「熱電対」の版間の差分

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'''熱電対'''(ねつでんつい、thermocouple)は温度差を測定する[[センサ]]。[[熱電能]]の異なる二種の金属を接合してするとそれぞれの[[熱電能]]の違いから2つの接合点を異なる温度にすると、応じた電圧が発生し一定の方向に電流が流れ、る。異種金属の2接点間の温度差によって[[熱起電力]]が生じる現象([[ゼーベック効果]])を利用した温度センサである。
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{{未検証}}
'''熱電対'''(ねつでんつい、thermocouple)は温度差を測定する[[センサ]]。[[熱電能]]の異なる二種の金属を接合して、2つの接合点を異なる温度にすると、一定の方向に電流が流れ、[[熱起電力]]が生じる現象([[ゼーベック効果]])を利用した温度センサである。
 
接合する各金属ごとに特性がさまざまな為、安定性、起電力の大きさ、起電力のリニア特性などが異なる。このため熱電対の種類、素線径などは各種規格([[国際電気標準会議|IEC]]、[[日本工業規格|JIS]]、[[ANSI]]など)によって定められている。
使用する金属は、接合する各金属ごとに測定範囲、測定精度などが異なるため、材料の費用も考慮に入れて適切に選択する。熱電対の種類、素線径などは各種規格([[国際電気標準会議|IEC]]、[[日本工業規格|JIS]]、[[ANSI]]など)によって定められている。
 
== 形式 ==
[[画像:sheathTC.gif|frame|構造]]
熱電対は、高温領域や極低温領域でも用いられるが、熱電対の種類ごとに特性が違うので使用目的によって選択する。
熱電対は、常温付近で使用されることが多いが、高温領域や極低温領域でも用いられることが前提とされている。そのため、低温[[脆性]]が少なく、耐熱性や耐酸性・耐アルカリ性などを持つ、化学的にも物理的にも安定した金属である [[白金]] (Pt)、[[レニウム]] (Re)、[[タングステン]] (W)、[[銀]] (Ag)、[[金]] (Au) といった[[貴金属]]や、それらを含む[[合金]]類を用いることが多い。
 
貴金属熱電対は素材自体の安定性は良いが、熱起電力が低く低温から中高温付近の測定には向かない。高温測定には向いている。
また全ての配線をこれらの素材で行なうと極めて価格が高価となるため、感温部のみにこれらの貴金属類を用い、常温付近となる配線用の部分にはこれらの貴金属と同じ似た[[熱電能]]を持った比較的廉価な金属を成分とする合金線を用いることができる。この際用いられる合金線は「補償導線」と呼ばれる。また、補償の接続は同じ熱電能の合金により製作されているコネクタにより接続し、これらを用いて計測器の温度均一、温度変化の少ない機器内部などの温度補償された接続部分まで配線する必要があると誤差要因にお、補償導線の[[規格]]は ''JIS C 1610'' に定められている。
 
卑金属熱電対はタイプにより特性はさまざまである。素材の価格が安いため、補償銅線まで含めて同種金属が使用可能だが、素材の安定性が貴金属に比べると低いため、酸化・還元等の影響を考慮しなければならない。
熱電対の測温部分は温度の計測要求に応じて接触型・非接触型で用いる。また、細い熱電対を保護するため「熱電対保護管」を用いる。この保護管には金属([[銅]]、[[ステンレス]]、カンタル、インコネル、[[チタン]]、ハステロイ)、非金属(硬質[[ガラス]]、高純度[[アルミナ]]、[[石英]]、[[ジルコニア]]、[[窒化ケイ素]]、[[テフロン]])などが用いられる。
 
補償導線等の接続には同じ素材により製作されているコネクタにより接続し、これらを用いて計測器の温度均一、温度変化の少ない機器内部などの温度補償された接続部分まで配線する必要がある。
金属保護管に[[酸化マグネシウム]]や[[シリカ]]粉末で充填した構造のものを「シース熱電対」といい、太さ0.25ミリメートル程度のものまである。
補償導線の[[規格]]は ''JIS C 1610'' に定められている。
通常の熱電対は温度変化に対して鈍感な物であったが、13マイクロメートル程度まで市販されている極細熱電対によりミリsec単位の早い温度変化と微小対象物も計測することが可能となった。
 
熱電対の測温部分は温度の計測要求に応じて接触型・非接触型で用いる。また、細い熱電対を保護するため「熱電対保護管」を用いることもある。この保護管には金属([[銅]]、[[ステンレス]]、カンタル、インコネル、[[チタン]]、ハステロイ)、非金属(硬質[[ガラス]]、高純度[[アルミナ]]、[[石英]]、[[ジルコニア]]、[[窒化ケイ素]]、[[テフロン]])などが用いられる。
 
金属保護管に[[酸化マグネシウム]]や[[シリカ]]粉末で充填した構造のものを「シース熱電対」といい流通量が多い。太さや形状、保護間材質は規格化され、もっとも細いものでは直径0.25ミリメートル程度のものまである。
 
通常の熱電対は温度変化測定対して鈍感な物であ秒単位の時間がかかったが、13マイクロメートル程度まで市販されている極細熱電対あるいは箔状加工することより100ミリsec単位の早い温度変化と微小対象物も計測することが可能となった。
 
== 種類の例 ==
29 ⟶ 35行目:
| [[アルメル]]†
| −200–+1000
| 熱起電力の直線性が良い。もっとも流通量が多
|-
| E
35 ⟶ 41行目:
| [[コンスタンタン]]
| −200–+700
| 熱起電力がもっとも大きい、流通量が少な
|-
| J
41 ⟶ 47行目:
| コンスタンタン
| −200–+600
| E熱電対についで起電力が大きい、さびやすい
|-
| T
47 ⟶ 53行目:
| コンスタンタン
| −200–+300
| 低温測定に向いている。[[熱伝導]]誤差が大きい
|-
| N
| [[ナイクロシル]]
| [[ナイシル]]
| -200–+1200
| 広い温度範囲にわたって熱起電力が安定している
|-
| R
53 ⟶ 65行目:
| 白金
| 0–1400
| ばらつきや劣化が少ない、熱起電力が低く高温測定向き
|-
| S
| [[白金]][[ロジウム]]合金(ロジウム10%)
| 白金
| 0–1400
| ばらつきや劣化が少ない、熱起電力が小さい低く高温測定向き
|-
| B
59 ⟶ 77行目:
| [[白金]][[ロジウム]]合金(ロジウム6%)
| 0–1800
| 熱起電力が極めて低く、JIS規格品ではもっとも高温測定向き
| ばらつきや劣化が少ないが起電力が小さい
|-
| W/Re5-26
65 ⟶ 83行目:
| [[タングステン]][[レニウム]]合金(レニウム26%)
| 0–2480
| 最高温対応.還元雰囲気のみで使用できる(JIS規格外)
|-
| IrRh
71 ⟶ 89行目:
| [[イリジウム]][[ロジウム]]合金(ロジウム40%)
| 1100–2000
| 高温で使用.酸化雰囲気でも使用可能(JIS規格外)
|-
| CrAu
77 ⟶ 95行目:
| [[金]][[鉄]]合金(鉄0.07%)
| 1–300K
| 低温用(JIS規格外)
|-
| CuAu
83 ⟶ 101行目:
| [[金]][[コバルト]]合金(コバルト2.11%)
| 4–100K
| 極低温用(JIS規格外)
|}
† 登録商標。
89 ⟶ 107行目:
== 原理 ==
違う種類の2本の金属の線をつないで熱電対を作り、2つの接した部分に温度差を与えると、電圧が生まれるという現象がおきる。この現象は、1821年にドイツの物理学者トーマス・ゼーベックによって発見され、ゼーベック効果と呼ばれている。
{{独自研究}}
熱電対自体は、基本的にはダイオードと同じで、温度差を作ると、電子が N から P に流れる。いったん移動すると、逆方向にはいけないので、外でつないでやると電気が流れる。
 
接点の一端(冷接点)の温度が分かっていれば、ゼーベック効果による起電力の電圧を測定し既知の起電力表と対比する事で他端(熱接点)の温度がわかる。
そして元に戻った電子はまた N から P に流れて……。こうして、温度差がある限り、電気は生まれ続ける。これが熱電対である。
冷接点温度は水の氷点温度を利用したり、機器内部の温度計測システムによって知る事が出来る。
尚、冷接点とは基準となる温度であり、熱接点とは測定対象に接した側の接点である。したがって低温の測定対象物の場合、実際の測定では冷接点側の温度が熱接点側の温度より高い。
 
== 関連項目 ==