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'''用法基盤モデル・使用依拠モデル(Usage-Based Model)'''は、[[認知言語学]]で用いられる、言語使用の面から言語を分析していこうとするモデル。認知言語学では、言語を閉じた規則とレキシコンの体系として規定していくのではなく、実際の言語使用の定着度、慣用度という観点から言語の体系を見直していく。この用法基盤モデルのアプローチでは、認知主体が言語使用をすることで、認知主体の言語活動、言語の体系にどのような影響が見受けられるか、というボトムアップ的アプローチを重視する。
 
 
このアプローチをとることで、Bybeeの一連の研究に見られるように、従来[[生成文法]]で「[[言語能力]][[competence]]」と「[[言語運用]][[performance]]」を明確に分けていたものが、実は言語運用が言語能力に影響を与えるという事実を指摘することができるのである。例えば、[[英語]]の[[過去形]]における規則活用と不規則活用において、[[トークン頻度]]の高い動詞においては、不規則活用がそのまま残り、トークン頻度が低い動詞においては、-edに置き換わるという事実が挙げられる。これはまさに言語使用においてみられる頻度の差が言語のシステム自体に影響を与えることを示している。
 
 
この意味で、認知言語学は[[コーパス言語学]]とも非常に親和性が高く、言語使用の文脈でどのように言語のシステムが揺らぎ、ダイナミックな諸相を見せるかを研究する可能性も示唆する。よって今後もコーパスを使用した実証的な研究がますます期待される。
 
 
 
== 参考文献 ==
*Bybee, Joan. (2001). ''Phonology and Language Use. Cambridge'': Cambridge University Press.
*Langacker, Ronald W. (1990). ''Concept, Image, and Symbol.'' Berlin: Walter de Gruyter.
*Langacker, Ronald W. (2000). A dynamic-based model. In ''Usage-based models of language'', ed. Michael Barlow and Suzanne Kemmer, 1-63. Stanford: CSLI Publications.
*[[山梨正明]]、(2000)『認知言語学原理』東京:くろしお出版。
*[[山梨正明]]、(2009)『認知構文論』東京:大修館書店。