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{{文学}}
『'''原ハムレット'''』(げんハムレット、{{lang|en|'''Ur-Hamlet'''。「}} 〈{{lang|en|"''Ur-''"}} は[[ドイツ語]]で「原初の」の[[接頭辞]]〉)とは、もし存在したのならば、[[1589年]]以前、つまり[[ウィリアム・シェイクスピア]]の『[[ハムレット]]』の10年以上前(<!--[[en:Hamlet]]から-->『[[ジュリアス・シーザー (シェイクスピア)|ジュリアス・シーザー]]』への言及などから一般に1599年中頃に書かれたと言われている<ref>MacCary (1998, 12–13) and Edwards (1985, 5–6).</ref>。[[書籍出版業組合]]の[[書籍出版業組合記録|記録]]に登録されたのは[[1602年]][[7月26日]])に存在した『ハムレット』となる、現存していない[[戯曲]]に付けられた名前。
 
なお、<!--[[en:Hamlet]]から-->シェイクスピアの『ハムレット』は『[[ジュリアス・シーザー (シェイクスピア)|ジュリアス・シーザー]]』への言及などから一般に1599年中頃に書かれたと言われている<ref>MacCary (1998, 12–13) and Edwards (1985, 5–6).</ref>。[[書籍出版業組合]]の[[書籍出版業組合記録|記録]]に登録されたのは[[1602年]][[7月26日]]である。
==根拠==
[[1589年]]、[[トマス・ナッシュ]]([[:en:Thomas Nashe|Thomas Nashe]])は[[ロバート・グリーン]]([[:en:Robert Greene (dramatist)|Robert Greene]])の『Menaphon』の序説に、次のようなことを書いている。「[[イングランド]]の[[セネカ]]は蝋燭の光のそばで読み、「血は物乞い」などなど多くの素晴らしい文を生み出した。そしてもし諸君が凍るような朝に彼に恐怖を嘆願するならば、彼は諸君にたくさんのハムレットたちを与え、私は一握りの悲劇的なスピーチを述べなければならないだろう」<ref>Nashe quoted in Jenkins, p.83</ref>。さらに[[1594年]]のフィリップ・ヘンズロー([[:en:Philip Henslowe|Philip Henslowe]])の日記にも『ハムレット』が上演されたと書かれていて、[[トマス・ロッジ]]([[:en:Thomas Lodge|Thomas Lodge]])も[[1596年]]に「劇場で悲惨に叫ぶ亡霊、牡蠣を取り扱う女性のように、ハムレット、復讐せよ!」ということを書いている<ref>Jenkins, p.83</ref>。
 
==作者 根拠 ==
[[1589年]]、[[トマス・ナッシュ]]([[:en:Thomas Nashe({{Interlang|en|Thomas Nashe]])}}) は[[ロバート・グリーン]]([[: ({{Interlang|en:|Robert Greene (dramatist)|Robert Greene]])}}) ''{{lang|en|Menaphon}}'' の序説に、次のようなことを書いている。「[[イングランド]]の[[セネカ]]は蝋燭の光のそばで読み、「血は物乞い」などなど多くの素晴らしい文を生み出した。そしてもし諸君が凍るような朝に彼に恐怖を嘆願するならば、彼は諸君にたくさんのハムレットたちを与え、私は一握りの悲劇的なスピーチを述べなければならないだろう<ref>Nashe quoted in Jenkins, p.83</ref>。さらに[[1594年]]のフィリップ・ヘンズロー([[: ({{Interlang|en:|Philip Henslowe|Philip}}) Henslowe]])の日記にも『ハムレット』が上演されたと書かれていて、[[トマス・ロッジ]]([[: ({{Interlang|en:|Thomas Lodge|Thomas}}) Lodge]])も[[1596年]]に「劇場で悲惨に叫ぶ亡霊、牡蠣を取り扱う女性のように、ハムレット、復讐せよ!」ということを書いている<ref>Jenkins, p.83</ref>。
ナッシュは先と同じ文章の中で[[トマス・キッド]]([[:en:Thomas Kyd|Thomas Kyd]])にも言及した。キッドは『ハムレット』と類似性のある『スペインの悲劇(<!--[[en:The Spanish Tragedy]]から-->[[:en:The Spanish Tragedy|The Spanish Tragedy]])』([[1582年]]から[[1592年]]の間に書かれた)を書いている。そのため、トマス・キッドが『原ハムレット』の作者だとする意見が多かった<ref>Jenkins, p.83-4</ref>。
 
== 作者 ==
[[ハロルド・ブルーム]]([[:en:Harold Bloom|Harold Bloom]])ら少数の研究者たちは、シェイクスピア本人が『原ハムレット』の作者であり、『ハムレット』は作者自身が昔の作品を書き直したものだというピーター・アレキサンダーの説を受け入れた<ref>Bloom, pp. xiii, 383</ref>。アルフレッド・ケーンクロスも「何か新しい説がそれと正反対のことを示すまでは、1589年のナッシュおよび1594年のヘンスローが言及した劇がシェイクスピアの『ハムレット』に他ならないという説は当然と思われる」<ref>Alfred F. Carincross, The Problem of Hamlet: A Solution, London, Mcmillan, 1936</ref>と、この説を支持した。反ストラトフォード派も、『原ハムレット』なるものは存在せず、あの言及は、一般に考えられている時期より早い時期にシェイクスピアの『ハムレット』が書かれ、数度かにわたって改訂されたことを示す証拠に過ぎない、とこの説を支持している<ref>Charlton Ogburn Jr., The Mystery of William Shakespeare, Cardinal, 1988, pg 631</ref>。しかし、ハロルド・ジェンキンスはこの説を却下している。<!--以下省略-->
ナッシュは先と同じ文章の中で[[トマス・キッド]]([[: ({{Interlang|en:|Thomas Kyd|Thomas}}) Kyd]])にも言及した。キッドは『ハムレット』と類似性のある『スペインの悲劇(<!--[[』(''{{Interlang|en:|The Spanish Tragedy]]から-->[[:en:The}}'') Spanish Tragedy|The Spanish Tragedy]])』([[1582年]]から[[1592年]]の間に書かれた)を書いている。そのため、トマス・キッドが『原ハムレット』の作者だとする意見が多かった<ref>Jenkins, p.83-4</ref>。
 
[[ハロルド・ブルーム]]([[: ({{Interlang|en:|Harold Bloom|Harold}}) Bloom]])ら少数の研究者たちは、シェイクスピア本人が『原ハムレット』の作者であり、『ハムレット』は作者自身が昔の作品を書き直したものだというピーター・アレキサンダーの説を受け入れた<ref>Bloom, pp. xiii, 383</ref>。アルフレッド・ケーンクロスも「何か新しい説がそれと正反対のことを示すまでは、1589年のナッシュおよび1594年のヘンスローが言及した劇がシェイクスピアの『ハムレット』に他ならないという説は当然と思われる<ref>Alfred F. Carincross, The Problem of Hamlet: A Solution, London, Mcmillan, 1936</ref>と、この説を支持した。[[シェイクスピア別人説#ストラトフォード派と反ストラトフォード派|反ストラトフォード派]]も、『原ハムレット』なるものは存在せず、あの言及は、一般に考えられている時期より早い時期にシェイクスピアの『ハムレット』が書かれ、数度かにわたって改訂されたことを示す証拠に過ぎない、とこの説を支持している<ref>Charlton Ogburn Jr., The Mystery of William Shakespeare, Cardinal, 1988, pg 631</ref>。しかし、ハロルド・ジェンキンスはこの説を却下している。<!--以下省略-->
いずれにせよ、『原ハムレット』は現存しないため、文体論的・言語学的比較は不可能で、キッドを作者とする証拠も、この劇がシェイクスピア本人による初期のヴァージョンであるという証拠もともにない。
 
いずれにせよ、『原ハムレット』は現存しないため、[[文体論]]的・言語学的比較は不可能で、キッドを作者とする証拠も、この劇がシェイクスピア本人による初期のヴァージョンであるという証拠もともにない。
==関連項目==
*[[シェイクスピア外典]]
 
== 脚注 ==
<references />
 
== 参考文献 ==
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* Bloom, Harold, ''Shakespeare: The Invention of the Human''. New York, 1998.
*''Hamlet, Prince of Denmark'', Philip Edwards, ed. Cambridge, 2003. Original Edition 1985. (New Cambridge Shakespeare)
*''Hamlet'', Harold Jenkins, ed. Methuen & Co., 1982. (The Arden Shakespeare, Second Series)
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== 関連項目 ==
*[[シェイクスピア外典]]
 
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[[Category:イギリスの戯曲]]
[[Category:16世紀の戯曲]]
[[Category:シェイクスピア]]
[[Category:ハムレット]]
[[Category:逸書]]
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[[af:Ur-Hamlet]]