「著作権の保護期間」の版間の差分

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*'''1941年12月8日から、日本国と連合国との間の平和条約発効日の前日までに当該連合国および連合国民が取得した著作権'''
**著作権の取得日から、日本国と連合国との間の平和条約発効日の前日までの期間が加算される(4条2項)。たとえば、1944年8月1日に、上記連合国またはその国民が取得した著作権の保護期間には2827日が加算される。この場合、通常の保護期間によれば1978年12月31日をもって保護期間が満了する著作権は、2827日の加算によって、1986年9月27日まで存続する。
 
=== 著作権の消滅(期間満了以外の事由) ===
==== 相続人不存在等 ====
[[相続人]]なく著作権者が死亡した場合において、相続財産の清算のために相続財産管理人によって著作権が譲渡されず、特別縁故者に対する相続財産の分与もされなかった場合([[民法]]959条に該当する場合)、あるいは著作権者である法人が解散した場合において、その著作権を帰属させるべき者が存在しない場合(民法72条3項に該当する場合など)や清算法人の財産の清算のために清算人によって著作権の譲渡がされなかった場合は、著作権は法定の保護期間満了を待つことなく消滅する(著作権法62条1項、2項)。
 
民法などの原則をそのまま適用すれば、著作権はいずれの場合も[[国庫]]に帰属するはずである(民法959条、民法72条2項)。しかし、著作権法では上記のような特別規定をおき、著作権を消滅させることとした。著作物が文化的な所産であることを考慮すると、著作権を国庫に帰属させるよりは、広く国民一般に利用させるのが適切だからである。同様の権利消滅規定は、特許法、実用新案法、意匠法などの[[産業財産権]]法でも存在する(特許法76条、実用新案法と意匠法では特許法を準用)。いずれの規定も、著作権と同様に、権利の対象が知的所産であることを考慮したものである。
 
==== 著作権の放棄 ====
著作権法には、著作権を放棄できるとする明文の規定が存在しない。しかし、著作権は[[財産権]]の一種であり(著作権法61条、63条等参照)、譲渡も可能であるため、放棄できると解される。放棄の方式については、放棄の[[効力発生要件]]としての登録制度が存在しないことから(著作権法77条)、立法担当者からは、著作権放棄の効力を発生させるためには、著作権者による[[新聞広告]]その他への明示的な放棄の意思表示が必要であると説明されている<ref>[[加戸守行]]『著作権法逐条講義(五訂新版)』([[著作権情報センター]]、2006年)、377頁</ref>。しかし、このような説明に対しては、そのような厳しい要件を課する理由が存在せず、要は証明の問題に過ぎないとの批判もある<ref>[[中山信弘]]『著作権法』(有斐閣、2007年)、349頁</ref>。仮に、権利者の意図に反して著作権放棄の効果が生じないと評価された場合、その後、著作権が消滅したことを信頼した者に対して著作権を行使することは、[[濫用#民法|権利濫用]]または[[信義誠実の原則]]に反し、認められない場合もある。 -->
<!-- 一方で、財産権であるにもかかわらず著作権は放棄できないとする見解もある。仮に著作権は放棄できないとすると、著作権者が「著作権を放棄する」旨の意思表示をした場合の法的効果が問題となる。この場合、著作権者の意思を合理的に解釈して、著作権者は「著作権は保有しているが、それを行使しない(他人が著作物を利用することを禁止しない)」旨の意思表示をしたと解すべきことになる。したがって、そのような意思表示をした著作権者が、当該著作物の利用者に対して差止請求権や損害賠償請求権を行使することは、もはや[[信義誠実の原則]]から認められないことになる<ref>関堂幸輔『電脳空間における知的所有権法講義』第11講 (<nowiki>http://www.sekidou.com/law/cyber/intlprop/intpro11.shtml</nowiki>, 2007年6月8日リンク先消滅確認)</ref>。--><!-- 半田正夫のみが主張している財産権と人格権の一元論を採用するのであればともかく、日本法の解釈に整合性がある二元論を採用した場合に放棄できないとする見解の根拠が不明。どの程度支持を得ている見解なのか疑問。 --><!-- 出典リンクが切れていることもあり、消去しました。 -->
 
=== 著作権消滅の効果 ===