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夢幻乱舞 (会話 | 投稿記録)
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'''賢者'''(けんじゃ)は、
# 一般的に賢い人のこと。'''賢人'''(けんじん)。反対は愚者。著名な[[思想家]]を指して使われることもある。
# [[キリスト教]][[新約聖書]]に登場する[[占星術]]の学者たち。'''東方の三賢者'''あるいは'''[[東方の三博士]]'''。'''[[マギ]]'''。
# [[中世]][[ヨーロッパ]]の[[騎士道物語]]に脇役として頻繁に登場する智慧者、特殊能力者。また、これを下敷にした[[ファンタジー]]作品に登場するキャラクターのひとつ。
 
== 聖書中の賢者 ==
[[Image:Giorgione 029.jpg|thumb|240px|[[ジョルジョーネ]]による『三賢者』([[16世紀]]初頭)。左の人物は描かれた当時の[[天文学]]者風、真中人物は[[アラビア]]の賢者風、右端は[[古代ギリシア]]の哲学者風に描かれている。]][[キリスト教]]で賢者はとくに『[[マタイによる福音書]]』(2:1-13) に登場する[[占星術]]の学者たちを指す。英訳聖書では wise men、[[ラテン語]]訳聖書では magi(いずれも複数形)。星を見て[[キリストの降誕]]を知り、東方から贈り物を持ってやってきた。[[新共同訳]]では「占星術の学者たち」と訳しているが、博士、賢者などと訳すこともある。[[福音書]]に人数は書いていないが、贈り物の数から伝統的に3人とされる。「[[東方の三博士]]」あるいは「東方の三賢者」。
[[キリスト教]]で賢者はとくに『[[マタイによる福音書]]』(2:1-13)に登場する[[占星術]]の学者たちを指す。
英訳聖書では wise men、[[ラテン語]]訳聖書では magi (いずれも複数形)。
星を見て[[キリストの降誕]]を知り、東方から贈り物を持ってやってきた。
[[新共同訳]]では「占星術の学者たち」と訳しているが、博士、賢者などと訳すこともある。
[[福音書]]に人数は書いていないが、贈り物の数から伝統的に3人とされる。
「[[東方の三博士]]」あるいは「東方の三賢者」。
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彼らは[[エジプト]]ないしは[[ペルシア]]の([[ユダヤ教]]徒ではない)異教徒の国の宮廷学者あるいは祭司と考えられている。
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[[旧約聖書]]でもエジプトの[[ファラオ]]の側近に賢者や呪術師、[[魔術師]]がおり([[出エジプト記]]7:11)、[[モーゼ]]の奇跡に対抗する。ここで賢者、呪術師、魔術師と異った言葉が使われているが、全員同じ術を使うので、区別されていないようである。
[[バビロン]]の王[[ネブカドネツァル]]は、占い師、祈祷師、まじない師、賢者に、自分の見た夢を説明させようとしている([[ダニエル書]]2:2)2)
<!--このの中にはむりやり連れてこられて、バビロンの宮廷に仕えていたユダの王族の子息も含まれている。-->
『[[イザヤ書]]』には「ファラオの賢者、参議ら」という言葉が見える(19:11)。
 
聖書中に登場する賢者は、主に周辺の異教徒の国で宮廷に仕えていた知識人を指すようである。参議、呪術師、魔術師などと並べられているが、その区別ははっきりしない。[[ラテン語]]訳新約聖書に使われた magi は [[魔術師]] (英:magician)の語源。「[[マギ]]」の項を見よ
参議、呪術師、魔術師などと並べられているが、その区別ははっきりしない。
[[ラテン語]]訳新約聖書に使われた magi は [[魔術師]] (英:magician)の語源。「[[マギ]]」の項を見よ。
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[[ソロモン王]]が賢者と愚者とを、一般的な賢い人、愚かな人という意味で使っている([[箴言]]、[[コヘレトの言葉]])ほかには、[[ユダヤ人]]同胞に対して賢者という言葉はあまり使われない。
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非ユダヤ教が非キリスト教と変わっているところはあるものの、聖書中の賢者像と変わっていない。
 
== 騎士道物語中の賢者 ==
[[騎士道物語]]の[[パロディ]]として[[17世紀]]に[[スペイン]]の作家[[ミゲル・デ・セルバンテス]]が書いた『[[ドン・キホーテ]]』は、その二の巻に賢者を登場させている。<blockquote>''「騎士はいずれも、1人または2人の賢人を判で押したように持っていたもので」''<ref>セルバンテス 『ドン・キホーテ 正編(一)』 永井寛定[訳]、<[[岩波文庫]]> 赤721-1、1948年、191ページ</ref></blockquote>当時読まれていた騎士物語の多くは、主人公である騎士に付き添う「賢者」が登場するのが定番であったことが分かる。セルバンテスはシーデ・ハメーテ・ペネンヘーリなる架空の人物を登場させ、主人公ドン・キホーテの伝記を記録させている。
<blockquote>''「騎士はいずれも、一人または二人の賢人を判で押したように持っていたもので」''<ref>セルバンテス 『ドン・キホーテ 正編(一)』 永井寛定[訳]、<[[岩波文庫]]> 赤721-1、1948年、191ページ</ref></blockquote>
当時読まれていた騎士物語の多くは、主人公である騎士に付き添う「賢者」が登場するのが定番であったことが分かる。
セルバンテスはシーデ・ハメーテ・ペネンヘーリなる架空の人物を登場させ、主人公ドン・キホーテの伝記を記録させている。
 
セルバンテスが賢者として登場させたこの人物は、[[アラビア]]の[[歴史]]家という肩書きで紹介されている。英語で [[w:Wise old man|Wise old man]] あるいは Philosopher と記される賢者像は、<!--[[科学]]がまだ、[[天文学]]、[[医学]]、[[薬学]]、[[化学]]、[[数学]]、[[物理学]]、[[文学]]、[[政治]]などに分科する前の、これら-->広範な[[学問]]知識を持つ者として捉えるのが適当であろう。英語の Philosopher を「[[哲学]]者」と訳すのは、[[科学革命]]以降に[[学問]]知識が分科してからの呼び方である。
英語で [[w:Wise old man|Wise old man]] あるいは Philosopher と記される賢者像は、<!--[[科学]]がまだ、[[天文学]]、[[医学]]、[[薬学]]、[[化学]]、[[数学]]、[[物理学]]、[[文学]]、[[政治]]などに分科する前の、これら-->広範な[[学問]]知識を持つ者として捉えるのが適当であろう。
英語の Philosopher を「[[哲学]]者」と訳すのは、[[科学革命]]以降に[[学問]]知識が分科してからの呼び方である。
 
騎士道物語が書かれた背景に[[十字軍]]や[[レコンキスタ]]があることを思えば、当時に学問知識が先行していたイスラム世界([[イスラム帝国]])から、賢者たちがやって来るのは自然であったろう。実際、中世ヨーロッパの人びとに、もっとも偉大な賢者として知られていたのは、ラテン名ゲペルというイスラムの宮廷学者であった。[[ヨーロッパ]]が[[錬金術]]の時代を経て[[イスラム科学]]に追い付き、追い越すのは[[17世紀]]の[[科学革命]]以降となる。それまでは、信じがたい知識を持つものは恐れられる存在であった
実際、中世ヨーロッパの人びとに、もっとも偉大な賢者として知られていたのは、ラテン名ゲペルというイスラムの宮廷学者であった。
[[ヨーロッパ]]が[[錬金術]]の時代を経て[[イスラム科学]]に追い付き、追い越すのは[[17世紀]]の[[科学革命]]以降となる。
それまでは、信じがたい知識を持つものは恐れられる存在であった。
 
またたぶん[[キリスト教]]の立場からは、彼らは異教の[[魔術]]を使うものと考えていた。[[アーサー王]]に召し抱えられた[[マーリン]]は、彼が持つ不思議な力から[[魔法使い]]と呼ばれている。古代[[ケルト人]]の祭司職である[[ドルイド]]の姿が投影しているかもしれない
[[アーサー王]]に召し抱えられた[[マーリン]]は、彼が持つ不思議な力から[[魔法使い]]と呼ばれている。古代[[ケルト人]]の祭司職である[[ドルイド]]の姿が投影しているかもしれない。
 
== 近代の作品における賢者 ==
[[ファンタジー]]や[[ゲーム]]など[[フィクション]]の作品においては定番の登場人物であり、主人公に助言を与える役割を与えられている。英語では''Wise man''、''Wise Old Man''などと呼ばれる。
 
また、[[コンピューターRPG]]やTRPGなどのゲームにおける賢者は、(高レベルの)魔法の使い手としての役割を与えられていることが多い。こうした[[ヨーロッパ]]系ファンタジーを素材にした作品に登場する賢者のキャラクターは、中世の[[騎士道物語]]の伝統を踏襲していると見られる。
 
== ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
 
== 関連項目 ==
* [[聖人|聖者]]
* [[魔術師]]
* [[賢者の石]]
* [[竹林の七賢]]
* [[賢者タイム]]
* [[賢者ナータン]]
 
[[Category{{DEFAULTSORT:キリスト教|けんしや]]}}
[[Category:ファンタジー|けんしやキリスト教]]
[[Category:ファンタジー]]
 
[[ca:Vell savi]]