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[[File:Louvre pyrrha ent1999.23.jpg|thumb|right|150px|
'''ピュラー'''([[古代ギリシア語]]:{{el|Πύρρα}}または{{el|Πύῤῥα}}、''Pyrrha'')は、[[ギリシア神話]]に登場する女性である。[[エピメーテウス]]と[[パンドーラー]]の娘で、[[デウカリオーン]]の妻である。彼女は、デウカリオーンと共に、「青銅の時代」を終焉させた[[大洪水]]を生き伸びた人間として知られる<ref name=grd-158>『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.158。</ref>。ピュラーとは[[古代ギリシア語|ギリシア語]]で、「赤い髪の女」の意味である。
パンドーラーの娘のピュラーの外に、[[アキレウス]]が少年時代、[[女装]]して少女たちのあいだにいた頃の偽名がピュラーである([[#アキレウスの偽名ピュラー|偽名ピュラー]]参照)。
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== パンドーラーの娘 ==
=== 大洪水 ===
「青銅時代」の人間が驕慢で
やがて雨が車輪のように天より地上に降り、またゼウスの依頼に応じて[[ポセイドーン]]は泉を溢れさせたため、河川は氾濫し、田畑も家屋も城壁も社も何もかもが水の底に沈んだ。人も家
=== テミスの託宣 ===
[[File:Relief_of_Deucalion_and_Pyrrha_-_Parc_del_Laberint_d’Horta_-_Barcelona.jpg|thumb|right|200px|石を背後に投げる<br />[[デウカリオーン]]とピュラー]]
ゼウスは天よりこの様子を眺めていたが、正しい男女一組だけが残ったことを確認した後、雨雲を払い、青空を示した<ref name=ov>[[オウィディウス]]『変身物語』、1-325。</ref>。他方、[[アポロドーロス]]は、二人以外にも高山に登り難を避けた者が少数いたと述べている<ref name=appol-7-2>アポロドーロス、巻一7-2。</ref>。天候の回復を知った二人は箱船より降り、ゼウスに感謝して捧げものをした。また、パルナッソスの南麓に託宣所を持っていた女神[[テミス]]にも感謝
二人は、世界中に自分たち二人しか人間がいなくなったことを哀しみ、テミスにこの哀しみを訴えた。女神は答え、「爾らの大いなる母の骨を、歩みつつ背後に投げよ」と答えた。二人はこの託宣に恐怖したが、デウカリオーンは女神が悪しきことを述べることはな
=== 石よりの人類の再生 ===
[[デウカリオーン]]の投げた石からは男が生まれ、ピュラーの投げた石からは女が生まれた。こうして再び地上には、人類の族が満たされることになった<ref name=k42 />。
他方、[[アポロドーロス]]は、テミス女神の神託には言及せず、ゼウスが派遣した[[ヘルメース]]が、望みを述べれば叶えようと言ったので、二人は人類の再生を望んだと述べている。この願いを聞いて、ゼウス
=== 二人の子孫 ===
ピュラーは[[デウカリオーン]]とのあいだに、最初に[[ヘレーン]]を生んだ。次に、[[クラナオス]]の後にアッティカ王となった[[アムピクティオーン]]を生んだ。第三に娘の[[プロートゲネイア]]を生んだ。ヘレーンは、[[ニュンペー]]の[[オルセーイス]]とのあいだに、[[ドーロス]]、[[クスートス]]、[[アイオロス]]をもうけ、また、古代ギリシア人の先祖(名
ピュ
== アキレウスの偽名ピュラー ==
[[File:Quellinus II, Erasmus - Achilles Among the Daughters of Lycomedes - 17th c.jpg|thumb|right|190px|[[リュコメーデース]]の娘たちと]]
[[デウカリオーン]]の妻のピュラーとは別に、若き頃の[[アキレウス]]が、[[トロイア戦争]]に加わるのを防ぐため、父の意志で、スキューロス島の[[リュコメーデース]]の王宮に預けられ、[[女装]]して少女たちのあいだに身を潜めていた時、彼はピュラーという偽名を使っていた<ref>『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.209。</ref>。
アキレウスはリュコメーデースの王宮で王女[[デーイダメイア]]と親しい仲となり、二人のあいだに[[ネオプトレモス]]が生まれる。ネオプトレモスは、父がピュラーであったので、ピュロス(Pyrrhos)つまい「赤い頭の男」の名を持った。彼の髪が実際に赤髪であったため、または顔が紅潮することが多かったためともされるが、父がピュラーと呼ばれていたのが理由として分かりやすい<ref>Ggrimal, p.400。</ref>。
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