「フルート」の版間の差分

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たま998 (会話 | 投稿記録)
m 整形
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|その他の名称 =
|英語名 = flute
|ドイツ語名 = Flöte<br /><small>(特に横笛をさす場合にはQuerflöte)</small>
|フランス語名 = flûte<br /><small>(特に横笛をさす場合にはflûte traversière)</small>
|イタリア語名 = flauto<br /><small>(特に横笛をさす場合にはflauto traverso)</small>
|中国語名 = 长笛(簡体字) 長笛(繁体字)
|画像 = 画像:Flute.jpg
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|画像の説明 =
|分類 = [[木管楽器]]、フルート属
|音域 = [[画像:Range flute.png|180px]]<br />コンサート・フルートの音域
|関連楽器 = * フルート属
** [[#同属楽器|アルト・フルート]]
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頭部管を挿入する長さを変化させることにより全体の音高が変わるため、楽器が分割構造になっていることは、他の楽器とピッチを合わせる(チューニング)場合にも重要である。
 
* 頭部管は、歌口の部分で内径17mm、胴部管と接続する部分で内径19mmの円錐形である。歌口に近い方の端がヘッドスクリューと呼ぶ部品によって塞がれている。管内の歌口に近い位置に反響板があり、ヘッドスクリューと連結されている。コンサート・フルートでは反響板の位置は歌口の中央から17mmが適切であり、ここからずれているとピッチに支障がある<ref>フルート用掃除棒には通常、反射板の位置を確認するため一端から17mmの位置に目印が刻んである。</ref>。歌口は楕円形ないし小判形(角の丸い矩形)で、音源としてエッジトーンを発するためにある程度の高さ(約4.5 - 7mm)を持っており、木製など管そのものに厚さがある場合は管厚を利用し、また金属製の場合にはライザーと呼ばれる短管を介してリッププレートを取り付けて歌口穴を形成する。歌口部分がある程度の外径を持つことは、吹奏にあたって下顎に当てた際の安定性の確保の点からも重要である。歌口の形状や大きさは音色・音量・発音性などに影響があり、[[#フルートメーカー|楽器メーカー]]によって異なる。また同一メーカーでも、いくつかの歌口形状の頭部管を製作している場合がある。
 
<references />
 
* 胴部管は円筒形で、標準的なコンサート・フルートの場合、頭部管に近い位置に比較的小さなトーンホールが3つと、それ以外に管の内径 (19mm) とほぼ同じ大きさのトーンホールが10個、管体上面および側面にある。トーンホールが指で押さえられないほど大きく、またその数が指よりも多いため、一部が互いに連結されたキーシステムによってトーンホールの開閉を操作する。キーの裏側にはタンポと呼ばれるパッドがあり、トーンホールを閉じた際の気密性を確保している。
 
=== C足部管とB足部管 ===
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現代のフルートにおいては足部管が標準的に使用されているが、足部管は胴部管と同じ内径の円筒形で、3つないし4つのトーンホールを持つ。そのトーンホールが3つの場合はC足部管と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はC4である。トーンホールが4つの場合はB足部管(日本ではドイツ音名に由来してH(ハー)足部管(H-Fuß)と呼ぶ場合もある。アメリカの楽器メーカーの場合はB foot jointと表記)と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はB3である。B足部管を用いると全体の音色はやや太く強めになるといわれ、リングキーにする場合も多い。また、高音域が安定する(逆にいえば変化をつけにくい)ともいわれている。B足部管を用いることによって一部の運指<ref>標準的なC7の運指、およびいくつかの替え指とトリルの運指がこれに該当する。</ref>は影響を受ける。
 
<references />
 
=== タンポ(パッド) ===
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リングキー(オープンキー、オープンホールシステム、フレンチモデル、フレンチスタイルともいう)という呼び方は本来[[クラリネット]]や[[オーボエ]]にあるような、細くてパッドを含んでいないキーのことを指し、フルートに使われているものは厳密には「パーフォレーテッド・キー (perforated-key)」と呼んで区別されるが、一般的にはフルートの場合もリングキーと呼ばれている。特徴は軽く明るい音色である。穴をふさぐ程度を変化させることによって、[[ポルタメント]]、微分音程などの技法が楽に演奏できるようになるほか、ピッチ調節などのための替え指もカバードキーより多く利用できる利点があるが、穴を正確にふさがなければならないため、手が小さい場合には演奏が難しい場合もある。また重音のための特殊な運指の幅も大きく広がる。
 
<references />
 
=== インラインとオフセット ===
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また、キーカップを押さえるレバーを途中で分割、可動式にしEメカニズムのオン・オフを切り替えられるようにしたクラッチ式Eメカニズム(Eメカニズム・ヒンジ)も存在する。
 
=== F#F#メカニズム ===
第3オクターブのホ音(E6)と同様の理由で、第3オクターヴの嬰へ音(F♯6)も、音響学的構造から出しにくい。これを解消するために考案された機構がF#F#メカニズムであるが、構造の複雑さや耐久性の低さ等の理由から、商品化しているメーカーは少ない。
 
=== Cisトリルキー ===
Aisレバーの上流にあり、B-C#のトリルを容易にするための右手人差し指で操作するキーである。それだけではなく、第3オクターヴのG-A (G6-A6) のトリルも容易になり、弱奏におけるG#6の発音が容易になる。Cisトリルトーンホールは、DトリルトーンホールとBトーンホールの間にあり、主要なトーンホールと同じ大きさで、Bの運指にCisトリルキーを押すとC#のピッチが合うように設計されている。また、通常のCisトーンホールは極端に小さいため発音の困難、ピッチの不安定、音色の問題が伴うが、トリル以外のCisにもCisトリルキーを活用することで、これらの欠点を補うことが可能である<ref>ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」冒頭のC#で始まるフルートソロは、通常のC#の不安定な音が幻想的な曲想を高めるために用いられている。</ref>。デメリットとして、D5・D#5・D6の音色・音程を若干犠牲にする、楽器が重くなる、取り付け費用が高価であることなどが挙げられるため、Cisトリルキーを標準装備するメーカーはほとんどないが、アメリカでは非常に人気のあるオプションである。
 
<references />
 
=== G-Aトリルキー ===
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金属製の楽器の場合、トーンホールが管体から立ち上がってキー(タンポ)と密着しているが、この立ち上がり部分をどのようにして製作するかによる分類である。「ソルダードトーンホール」は管体となるパイプに別の部品をはんだ付けすることによりトーンホールを作成するのに対して、「ドローントーンホール」はパイプそのものを引き上げ加工して、トーンホールを形成する。管厚やキーメカニズムなどが同じであれば、ソルダードトーンホールの方が重くなる。ソルダードトーンホールの方が吹き込む際に抵抗感が増すとされる。比較的安価な楽器の多くはドローントーンホールである。
 
== 特殊奏法 (現代奏法) ==
フルートは[[近代音楽]]や[[現代音楽]]において特に[[特殊奏法]]が多く開発された楽器である。一つの奏法を取り上げても作曲者や奏者によりさまざまな呼称、やり方がある。特殊奏法については未だ発展途上であり新しい奏法が今後も開発されていくことが予想される。
 
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; 口笛
: フルートとの通常奏法と同じ構え、または唄口内に[[口笛]]を吹くことによって通常の口笛よりもフルートの管に共鳴させた音を作り出すことができる。その際発生する音は運指の自然倍音列上の音である。口笛を吹きながらフルートの通常音を鳴らすことは理論上は不可能であるが、口笛の音+エオリアン・トーンであれば可能である。
 
; ジェット・ホイッスル(英語:Jet whistle)
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: 内容については[[循環呼吸]]の項を参照。現代作曲家による指示、鍵盤楽器、弦楽器への音楽的なアプローチ、音楽的なフレーズ作り、等の理由により近年フルート界でも一般的になりつつある奏法。特にフルートは他の管楽器に比べて空気の消費が多い楽器であり、循環呼吸をマスターすることにより音楽的な質をより高めることができるというメリットの点からも推奨されている。そのことはいくつかの著名なフルーティスト達の著書において「現代奏法」の項に「循環呼吸」についての説明が必ず記載されていることからも判断できる。(O・ニコレ、P・ガロワ、R・ディック、W・オッフェルマンズ等)
 
; スラップ・タンギング(ピッツィカート、リップ・ピッツィカート、クアジ・ピッツィカート)(英語:slap tonging  伊語:pizzicato)
: 弦楽器の[[ピッツィカート]]に似た音響を発する。通常のタンギングの圧力を高めるやり方、舌を唇にあて内圧で弾くやり方、両唇を弾くやり方等がある。グランド・フルートではC4(B足部管つきでB3) - D#5までは通常の運指で、さらにオクターヴキーを開ける、その他の操作をすることによりD#6まで発音可能。
 
; ダブルトリル
: 通常は2音間を行き来するトリルを2本の指で行うことにより往復の速度が倍になったもの。左手は楽器を保持する必要があるため右手で行われることが多い。運指によりアグレッシブな効果から不思議な音響まで再現することができる。リングキィかカバードキィかで再現できるダブルトリルの種類は異なる。フルート音楽においてのダブルトリルの使用例は[[サルヴァトーレ・シャリーノ]]の「CANZONA DI RINGRAZIAMENTO」。二つのトリルキィを交互に連打することにより不思議な音響空間を生み出している。
 
; タングラム(英語:tongue ram)
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; [[バズィング]](トランペット・アンブシュール)
: 歌口に対し唇を閉じた状態で押し付け金管楽器のバズィングと同じやり方で唇を振動させ音を鳴らす奏法。息の圧力や指を変えることで色々な音域が出せるが、フルートのマウスピース、管は金管楽器のようにバズィングをして発声を促すのには向いていないためスケールは安定しにくい。非常に高い圧力が必要なことから、この奏法をした直後は唇に激しい疲労感を覚えるため、長時間のフルートでのバズィング奏法は注意が必要である。
 
; 発声奏法(プレイ・ウィズボイス、グロウル)
: 通常演奏と同時に声を出すことにより差音がハウリングを伴い発生する。フルートの一音程の通常音と同時に奏した場合に、高い声と低い声では発生する差音に違いが生じるため男女でこの奏法の内容は大きく異なる。フルートの音と違う音程を同時に歌うことにより和音が、リズムをずらして歌うことにより2重奏が可能である。
: [[グロウル]]はフルートの旋律と同じ動きで旋律を歌う奏法。ややグロテスクな音質になり[[サックス]]や[[ギター]]にも負けない音圧に変化させることができるため[[ジャズ]]の[[アドリブ]]などで好んで使われる。
 
; ビートボクシング・フルート(フルートウィズボイスパーカッション)(英語:beatboxing flute)
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上記の特殊奏法を組み合わせ、新たな音響を作り出すこともできる。
  フラッター+発声奏法、重音奏法+スラップ・タンギング
 
== フルートの印象的な作品 ==
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* エマーソン / Emerson / アメリカ
* エマニュエル / Emanuel / アメリカ
* エロイ / Eloy /オランダ
* オリエント / ORIENT / 台湾
* オルフェウス / Orpheus Musical Instruments / アメリカ
285行目:
* グロリア / Gloria / 台湾
* ゲマインハート / Gemeinhardt / アメリカ
* ゴードン / Gordon / アメリカ  頭部管のみ
* ゴウ・ブラザース / Guo Brothers / 台湾
* [[コタケ]] / KOTAKE FLUTE / 小竹管楽器製作所 / 日本
329行目:
* ヘルナルス
* マックストーン / Maxtone / 台湾・中国
* [[ マルカート]] / The Marcato Flute / 台湾
* マティット / Matit / フィンランド
* マテキ / MATEKI FLUTE / 日本
* マンケ / Mancke /ドイツ  頭部管のみ
* J.マイケル / J.Michael / 中国
* [[ミヤザワ]] / The Miyazawa Flute / ミヤザワフルート製造株式会社 / 日本
512行目:
|-
| rowspan="4" style="background-color: #ffdead;" | F管 バス・フルート
| rowspan="4" | 1[[オクターヴ]]<br />+完全4度下
| 伊
| Flauto basso in Fa
547行目:
| rowspan="4" style="background-color: #ffdead;" | F管 サブ・コントラバス・フルート
(F管 ダブル・コントラアルト・フルート)
| rowspan="4" | 2[[オクターヴ]]<br />+完全5度下
| 伊
| Flauto subcontrabbasso in Fa
636行目:
 
== 主な教則本 ==
'''H. Altès によるもの'''<br/>
原書に対していくつかの種類が出版されている。
* 「ALTÈS FLUTE METHOD フルート教則本」(第 1 巻〜第 3 巻)比田井洵編著 Japan Flute Club