「タチバナ」の版間の差分

葉は固く、楕円形で長さ3センチメートルから6センチメートル。ほどに成長し、濃い緑色で光沢がある。

果実は滑らかで、直径3センチメートルほど。[[キシュウミカン]]や[[ウンシュウミカン]]に似た外見をしているが、酸味が強く生食用には向かない(が、[[マーマレード]]などの加工品にされることがある)。

タチバナの名称で苗が園芸店で売られていることがあるが、ニホンタチバナではなくコウライタチバナと区別されず混同されていることがある。コウライタチバナは、葉や実がタチバナより大きく、実がでこぼこしているのが特徴である。

==永遠文化==

『[[記紀神話]]』でには、[[垂仁天皇]]が[[タジマモリ|田道間守]]を[[常世]]の国に遣わして「非時香菓（ときじくのかぐのこのみ）・非時香木実（時じくの香の木の実）」と呼ばれる不老不死の力を持った（永遠の命をもたらす）霊薬を持ち帰らせたという話が載せら記されている。『[[古事記]]』の本文では非時香菓を「是今橘也」（これ今の橘なり）としていするが、実際にそれが橘そのものであるかどうかは明らかではない。この由来から[[京都御所]][[紫宸殿]]では「[[右近橘]]<ref>この橘は、[[キシュウミカン|紀州蜜柑]]に近いものとする説もある。</ref>、[[左近桜]]」として橘が植えられている。ただし、実際に『古事記』に登場するものが橘そのものであるかについてはわかっていない。

[[奈良時代]]、その「右近の橘」を[[元明天皇]]が寵愛し、[[橘諸兄|葛城王]]に橘姓を祖下賜ししたことするにより[[橘氏]]が[[奈良時代]]に生まれているた。<!--橘の永遠を喩える常緑にあやかって[[姓]]にしたと考えられている。-->

== 家紋章 ==

[[File:Japanese crest Tachibana.pngsvg|thumb|right|150px|橘紋 橘]]

'''橘紋'''（たちばなもん）は、タチバナの実と葉を図案化した[[家紋]]である。文様としては[[平安時代]]末期ごろに現れ、[[江戸時代]]には90家余りの[[旗本]]が用い、蔦紋や[[桐紋]]などともに[[五大紋|十大紋]]の一つに挙げられている。元明天皇が、葛城王に橘姓を下賜したことにちなみ橘系の氏族が家紋として用いた。『法然上人絵伝見聞諸家紋』に見ら記された、構図の種類には「橘」、「薬師寺氏（丸に三つ立ち橘」）、「井桁小寺氏（藤巴に橘」、「三つ葉橘」などがあり、同様の図案で「茶の実紋（ちゃのみもん）」があるが、[[チャノキ]]文献上の実を図案化したもので橘紋の実の部分に3枚の葉がない構図初見である。

『見聞諸家紋』に記された、薬師寺氏、小寺氏が文献上の初見とされる。ほかに井伊氏、黒田氏などが用い、黒田氏の橘紋の由来は、黒田職高が小寺氏に仕えた際に下賜ったとされるたことからであり、井伊氏は、井伊共保が生まれた際の故事にちなむとされる。なお[[日蓮宗]]の寺紋「井桁に橘・日蓮宗橘」は、開祖の[[日蓮]]が井伊氏一族の出身であることに由来するという<ref>千鹿野茂監修 高澤等著『家紋の事典』東京堂出版 2008年</ref><ref>新人物往来社編 加藤秀幸 楡井範正執筆『索引で自由に探せる 日本家紋大図鑑』新人物往来社 1999年</ref>。

京都府八幡市の「[[石清水八幡宮]]」では、八幡神を勧請した僧・行教のご紋が橘であったため、橘紋と三つ巴が御神紋とされている。また本殿の彫刻には真ん中に橘の実があり、その実の両側から鳩が向かい合っている形のものがある。本殿前には左右共に橘の木が植えられており、授与品としてこの橘の実を使った御神酒も作られている。