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'''百科事典'''(ひゃっかじてん)とは、[[時事問題]]、[[人文科学]]・[[自然科学]]・[[社会科学]]・[[芸術]]など幅広い分野の[[知識]]や事柄を、項目ごとに整理・記述して、<!--誰でも容易に概要を理解できるよう-->簡潔にまとめたものである。
 
[[ファイル:Brockhaus Lexikon.jpg|right|250px|ブロックハウス百科事典 1902年|thumb]]
「百科」の「[[科]]」は「一定の基準を立てて区分した一つ一つ」<ref>[[広辞苑]]第六版</ref>とされ、区分されたその一つの事柄の[[知識]]をまとめる事を指し、さらに「科」と呼ぶ事柄の分野も多岐にわたる事から大きな数字である「百」を冠して「百科」と呼んでいる。<!-- Wikpediaは辞典でないから敢えてまずここで百科を定義する。この定義により、百科事典と辞典の違いを暗示または明示する。-->一つだけの分野の場合は単科や[[専科]]と呼ぶ。
 
== 呼称 ==
「事典」という名称は、[[平凡社]]の創業社長・[[下中弥三郎]]の造語である<ref>[[石山茂利夫]],『裏読み深読み国語辞典』,98ページ,草思社</ref>。主に言葉と用法を解説する[[辞典]]([[辞書]])とは異なり、[[写真]]や図を用いて総合的な解説を行うことを特徴とする。字典(字書)を「もじてん」、辞典(辞書)を「ことばてん」というのと区別して、事典を「ことてん」という。かつては百科「辞典」とも表記したが、[[1931年]]、平凡社が大百科事典を出版して以降、百科「事典」が定着した。
一般に「'''百科'''」と略記される。「百科」の「[[科]]」は「一定の基準を立てて区分した一つ一つ」<ref>[[広辞苑]]第六版</ref>とされ、区分されたその一つの事柄の[[知識]]をまとめる事を指し、さらに「科」と呼ぶ事柄の分野も多岐にわたる事から大きな数字である「百」を冠して「百科」と呼んでいる。<!-- Wikpediaは辞典でないから敢えてまずここで百科を定義する。この定義により、百科事典と辞典の違いを暗示または明示する。-->一つだけの分野の場合は単科や[[専科]]と呼ぶ。
 
「事典」という名称は、[[平凡社]]の創業社長・[[下中弥三郎]]の造語である<ref>[[石山茂利夫]],『裏読み深読み国語辞典』,98ページ,草思社</ref>。主に言葉と用法を解説する[[辞典]]([[辞書]])とは異なり、[[写真]]や図を用いて総合的な解説を行うことを特徴とする。字典(字書)を「もじてん」、辞典(辞書)を「ことばてん」というのと区別して、事典を「ことてん」という。かつては百科「辞典」とも表記したが、[[1931年]]、平凡社が大百科事典を出版して以降、百科「事典」の表記が定着した。
一般に「百科」と略記される。「'''百科全書'''」(ひゃっかぜんしょ)とも言うが、こちらの呼称はやや古風な呼び方である。特に後述するフランスの[[百科全書派]]の手によるものを指して[[百科全書]]と呼ぶことが多い。なお、中国語では「百科全書」が正式。
 
一般に「百科」と略記される。「'''百科全書'''」(ひゃっかぜんしょ)とも言うが、こちらの呼称はやや古風な呼び方である。特に後述するフランスの[[百科全書派]]の手によるものを指して[[百科全書]]と呼ぶことが多い。なお、中国語では「百科全書」が正式。
[[ファイル:Brockhaus Lexikon.jpg|right|250px|ブロックハウス百科事典 1902年|thumb]]
 
== 体裁 ==
百科事典には、『[[ブリタニカ百科事典]]』などでよく知られるようにあらゆる分野の[[トピック]]を扱う総合的な百科事典と、『薬学百科事典』・『哲学百科事典』などのように特定の専門分野に関連する項目を網羅する専門百科事典がある。世の中では特定の分野に限定したり、ある作品内の用語など特定の視点からみたりした百科事典が膨大な数出回っている。

大型百科事典では数十冊もの大部となるが、記述をコンパクトにまとめた一巻本のものもある。これら以外にも、定期的に刊行される[[分冊百科]]も存在する。[[映画]]、[[医薬]]、[[英語]]、[[日本史]]、[[世界遺産]]など様々なテーマで刊行され、完結時にファイルするとそのテーマの百科事典が成立する。
 
百科事典の[[メディア (媒体)|媒体]]は、[[20世紀]]末頃までは[[紙]]の[[書物]]が主流であったが、それ以降は書籍以外にも、[[電子辞書]]([[携帯機器|携帯]]型の専用装置で[[内蔵]]の[[集積回路|IC]]に[[記録]]されたもの)、[[CD-ROM]]/[[DVD-ROM]]、[[メモリーカード]]、[[World Wide Web|ウェブ]]とさまざまな形態がある。『[[ブリタニカ百科事典]]』など本来は紙媒体であった伝統のある百科事典も、現在はWeb上でサービスが展開されていることが多い。最初からWeb専業で展開されたサービスとしては、一般利用者自らが執筆するオープンソースコンテンツである[[ウィキペディア]]が有名である。<ref>ウィキペディアの前身は、専門家だけが執筆・編集する[[Nupedia|ヌーペディア]]だったが、ボランティア執筆者の不足によって廃止となった。</ref>
 
百科事典の項目立てには、大雑把に分類すると'''[[大項目主義]]'''と'''[[小項目主義]]'''の二方式がある。大項目主義は、例えば日本の文学でいうと、「近代文学」など大きなテーマの項目名のもとに、文芸の潮流や著名な作家・作品などについて一つの項目内で概観できるようにまとめたものである。項目は時には数ページから数十ページにもわたる長大なものになる。逆に小項目主義は、「夏目漱石」「芥川龍之介」「自然主義」「吾輩は猫である」など個々の細かいテーマや事物ごとに網羅的に項目を立て、それぞれ別個に簡潔な解説を加えたものである。『[[ブリタニカ]]』の初版は大項目主義であった。一方『ブロックハウス百科事典』は小項目主義の徹底で有名である。
 
どちらの方式にも一長一短がある。大項目主義では全体を体系的に捉えることができる一方で、特定の作品や作家について調べるには不向きである。逆に小項目主義では個々の項目について調べやすい一方で、全体としてのまとまりに欠ける。ただしこの両方針は必ずしも対立するものではない。折衷的な方式([[中項目主義]])による百科事典も珍しくない。利点や欠点は取り上げるテーマにおける向不向や編者の立場、利用者の目的等によるところが大きい。