「カミオカンデ」の版間の差分

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==概要==
カミオカンデは、大統一理論の予言する[[陽子#陽子の崩壊|陽子崩壊]]を実証するため[[1983年]]に完成した。
カミオカンデは、[[1983年]]に完成した。現在は[[スーパーカミオカンデ]]が、あとを引き継いでいる。カミオカンデの跡地には、[[カムランド]]が建設された。
 
カミオカンデは3000トンの超純水を蓄えたタンクと、その壁面に設置した1000本の[[光電子増倍管]]からなる。ここで使用された光電子増倍管は研究グループと[[浜松ホトニクス]]が新規に共同開発した口径20インチのものである(一般に広く使われるのは口径2インチ型)。
 
カミオカンデが地下に設けられたのは、陽子崩壊時に放出されるニュートリノ以外の[[粒子]]の影響を避けるためである。ニュートリノはものを貫通する能力が高く、他の[[物質]]と反応することなく簡単に[[地球]]を抜けていってしまう。しかし、まれに他の物質と衝突することがある。カミオカンデは、このまれに起こるニュートリノ他の物質の衝突を検出することで間接的に陽子崩壊を実証することを目的とした
 
カミオカンデは、こニュートリノまれに起こる衝突を検出するため、[[超純水]]をつかう。カミオカンデの内部には超純水がたたえられており、ニュートリノが水の中の[[電子]]に衝突したあとに、高速で移動する電子より放出される[[チェレンコフ放射|チェレンコフ光]]を、壁面に備え付けられた[[光電子増倍管]]で検出する。
 
チェレンコフ光を検出した光電子増倍管がわかると、計算によりどの方角からきたニュートリノによる反応かがわかるしくみになっている。このしくみにより、カミオカンデは[[1987年]][[2月23日]]、カミオカンデはこの仕組みによって、[[大マゼラン星雲]]でおきた[[超新星爆発]] ([[SN 1987A]]) によって生じたニュートリノを偶発的に世界初めて検出することに成功した。この功績により、[[2002年]][[小柴昌俊]]東大名誉教授は、[[ノーベル物理学賞]]を受賞した。
 
その後も現在は、太陽ニュートリノやニュートリノ振動の検出、レプトンフレーバーの保存の破れの研究に活躍している。
 
==当初の目的==
前述したとおりカミオカンデ建設の当初の目的は、[[大統一理論]]の候補の多くが予想する[[陽子#陽子の崩壊|陽子崩壊]]を観測することであった。中でも最もシンプルで有力であったSU(5)理論が正しければ、少なくとも年に数回の陽子崩壊検出が可能なように、さらには外国でも同様の実験が行われていたが、複数予想される崩壊形式の分岐比も測定可能なように設計された。
 
予想される崩壊の中で主なものは、[[陽電子]]と[[パイ中間子]](π<sup>0</sup>)への崩壊で、π<sup>0</sup>はすぐに2つの[[光子]]に崩壊し、光子はさらに[[電子]]等を散乱したりする。これらの陽電子や電子等の発するチェレンコフ光を観測することにより、陽子崩壊を検出しようとしたのである。