「氷河地形」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
江口磐世☆ (会話 | 投稿記録)
m lk
編集の要約なし
1行目:
[['''氷河]]地形'''([[英語|英]];glacial landform)とは、[[氷河]]の[[侵食]]と[[堆積作用]]により生まれた[[地形]]である。[[氷河氷]]が上部の[[氷]]による荷重によって部分的に[[融解]]したり[[結晶]]がルーズになったりしてすべりやすくなることで、上部の氷全体が板状に移動する氷の流れが発生する。この運動は、流れはおそいがその侵食力は大きく、氷の下や側面の岩盤が削りとられて運搬された岩屑によりさまざまな特徴のある堆積物や地形を形成する。このように氷河地形は、侵食地形や堆積物によって過去の氷河について[[証言]]してくれるものである。
{{字引}}
[[氷河]]地形([[英語|英]];glacial landform)とは、氷河の[[侵食]]と[[堆積作用]]により生まれた[[地形]]である。[[氷河氷]]が上部の[[氷]]による荷重によって部分的に[[融解]]したり[[結晶]]がルーズになったりしてすべりやすくなることで、上部の氷全体が板状に移動する氷の流れが発生する。この運動は、流れはおそいがその侵食力は大きく、氷の下や側面の岩盤が削りとられて運搬された岩屑によりさまざまな特徴のある堆積物や地形を形成する。このように氷河地形は、侵食地形や堆積物によって過去の氷河について[[証言]]してくれるものである。
 
== 氷河地形による主な地形 ==
16 ⟶ 15行目:
c'''流線型の突起'''
 
[[氷食]]谷底や氷床や氷冠におおわれていた岩盤上には、圏谷やトラフ谷にくらべはるかに小規模な氷食地形がみられる。氷河の流動方向に対し、上流側が丸みを帯び傾斜がゆるく、下流側に先細り傾斜が急で、しばしば氷河によって岩塊がもぎとられ凹凸になっており、このような特質から氷河の流れを知ることができる。また、群をなしていることが多い。[[羊背岩]](羊群岩ともいう)とよばれるものはこの種の地形の一つで、節理の発達したゆか岩の表面に現れる流線型の地形で表面に氷河に取り込まれた岩屑によるきず([[擦痕]])が残されている。
 
== 堆積作用による地形 ==
a'''氷堆積([[モレーン]])'''
 
 氷堆積([[モレーン]])は、氷河によって削りとられた[[漂礫土]](テイル)または[[氷礫土]]などとよばれる岩屑がつくる地形である。氷河堆積物のうちで、過去の氷河の挙動を探るためにもっとも重要なものは氷堆積である。氷河はその底や側壁の接触面から岩石を搔き取ったり(プラッキング)、氷河におおわれていない側壁上部や[[ヌナタク]]から転落する大小の岩屑を乗せて下流に運ぶ。側壁から転落した岩屑は氷河の両岸に列をなして堆積し、側堆積(ラテラルモレーン)とよばれる。この岩屑は徐々に下流に移動し、二つの氷河が合流すると片側の岩屑は氷河の中央に出るので、主谷の氷河上には合流する支谷の氷河の数にみあった岩屑の縞模様ができることになる。
 氷河の末端では、氷河の前進量と消耗量が釣り合うと氷河の前進は止まり、末端部には氷体に取り込まれていた岩屑や氷河の表面に押し出された岩屑が堆積する。これを終堆積、端堆積(末端モレーン)という。終堆積からは、氷河の拡大した範囲を知ることができる。
 
 氷河の末端では、氷河の前進量と消耗量が釣り合うと氷河の前進は止まり、末端部には氷体に取り込まれていた岩屑や氷河の表面に押し出された岩屑が堆積する。これを終堆積、端堆積(末端モレーン)という。終堆積からは、氷河の拡大した範囲を知ることができる。
b'''[[エスカー]]'''
 
b'''[[エスカー]]'''
エスカーは、長い[[堤防]]状の地形で、氷河中の[[トンネル]]状水路に淘汰のよい[[成層]]した砂や礫が堆積し、氷河がとけ去ったあと、長い丘となって残る。丘の高さは二〇~三〇メートル、長さは数キロにも達する。エスカーの延びの方向は、ほぼ氷河の流れの方向を示している。
 
[[エスカー]]は、長い[[堤防]]状の地形で、氷河中の[[トンネル]]状水路に淘汰のよい[[成層]]した砂や礫が堆積し、氷河がとけ去ったあと、長い丘となって残る。丘の高さは二〇~三〇メートル20~30m、長さは数キロkmにも達する。エスカーの延びの方向は、ほぼ氷河の流れの方向を示している。
c'''[[氷縞粘土]](ヴァーヴ)'''
 
c'''[[氷縞粘土]](ヴァーヴ)'''
氷縞粘土とは、氷床の末端にできた[[氷河湖]]の堆積物である。一枚の年層は、ほぼ数ミリの厚さを有する。氷河湖は、氷床の後退にともないつぎつぎと新しく形成され、古いものは消滅していく。[[スウェーデン]]では、氷縞粘土の花粉分析から、氷床が後退するにつれ、草原から森林へと移りかわる植生の変化が明らかにされている。
 
[[氷縞粘土]]とは、氷床の末端にできた[[氷河湖]]の堆積物である。一枚の年層は、ほぼ数ミリの厚さを有する。氷河湖は、氷床の後退にともないつぎつぎと新しく形成され、古いものは消滅していく。[[スウェーデン]]では、氷縞粘土の花粉分析から、氷床が後退するにつれ、草原から森林へと移りかわる植生の変化が明らかにされている。
 
== 参考文献 ==
*『氷河時代と人類』 酒井潤一・熊井久雄・中村由克著 共立出版株式会社 1985.8.25
 
*『地球 図説アースサイエンス』 産業技術総合研究所地質標本館編 誠文堂新光社 2006.9.3
『氷河時代と人類』 酒井潤一・熊井久雄・中村由克著 共立出版株式会社 1985.8.25
*『氷河時代』 小林国夫・阪口豊著 岩波書店 1982.6.23
 
『地球 図説アースサイエンス』 産業技術総合研究所地質標本館編 誠文堂新光社 2006.9.3
 
『氷河時代』 小林国夫・阪口豊著 岩波書店 1982.6.23
 
==関連項目==
47 ⟶ 43行目:
* [[マッターホルン]]
 
{{geo-stub}}
{{DEFAULTSORT:ひようかちけい}}
{{substub}}
{{geo-stub}}
[[Category:地形]]
[[Category:氷河]]