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断熱とは、熱が[[熱伝導|伝導]]や[[対流]]・更には[[熱放射|放射]]によって伝わるのを防ぐことであり、それを実現するものが断熱材である。建物の冷暖房の効率化や冷蔵庫など熱を扱う様々な用途に使われる。放射による熱伝達の場合は反射による断熱方法もとられる。一般的には、伝導を防ぐことを断熱といい、[[日本工業規格|JIS]]でも定義されている。また、放射を防ぐ場合は遮熱と言う。
 
断熱材とは熱伝導を抑える障壁の働きをするものといえ、熱伝導性の低い素材が用いられる。[[気体]]などは[[分子密度]]が低いため熱伝導性が低いが、対流を起すことから熱を伝える媒介として機能してしまう。逆に[[固体]]は分子密度が高いので対流しないが熱伝導を起しやすい。[[液体]]は熱伝導と対流を起すことから熱伝達には様々な利用が成されているが、断熱する上では極めて不適当である。
現在利用されている断熱材は、対流を起こさせないよう固体の中に気体の小泡を多量に持つものが広く利用されている。
 
断熱材は[[冷房]]・[[暖房]]のエネルギー効率を高めるために建物で使用されるだけではなく、熱伝導を遅くするのが重要なストーブ・[[冷蔵庫]]・[[冷凍庫]]・[[湯沸かし器]]等の器具の筐体部分、および多くの工業的な応用にも使用される。これらでは対象範囲内と外部との温度差を、他の系よりの[[エントロピー|ネゲントロピー]]利用に拠らず維持するために利用されている。
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===施工===
施工的には、[[樹脂]]系のものは工場で発泡させてボード状に加工したものを現場で取り付けるものと、現場で発泡させながら吹き付けるものとがある。後者の方が施工しやすいため施工者には好まれる。しかしこの方法は、発泡温度の関係から[[ウレタンフォーム]]にしか用いることは出来できない。
 
鉄筋コンクリート造の建築物においては断熱材を躯体の内側に設けるか、外側に設けるかによって[[内断熱]]、[[外断熱]]に区別される。かつては、断熱材自体は風雨に対して対抗性の強いものでないため、内断熱が常識だったが、外断熱にすると構造体自体が外部の熱(または冷気)から保護されると同時に内部では冷暖房による熱が保たれ(あるいは冷やされ)冷暖房を切っても快適な温度が得られるという利点があり、近年様々な試みがなされている。しかし、逆に考えると、外断熱は構造体まで暖め(冷やさ)なくては室内環境を快適に出来ないという弱点もある。そのため、内断熱と外断熱は一長一短があり、建物用途によって使い分けるべきものである。また、高層建築物においては断熱材の剥離などに配慮する必要がある。
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=== 建築構造の断熱化 ===
現在の住宅・建造物では採光性の面から多くの[[窓ガラス]]が取り付けられているが、これらは断熱性と相反する要素である。ここからの熱の流入出を防ぐ目的で、Low-E(Low-Emission)ガラスという放射熱を抑える金属皮膜がついた板ガラスやフィルムを使ったり、複層ガラスという二層の板ガラスの6mmから12mの隙間に乾燥空気やアルゴンガスを充填したり、真空層を作ったり、2重サッシにすることで断熱性を持たせているものも利用されている。ヨーロッパの一部では トリプルガラスという三層の板ガラスに乾燥空気とアルゴンガスを充填してさらにLow-Eガラスを付けたものもある。また、アルミでできたサッシも非常に熱を通しやすいため、樹脂や木製のサッシや、室内側を樹脂や木製にした 複合サッシ も一般的である。以前は、木製サッシは燃える素材であるというから使用が禁止されていたが、アルミサッシは簡単に熔けてしまうが木製サッシは中まで燃えないということが叫ばれていたこともあり、性能を試験して示せば素材は制限されないということに法改正された。
 
ただし、施工費が一般的な窓ガラスよりも割高となるため中々なかなか普及していないが、その一方で冷暖房効率は良くなることから、エネルギーコストを考慮すれば結果的に割安とされる。エネルギーコストが急速に増大した時代には、これらは特にエネルギーコスト削減の面で注目された。ヨーロッパでは、複層ガラスのほうがよく使われるために日本で一般的な一枚ガラス(フロート板ガラス)より安いそうである。
 
なお古くより[[日本家屋]]に見られる[[縁側]](または日当たりの良い[[廊下]])などは、家屋構造によって断熱構造を求めたものである。これら構造による断熱空間を持つ建築物では、夏季などに日の当たっている部分を敢えて([[障子]]や[[雨戸]]を使う等して)締め切ることで、その奥の部屋が外気温より涼しくなる効果が発生する。
 
世界的にも似たような方法で断熱を行っている建築物もあり、いわゆる「屋根裏」と呼ばれるデッドスペースも断熱効果を目指した空間であるが、このデッドスペース有効活用を目指して[[屋根裏部屋]]を設けると、同室内は非常な酷暑や暖房効果の低さに見舞われる事があり、屋根裏部屋を活用するタイプの現代日本住宅では、屋根構造に断熱材を組み込むことで、これを改善しようと言う動きも見られる。
 
== 関連項目 ==