも各申請者に対する結果通知書の写しを公表している。
*[http://www.ciic.or.jp/ 財団法人建設業情報管理センター]
*[http://www.wise.co.jp/trend-web/default.asp 経審トレンド5 (ワイズ公共データシステム) ]
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*:Zについて、ウエイトを0.2から0.25に引き上げ、新たに元請完工高を評価項目に追加、新たに基幹技能者を評価、1人の技術職員を複数業種でカウントすることを制限(1人2業種まで)、技術職員について2期平均を採用する激変緩和措置を廃止
*:Wについて、評価項目及び各項目の加点・減点幅を見直し、評点幅を0点~987点を0点~1750点に拡大
 
==脚注==
<references />
 
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