「連分数」の版間の差分
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'''連分数'''(れんぶんすう、[[英語|英称]]:''continued fraction'')とは、分母に更に[[分数]]が含まれているような分数のことを指す。分子が全て 1 である場合には特に'''正則連分数'''ということがある。単に連分数といった場合、正則連分数を指す場合が多い。具体的には次のような形である。
ここで ''a''<sub>0</sub> は[[整数]]、それ以外の ''a''<sub>''n''</sub> は正の整数である。正則連分数は、[[最大公約数]]を求める[[ユークリッドの互除法]]から自然に生じるものであり、古来から[[ペル方程式]]の解法にも利用された。
連分数を式で表す際には次のような書き方もある。
また、[[極限]]の概念により、分数を[[無限]]に連ねたものも考えられる。
二次無理数(整数係数[[二次方程式]]の根である[[無理数]])の正則連分数展開は必ず循環することが知られている。逆に、連分数展開が循環する数は二次無理数と有理数のみである。
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例として[[黄金比]] φ を考える。φ は ''x''<sup>2</sup> - ''x'' - 1 = 0 の正の解である。この式を変形すると、
{{Indent|
:<math>x = 1 + \frac{1}{x}</math>▼
}}以下同様にして、
= [1; 1, 1, 1, 1, 1, \ldots]</math>}}
と表す事が出来る。
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となるよう ω<sub>1</sub> を定める。ω<sub>1</sub> が整数でないならば、ω<sub>1</sub> を超えない最大の整数を ''a''<sub>1</sub> とし、
<math>\omega_{1} = a_{1}+\frac{1}{\omega_{2}}</math> となるように ω<sub>2</sub> を定めることができる。以下この作業を繰り返すことにより、''n'' 段までの連分数
{a_2+\cfrac{1}{\ddots a_{n-1}+\cfrac{1}{\omega_n}}}}</math>}}
を求めることができる。もし ω が[[有理数]]ならば、この作業は有限回で終了するが、[[無理数]]ならば無限にこの作業を続けることができる。
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数列 ''p''<sub>''n''</sub>, ''q''<sub>''n''</sub> を以下のように定める。
\begin{cases}
p_0=1\\
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q_n=a_{n-1}q_{n-1}+q_{n-2} (n\ge 2)
\end{cases}
</math>}}
このとき、連分数は
\frac{\omega_{n}p_n+p_{n-1}}
{\omega_{n}q_n+q_{n-1}}</math>}}
と表すことができる。この式から ''n'' 段まで計算した場合、すなわち ω<sub>''n+1''</sub> を 0 とした場合の値は ''p''<sub>''n''</sub>/''q''<sub>''n''</sub> であることがわかる。数列 ''a''<sub>''n''</sub>, ''p''<sub>''n''</sub>, ''q''<sub>''n''</sub> はユークリッドの互除法における各ステップの各値に等しい。故に数列 ''p''<sub>''n''</sub>, ''q''<sub>''n''</sub> は互除法の結果を逆にたどっているともいえる。
''p''<sub>''n''</sub>/''q''<sub>''n''</sub> は ω に収束する。すなわち連分数によりいくらでも実数ω に近い有理数を与えることができる。また、ω と連分数の差は
となることが知られており、連分数は[[ディオファントス近似]]の解を求める手段として有効である。
''a''<sub>''n''</sub> が全て 1 の場合は ''p''<sub>''n''</sub>, ''q''<sub>''n''</sub> は[[フィボナッチ数列]]になる。すなわち
である。ところで、この連分数は例に示したように、[[黄金比]]に収束する。ゆえに隣会うフィボナッチ数列の比は黄金比に収束することが証明できる。
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== 様々な数の連分数展開 ==
*[[2の平方根]]
1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}
{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\cdots}}}}}}}</math>
*[[3の平方根]]
1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}
{1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\cdots}}}}}}}</math>
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[[円周率]]の正則連分数展開には規則性がないと考えられているが、正則でない連分数で規則性を持つものが存在する。
:<math>
\pi=3 + \cfrac{1^2}{6 + \cfrac{3^2}{6 + \cfrac{5^2}{6 + \cfrac{7^2}{6 + \cfrac{9^2}{6 + \cfrac{11^2}{\ddots\,}}}}}}
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