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'''MIM-46 モーラー'''({{Lang-en|Mauler}})は、[[ジェネラル・ダイナミクス]]社が開発した[[地対空ミサイル#短距離防空ミサイル|短距離防空ミサイル]]。艦載用の'''RIM-46 シー・モーラー'''({{Lang-en-short|Sea Mauler}})も開発された。開発計画には、[[アメリカ陸軍]][[アメリカ海軍]][[イギリス海軍]]が参加していたが、コストの高騰と技術的な問題により、配備前に開発はキャンセルされた。
 
== 来歴 ==
1950年代初頭、[[アメリカ陸軍]]は、新しい前線防空兵器として[[M42ダスター自走高射機関砲]]の配備を開始していたが、この時点で既に、高速化する航空脅威に対して、M42では対処困難であることが明らかになっていた。

このことから、より大発射速度の37mm[[ガトリング砲]]を搭載した[[:en:T249 Vigilante|T249 ヴィジランテ]][[自走式対空砲]]の開発を試みる一方、陸軍は、前線防空のミサイル化を志向しはじめた。
 
== 設計 ==
1959年、アメリカ陸軍はFAAD(Forward Area Air Defense)計画のもと、前線防空用の地対空ミサイル・システムに関する基礎研究を開始した。FAAD計画において、最大の議論が行なわれたのが、ミサイルの誘導形式であった。この時期に新しく開発されていた各種の対空ミサイルでは[[ミサイルの誘導方式#セミアクティブ・レーダー・ホーミング - SARH|SARH]]が多く採用されるようになっていたが、この時期の技術では、低空域で問題となるグラウンド・クラッターの除去が不十分であった。このことから、やや旧式だが、人が介在することでこの問題を回避できる、[[ビームライディング]]方式が採用された。また、目標に近接してからの終末誘導には、改良型の[[ミサイルの誘導方式#赤外線ホーミング|赤外線誘導]]装置が使われることも決定された。
 
1960年、計画は「モーラー」と命名され、ミサイルにはMIM-46という制式番号が付与された。モーラー計画には、アメリカ陸軍と同様に前線防空ミサイルを求めていた[[イギリス陸軍]]のほか、[[アメリカ海軍]]も参加していた。この当時、ソ連は、新兵器である[[対艦ミサイル]]の大量配備を進めており、アメリカ海軍は、モーラーの派生型であるRIM-46 シー・モーラーを基本個艦防空ミサイル・システム(BPDMS: Basic Point Defense Missile System)として採用する予定で、1965年より建造を開始した新型の[[護衛駆逐艦]]であった[[ノックス級フリゲート|ノックス級]]は、モーラーBPDMSを搭載するスペースを確保していた。
 
ミサイル弾体の設計は順調に進展し、誘導装置を持たない試験弾であるLTV(Launch Test Vehicles)は1961年9月に、単純な空力制御のみを受けるCTV(Control Test Vehicle)も同年中に初飛行したが、これらは、制御翼の[[フラッター現象]]など、いくつかの重大な問題を抱えていた。<ref name=Parsch>Andreas Parsch, [http://www.designation-systems.net/dusrm/m-46.html "General Dynamics MIM-46 Mauler"], Directory of U.S. Military Rockets and Missiles, 2002</ref> 誘導装置を取り付けた[[プロトタイプ]]であるGTV(Guidance Test Vehicle)は1963年6月より試験に入ったが、発射直後に誘導から外れるという傾向があったうえに、発射機の設計にも問題があった。<ref name=Parsch/>
 
== 計画の中止とその後 ==
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1963年11月、モーラーは単なる技術実証計画に変更され、1965年11月には完全にキャンセルされた。GTVは計画のキャンセルまで飛行試験を続けた。<ref name=Parsch/>
 
IFAADSで提唱された地上発射型サイドワインダーは、[[MIM-72 (ミサイル)|MIM-72A チャパラル]]として1969年5月より配備されはじめた。しかし、MIM-72Aは敵機の後方からしか攻撃できなかった上に、かなり容易に振り切ることができた。このことから、[[イギリス陸軍]]は、バックアップ・プロジェクトとして独自に進めていたET.316計画に主眼を切り替えて、[[レイピアミサイルシステム]]として1971年より配備に入った。
 
アメリカ海軍は、MIM-72をもとに、モーラーで開発された新型赤外線シーカーを搭載したRIM-92C シーチャパラルを試験した。これは、MIM-72Aよりも向上した全方位攻撃能力を備えていたものの、やはり要求には達しないとして採用せず、より大型の空対空ミサイルであった[[スパロー_(ミサイル)|AIM-7スパロー]]をもとにした[[シースパロー_ (ミサイル)#BPDMS|シースパローBPDMS]]を選択した。RIM-92C シーチャパラルは、システムごと[[中華民国国軍#海軍|台湾海軍]]に売却された。その後、これと同じシーカーを搭載したMIM-72Cが開発され、これは陸軍のチャパラル・システムで広く使用された。
 
== 脚注・出典 ==