「系列電器店」の版間の差分

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== 系列店の売上とメーカー決算・製造コストの関係 ==
 系列電器店の経営環境は(売り上げの落ち込み・後継者難・量販店の台頭・不景気等により)年々苦しさ・厳しさを増しており、(優良地域電器店としての生き残りをかけて)従来の系列店・他業種小売店から量販店系などの[[フランチャイズ|FC]]へ鞍替えする店主も現れている。こうした中パナソニックは1970年より、(当時の松下電器創業者)[[松下幸之助]]が系列電器店(パナソニックショップ)の後継者育成を目的とする(=候補となった店主の子息を1年間入寮させた上でパナソニックショップ経営に必要なノウハウを集中習得させる)専門学校「[[松下幸之助商学院]](設立当初の1970年5月~2001年3月31日までは”松下電器商学院”)」を自ら立ち上げ、パナソニックショップを我が国最大の地域電器店網に育て上げた。パナソニックは現在でも幸之助の遺志を受け継ぐ形で、商学院における後継者育成に加え、[[パナソニックコンシューマーマーケティング]]LE社及び[[パナソニックエクセルスタッフ]]がパナソニックショップ新規従業員の人材募集と独立(パナソニックショップ新規開業)支援を行っている(但し新採用の従業員が就業可能な店は原則「スーパーパナソニックショップ」認定店のみ)。しかし同業他社は系列電器店の従業員新規募集や独立支援に依然消極的である為、売り上げの伸び悩みや経営者の高齢化・後継者難等を理由よって廃業したり、(パナソニックショップなどの)他系列店に鞍替えする店が急増。これによりパナソニック以外の同業他社は(店頭売価の急落が著しい)量販店市場が圧倒的に大きくなり、結局は業績悪化という悪循環が生まれる皮肉な結果をもたらした。この為、系列店がジリ貧のメーカーでは(売り上げ不振で[[赤字]]が続く)不採算分野の製品生産・販売から手を引くケースが相次いでいる。<br>
 系列店がジリ貧のメーカーでは(売り上げ不振で[[赤字]]が続く)不採算分野の製品生産・販売から手を引くケースが相次いでいる。<br>
 ビクターは2008年夏を以て日本国内及び[[ヨーロッパ|欧州]]向けのTV生産・販売より撤退した(同時に[[神奈川県]][[横須賀市]]にあるTV生産工場を閉鎖し、従業員の大半は他地域工場へ配置転換)。<br>
 [[パイオニア]]は赤字続きのプラズマTV分野においてパネルの自社生産を終了し、2008年夏モデル以降はパネル生産をパナソニックに委託していた(同時に[[山梨県]][[中央市]]と[[鹿児島県]][[出水市]]にあるプラズマTVパネル工場を閉鎖し、従業員の大半は他地域工場へ配置転換、或いは[[パナソニックグループ]]各社の工場へ転籍)。しかし他社製品の店頭売価が急落する中にあってパイオニア製TVは依然高価だった事から量販店でも売れ行きは伸び悩み、世界的な金融危機のあおりも手伝ってTV部門の赤字は未解消状態が続くと共に、2009年3月期の連結決算は(輸出の減少・エレクトロニクス部門の不振から)過去最大となる1800億円余の赤字を計上した(翌2010年春の決算も800億円余の赤字となる見込み)。この為ついに[[2010年]][[3月]]までにTV生産そのものから撤退し、今後はカーオーディオ分野に絞って生き残りを模索する。<br>
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 DVDレコーダーにおいては東芝が[[HD-DVD]]式レコーダーの生産より撤退し、日立・ビクター・パイオニア・[[デノン]]・ソニー・三洋電機・[[日本電気|NEC]]に至っては[[DVDレコーダー]]の生産そのものから撤退(ソニーは[[2008年]][[5月14日]]を以て[[アイワ]]=AIWAブランド製品生産からも撤退)。三洋電機は赤字続きの[[携帯電話]]事業を[[京セラ]]に売却し、[[三菱電機]]に至っては携帯電話の生産そのものから、さらに[[2008年]][[10月]]限りで[[洗濯機]](全自動・二槽式)生産からもそれぞれ撤退。<br>
 なお[[2008年]][[10月31日]]に一斉発表された大手電機メーカー各社における2008年度中間決算の場合、黒字となったのはパナソニックと三菱電機のみで、他社は全て赤字となった。なお同年度の最終決算は世界的な金融危機によりデジタル家電の売り上げが伸び悩んだ影響で、三菱電機以外の大手は軒並み赤字を計上している。特に現代は主力製品であるデジタル家電の売り上げ高で差が開く傾向が強い。<br>
 系列電器店の経営環境は年々苦しさ・厳しさを増しており、(優良地域電器店としての生き残りをかけて)従来の系列店・他業種小売店から量販店系などの[[フランチャイズ|FC]]へ鞍替えする店主も現れている。こうした中パナソニックは1970年より、(当時の松下電器創業者)[[松下幸之助]]が系列電器店(パナソニックショップ)の後継者育成を目的とする(=候補となった店主の子息を1年間入寮させた上でパナソニックショップ経営に必要なノウハウを集中習得させる)専門学校「[[松下幸之助商学院]](設立当初の1970年5月~2001年3月31日までは”松下電器商学院”)」を自ら立ち上げ、パナソニックショップを我が国最大の地域電器店網に育て上げた。パナソニックは現在でも幸之助の遺志を受け継ぐ形で、商学院における後継者育成に加え、[[パナソニックコンシューマーマーケティング]]LE社及び[[パナソニックエクセルスタッフ]]がパナソニックショップ新規従業員の人材募集と独立(パナソニックショップ新規開業)支援を行っている(但し新採用の従業員が就業可能な店は原則「スーパーパナソニックショップ」認定店のみ)。しかし同業他社は系列電器店の従業員新規募集や独立支援に依然消極的である為、売り上げの伸び悩みや経営者の高齢化によって廃業したり、(パナソニックショップなどの)他系列店に鞍替えする店が急増。これによりパナソニック以外の同業他社は(店頭売価の急落が著しい)量販店市場が圧倒的に大きくなり、結局は業績悪化という悪循環が生まれる皮肉な結果をもたらした。<br>
 また2009年5月中旬に発表された国内電機メーカー各社の2008年度(2009年3月期)連結決算では、日立が(半導体不況・世界的な経済不況・国内消費の低迷などの影響で)製造業としては過去最悪となる7800億円余の最終赤字を計上、2009年度(2010年3月期)も2000億円あまりの最終赤字が見込まれると発表した。他の電機各社では東芝・NEC・パイオニア・シャープ・三洋も2009年3月期連結決算が最終赤字となり、翌2010年春も(リストラ費用がかさむ事などを理由に)赤字が見込まれると発表している。またソニーは2009年3月期連結決算で国内大手電機メーカーでは初めて(2700億円余の)営業赤字を計上。([[静岡県]][[浜松市]]・[[宮城県]][[多賀城市]]・[[岩手県]][[一関市]]など日本国内4ヶ所を含む)世界8ヶ所にある生産拠点を2009年中に閉鎖して工場をスリム化するが、それでも翌2010年春には1100億円余の赤字が見込まれると発表した。<br>
 なおパナソニックの場合、2009年3月期の連結決算では営業黒字をかろうじて維持している。これは売り上げ全体の約4割が(量販店より高価格で販売しても商売が成り立つ)系列店経由である事が追い風(プラス要素)となって「黒字(赤字幅圧縮)」という形で現れている(但し同期の最終純損益は世界不況のあおりやリストラ費用増大の影響で赤字を計上)。一方で同業他社は系列店の減少に歯止めが掛からず、量販店における急速な売価下落による損失を(量販店より高価格で売っても商売が成り立つ)系列電器店の売り上げで補いきれない事が赤字決算の一因にもなっている(莫大な製造コストに見合った利益=売り上げが製造コストを上回る黒字を出すには意欲ある系列電器店への販促支援が不可欠)。<br>
 こうしたマイナス要素はメーカーの経営陣交代・定期昇給凍結・新卒採用抑制にまで発展。2009年春にはソニー・東芝・日立が業績悪化の責任を取り、経営陣を相次いで刷新。また三洋・NEC・ソニーは2009年度定期昇給と2010年度新卒採用の凍結をそれぞれ決定。<br>
 また日立と東芝は2010年度以降、国内外の薄型TV生産拠点を大幅に再編し、デジタル家電分野の黒字化を目指す考えを明らかにしている(2009年10月17日付、[[日経新聞]]1面記事にて報道)。
 
また日立と東芝は2010年度以降、国内外の薄型TV生産拠点を大幅に再編し、デジタル家電分野の黒字化を目指す考えを明らかにしている(2009年10月17日付、[[日経新聞]]1面記事にて報道)。
 
=== メーカー各社の社員に対する「自社製品購入推進運動」と自治体による支援の動き ===