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{{右|[[画像:nihontou72.JPG|thumb|none200px|太刀の刀身。[[打刀]]より反りが深い]]}}
[[Image:Tachi-p1000620.jpg|180px|thumb|太刀 備前長船祐定 青貝螺鈿拵]]
'''太刀'''(たち)とは、[[日本刀]]のうち刃長がおおむね2尺(約60cm)以上で、刃を下向きにして、下緒(太刀緒を用いて腰から下げるかたちで佩用(はいよう)する太刀[[拵]](たちこしらえ)のものを指す。刃を上向きにして腰に差す[[打刀]]とはを切る位置が異なる場合多い(例外も数多く存在す
{{右|[[画像:nihontou72.JPG|thumb|none|太刀の刀身。[[打刀]]より反りが深い]]}}
 
'''太刀'''(たち)とは、[[日本刀]]のうち刃長がおおむね2尺(約60cm)以上で、刃を下向きにして、下緒(太刀緒)を用いて腰から下げるかたちで佩用(はいよう)する太刀[[拵]](たちこしらえ)のものを指す。刃を上向きにして腰に差す[[打刀]]とは銘を切る位置が異なる場合が多い(例外もある)。
 
==概要==
[[Image:Tachi-p1000620.jpg|180px|thumb|200px|太刀 備前長船祐定 付 青貝螺鈿太刀拵]]
[[語源]]は、'''断ち'''から来ているという。なお、「太刀」は一般的に平安時代以降の鎬(しのぎ)があり、反りをもった日本刀を指し、古墳出土品や正倉院伝来品などの上古の直刀については「大刀」の字をあてて「たち」と読ませている。
 
もともと馬上での戦いを想定して作られている発展したものであるため抜刀に適した打刀より反りが強く長大な物が多いという特徴がある。[[平安時代]]頃から作られ始め、[[鎌倉時代]]、[[南北朝時代 (日本)|南北朝時代]]と使用され続けたが、[[室町時代]]後期になると武士同士の馬上決戦から歩兵足軽による集団が主になるにつれ生産量も落ち、徒戦(かちいくさ:徒歩による戦いを得意とする)に向いた打刀が台頭していった。
 
尚、現在の刀剣分類では「銘」をどのように切るかによって「太刀」と「刀(打刀)」を区別するが、必ずしも分類基準に即して銘が切られているものばかりではなく、また「太刀」であっても「打刀」様式の外装に収められているものや、逆に「打刀」であっても太刀様式の外装に収められているものもあるため、刀身、外装共に外見での区別は難しい場合も多い。
 
==太刀の種類==
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*太刀:現代では刀身が2尺以上、3尺(約90cm)未満のものを指す。
*[[大太刀]]:[[野太刀]]とも呼ばれ、刀身が3尺以上の太刀を指す。大型のものでは10尺(約3.3m)以上になるものも存在する。[[鎌倉時代]]に好んで作られたが、後に摺り上げられて通常の長さに直されてしまったものが多く、現存するものは少ない。
*[[小太刀]]:刀身が2尺未満のもの。名前こそ太刀というが形状は打刀に近く直線的なものが多い現代では脇差との違いは曖昧でいまいで大型脇差程度のものが一般的存在理由については各説ある
 
刀身長による分類の方法には、文献や研究者によって違いがあり、[[大太刀]]が刀身が5尺(約150cm)程度のものを、[[野太刀]]が刀身が3尺以上のものとすることもある。一般的には大型の太刀をまとめて大太刀と呼び、別称して「野太刀」とも呼ぶことが主流である。
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**'''蛭巻太刀(ひるまきたち)''':漆で下塗りした柄及び鞘に短冊状にした金属板を螺旋状に巻き付け、黒漆を塗って仕上げた太刀。[[平安末期]]、「厳物造」が好まれるようになってより[[室町時代]]頃まで好んで作られた。
 
*'''錦包太刀(にしきつつみたち)''':鞘を[[錦|錦布]]で包んだ太刀で、[[平安時代]]頃より装飾用の刀装として広く用いられた。[[室町時代]]には「華美に過ぎる」として幕府によって禁止令が発布され、錦包の刀装は足利将軍家及び将軍家より下賜された刀装にのみ許されたが、[[応仁の乱]]以後足利幕府の権勢が衰退すると禁止令は無視されるようになり、武士は挙って錦包の太刀を佩用した<ref>当時の風俗を描写した記録に、「近頃ハ身分低キ者マデ錦ノ太刀ヲ誇レリ」との一節がある。</ref>。鞘だけではなく柄も錦包にしたものもあり、通常は錦布で包んだ上から金具で固定するが、金具も含めて全体を錦包みにした作りもある。錦包みにした上から藤で巻き締めた様式もあり、それを特に「'''錦包籐巻太刀(にしきつつみとうまきたち)'''」という。
 
*'''黒漆太刀(くろうるしたち)''':黒漆で金具も含めて全体を塗り込めた太刀。[[鎌倉時代]]に後述の「革包太刀」の拵えが一般化するまでは、実戦に用いる太刀の最も一般的な拵えだった。武士以外にも僧兵に好んで使われ、[[室町時代|室町]]・[[戦国時代 (日本)|戦国期]]に至っても実戦用の刀装として用いられている。金具や柄巻も含めて全体を塗り込めるのが基本だが、金具を塗り込めずに残した作りもあり、それを特に「'''白造太刀(しらづくりのたち)'''」という。
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== 参考書籍 ==
*『図解 日本刀事典』(ISBN 978-4054032767)、学習研究社、2006
*『武器と防具 日本編』(戸田藤成著/新紀元社発行)
*『図説 剣技・剣術』(牧秀彦著/新紀元社発行)